児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

そらのどうぶつえん

2015-05-30 | 物語 (電車で読める程度)


「ねぇ、ほら。」

「なに?」

でも、それはお母さんにはやっぱり見えなかったみたい。

雨上がりのとっても晴れの日、ウチは空に大きな龍をみた。

「大きな雲だねぇ。」

そんなことはわかってる
けど、ウチにはそれが龍にみえた。

昨日の授業で習った星座のはなしがふと頭によみがえる。オリオン座にかに座、子犬座や牡牛座。教科書に書かれているそれらは、どうみてもいろんなパーツが足りなくて、ウチは全然納得できなかった。それにちょっとでも街が明るければ星なんてほとんど見えない。せいぜい夏の大三角形くらいだ。

でも、雲は違う。天気のよい日にはいつもあるし、その時々でいろんなものがみつかるんだ。

目も鼻も口もある。大きな龍は「じゃあの。」と言ってマンションの向こう側に消えた。

「じゃあね。」

ウチは雲と雲を結んで空にいろんな生き物をみつける。それはたぶん、ウチにしかみつけられなくて、きっとウチにしかできないことなんだ。

けど、できればお母さんには教えてあげたい。だってこんなにもたくさんの動物がいるんだから!

昔、保育園へ行く途中でモクモクした雲からぴょこっと頭を出した鹿が見えた。嬉しくってすぐにお母さんに教えたけれど、お母さんは空を見渡しても「どこかわからないよ」と残念そうに笑うばかりだった。「ドンマイ」って鹿が言ってるみたいでちょっとムッとした。

でも、ホントはみつけた時の嬉しい気持ちをお母さんにも知ってほしかった。


だってお母さんは

いつも携帯ばかりみていて、

ウチはその顔がちょっとだけこわかったから。


それに難しい顔をするお母さんの肩ごしにはいつも真っ青な空に白くてモフモフした生き物たちが愉快にどんちゃん騒ぎをしていた。




だから

ねぇほらお母さん、

ウチたち ふたりっきりじゃないんだよ。












【おわり】




風船に想いをこめて

2015-05-08 | 物語 (電車で読める程度)


俺的にバイト終わりのスポドリは最高だと思ってる。ペットボトルのフタを勢いよく開けて一気に喉に流しこむ。グレープフルーツ風の甘味料が疲れた体全身に行き渡るようだった。「んがぁー うめぇ。」さっきまで風船を配っていた可愛らしい着ぐるみとは似ても似つかないオッサン声で、この飲料水を讃える。

頭に巻いてたタオルを首にかけ、河原の草っぱらにどかりと腰を落とす。GWも終わり、いつも通りの慌ただしさにかえった日常。押並べてあちらこちらで見かけた「パパと息子のキャッチボール大会」も連休明けの今日はどこも開催されてはいないようだ。

ふぅーー っと長く細く息を吐く。それはちょっとした癖のようなものだった。部活に必死だった十代の頃の慣習。それは三十路をまたぎつつある今に至っても、続いていた。


5月の風は心地よい。でもそんな時、なぜだか訳もわからなく胸がいっぱいになってしまって、息苦しくなった。心はきっと幼いままなんだろう。と自己評価してみる。子どもの頃からちっともかしこくなってなんかいない。あの頃のまま、けれどあの頃の想いとか感傷はもう思い出せない。それがたまらなく不安で、何か大切なものを置き忘れているみたいですごくイヤだった。

右手で近くの雑草をぶちぶちと抜いてみる。下から名前もわからない小さな羽虫が出てきた。「夢を追いかけていた」というのはなにより自分への最大の自己弁護だ。それどころか、人並みの幸せですら俺には手の届かない夢のように思えた。いや、実は薄々は勘づいていたのかもしれない。「人並みの幸せ」なんてものは人並み程度の努力じゃ手に入れることは難しいってことに…。

ポケットに手をつっこむとバイトで余った風船の残りがあった。
キャッチボールをしてくれる相手のいない俺はこれを六畳一間の我が家にもって帰っても仕方がないわけで。
手にとった流れのままに俺はそいつを膨らませた。長く、細く、ゆっくりと息をそそぐ。音に込めた想いのように、俺はいくつも風船を膨らませた。

やがて 想いのすべてが ぷかぷかと浮かぶ頃、俺は風船まみれの変なオッサンになっていた。もし子ども達がいれば着ぐるみほどではないにしろ愛想よく配ったのだが、あいにく散歩中のおばあちゃんくらいしか辺りにはいない。

俺は河川敷の傾斜に背を預けて、そっと握っていた手を離した。

ふわり ふありと思い思いの方向へ放たれてゆく風船たち。

これはポイ捨てになるのだろうかとやや真剣に考えながら、風船たちの行く末を目で追う。

ひとつは風に煽られ上へ上へと舞い上がった。ひとつは地べたを這いずるように転げていった。ひとつは河に、ひとつは木々にそれぞれ落ちたり、ひっかかったりした。視界からどれも見えなくなってしまうまで、俺は切れ切れの雲を携えた空と対面していた。


ペットボトルは空っぽだ。わずかな飲み残しを光にかざすとキラキラと輝いていた。
俺は、ぼんやりとあの風船たちを探そうかと思った。

ちゃんと見つけれる自信はなかったけど、帰り道のついでに(案外以外な場所で)巡りあえたらいいなと思ったからだ。




【おわり】





ちょっと安心

2015-05-08 | 日記



お母さんの検査がおわって


悪性の腫瘍ではなかったことを聞いたとき

ホントに心からよかったとおもいました

けれど、

自分の家族がいつまでもそばにいてくれるわけじゃない

そんな当たり前の事実を見つめなおすいいきっかけになりました。


おとうさん おしごと がんばってね
おかあさん おせんたく ありがとう

なんて 大昔ならそう言ったのかもしれませんが、今はそこから一歩踏み込んで



お父さん、お母さん 家族を支えてくれてありがとう。




ちゃんと親孝行しないと


でも、今はしっかりと自立できるようになることが まずは目標です(^^)