[読売新聞社:2008年02月14日 03時25分]
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変な記事だ。
>・・プレート(板状の岩盤)は地中に沈み込んでいった後、地下600キロ前後でたまって、それ以上の深さには沈んでいかない可能性が高いことが分かった。
これは既に1990年代から判っていることで、地震波を利用した地球内部の観測でその存在はほぼ立証されているはずだ。
地下660キロ付近に上部マントルと下部マントルの境目があって、そこにプレートが滞留し固まりになっている。それは「スタグナント・スラブ」と呼ばれている。(「メガリス」とも呼ばれる。言うまでも無いが、私とは関係無い。)
平成18年の映画「日本沈没」に沈没原因の一つとして登場したので、観た方は覚えているだろう。
>映画の「日本沈没」で、日本列島が海溝に引きずり込まれるという“根拠”となっていた、プレートの地球深部への落下説を否定する成果という。
ここでいう“映画の「日本沈没」”が昭和48年作品と平成18年作品のどちらを指すのかは不明だが、どちらにしてもおかしな文章だ。
昭和48年作品では、小松左京の原作小説に従い、地球内部の核の大きさが変化したことが原因でマントル対流相が突然変化し日本列島を太平洋側から支えていたマントル対流の“つっかえ棒”が急に外れ、更に“トンネル効果”に似た未知の(架空の)物理現象により日本列島の太平洋側から日本海側にエネルギーが急速に流れ込み其れによって日本列島が太平洋側に押し出され日本海溝へ滑り落ちて行く、というのが沈没理由だ。日本海溝で沈み込んだ太平洋プレートがそのまま地球深部へ潜り込んでいくという「プレートの地球深部への落下」が沈没原因ではない。
平成18年作品では、この記事で述べられている「プレートがこれ以上の深さに沈まずにたまってい」たもの、つまりスタグナント・スラブが自重に耐えきれず地球深部に沈下を始め太平洋プレートがそれに引きずられて急激に沈降し日本列島がその動きに巻き込まれる、というのが主要な原因とされている。これもまた、スタグナント・ スラブの存在が知られていない時代の、日本海溝で沈み込んだ太平洋プレートがそのまま地球深部へ潜り込んでいくという「プレートの地球深部への落下」が沈没原因ではない。
この記事を書いた記者氏は新旧映画「日本沈没」の両方とも観ていないのではないか。
そして、「日本沈没ない?」という見出しから考えると、観ていない映画の内容を断片的な情報から勝手に推測し、“もしかすると映画のように「プレートの地球深部への落下」によって本当に日本が沈没する可能性があるのかもしれない”という見当違いの想像をしていていたのだろう。
そう解釈するしかない珍妙な記事だ。
この入舩徹男教授の研究成果の意義は、地球内部の観測で把握されたスタグナント・スラブの存在を、研究室内の実験によって裏付けた、ということではないかと思う。
スタグナント・スラブが中国大陸の下に存在することや、それが平成18年の映画「日本沈没」のように時々崩落を起こすることは、ほぼ間違いないそうだ。
しかし、それによって日本列島全体が沈没することは無いらしい。心配はご無用である。
ただ、大陸に近い北海道北半分・九州北半分・本州西端と、某国・某地域の全てが、海面下に沈没する可能性が有ると、私は、思っている。
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