いつか私はお母さんに抱っこされていた。
お母さんはお仕事で疲れているから抱っこしてって甘えるのはいけないと思った。けれど私に気がついたお母さんは抱っこ?と聞いて両手を差伸ばしてくれた。
お母さんの腕のなかで私は「ねぇ、お母さん」と呼んだ。「なぁに。」と答えてくれるお母さんに「ううん。何でもない。」と返してしまう。お母さんの「なぁに。」に私は学校であった嫌なこととか、よくわからない不安をちょっとだけ忘れることができる。「なによー、もう。」お母さんが笑って私も笑える。それがたまらなくうれしかった。うれしくて、かなしかった。なぜならこれは夢だから。これはきっと醒めない夢。私の無邪気な憧れ。
私は今日も獣に抱かれる。
【おわり】
お母さんはお仕事で疲れているから抱っこしてって甘えるのはいけないと思った。けれど私に気がついたお母さんは抱っこ?と聞いて両手を差伸ばしてくれた。
お母さんの腕のなかで私は「ねぇ、お母さん」と呼んだ。「なぁに。」と答えてくれるお母さんに「ううん。何でもない。」と返してしまう。お母さんの「なぁに。」に私は学校であった嫌なこととか、よくわからない不安をちょっとだけ忘れることができる。「なによー、もう。」お母さんが笑って私も笑える。それがたまらなくうれしかった。うれしくて、かなしかった。なぜならこれは夢だから。これはきっと醒めない夢。私の無邪気な憧れ。
私は今日も獣に抱かれる。
【おわり】