〝平成30年度NHK大河ドラマは『西郷隆盛』、主演は堤真一〟という情報が出てしばらく経つが、私は未だに半信半疑。
そういうことになったら「征韓を主張した侵略主義者西郷隆盛を美化する番組を日本の国営放送が放送するニダ!許せないニダ!」と大騒ぎする連中が現れる可能性がある。NHKがそんなアブナイ素材に本当に手を出すだろうか?(平成2年の『翔ぶが如く』は西郷と大久保利通の二人が主役だったし、慰安婦問題・竹島問題も日韓関係も当時と現在では様相が異なる。)
それに、西郷隆盛という巨人の思想と行動は、戦前と比べすっかり矮小化してしまった現代日本人の老若男女を対象とする「NHK大河ドラマ」という枠で真正面から扱うには余りに大きすぎる。
薩摩を中心に置いた幕末維新物の大河ドラマは『翔ぶが如く』以来四半世紀作られておらず(『篤姫』主人公の篤姫は薩摩出身だが結婚後は徳川の人)、2年連続で戦国時代物が続く後の平成30年は明治維新150周年。薩摩中心の幕末維新物が来ることは間違いないような気がする。
だが、大河ドラマ誘致に熱心とされる鹿児島県としても、其の本当の思想や人物像はともかく名前だけは知らぬ人のいない西郷隆盛を主人公とするものより、『篤姫』での篤姫・小松帯刀や『あさが来た』での五代友厚のような新しい全国区地元有名人の創出につながる内容の方が有り難いはず。
幕末維新期の薩摩の重要人物でまだNHK大河ドラマ主役として取り上げられておらず且つ主役として立てられそうな人といったら、私が思いつくのは、島津斉彬・久光兄弟だ。
平成27年西暦2015年7月に鹿児島の旧集成館機械工場(現 尚古集成館本館)などが「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された。その旧集成館機械工場などを遺した「集成館事業」を開始したのが島津斉彬であり、彼が志半ばに急死したあと縮小中断を経ながらも其れを継続発展させたのが斉彬実弟の「国父」久光と彼の実子である藩主茂久(忠義)だ。もし島津斉彬・久光兄弟がNHK大河ドラマの主役として取り上げられ全国区の知名度を得ることになれば、「世界文化遺産」に更に大きな付加価値が生まれることになる。鹿児島県はそのあたりを狙って運動しているのではないだろうか。私の推測に過ぎないのだが。
堤真一氏が大河ドラマに関する報道内容を否定したという話は聞かない。だからと言って報道内容が全て正しいとは限らない。もし〝堤真一が平成30年度NHK大河ドラマに出演する〟ということだけが正しく其れ以外は間違いであっても、堤氏としては「いや、あれは少し違うんですよ。実はね・・」という話はできない。NHKが発表するまで沈黙しているしかない。
NHK大河ドラマ『西郷隆盛』は本当で、其の情報をNHK自らが漏らしたという可能性も考えられる。「許せないニダ!」と言い出す可能性のある連中がどういう反応をするかを見る為の〝観測気球〟である。案の定騒ぎ出して面倒くさい状況になりそうだったら『西郷隆盛』ではない第2案を出す。目立った反応がなければ第1案『西郷隆盛』で行く、ということなのかもしれない。
9月24日は西郷隆盛の命日。もしNHK大河ドラマ『西郷隆盛』が本当なら、この日に発表されるのではないだろうか。
発表が其の日でなければ『西郷隆盛』ではないような気がする。
とにかくNHKの発表を待ちたい。