「ねぇ、せんせ。」
冬期講習には少し早い時期にも関わらず、
こんなところで椅子に座らされている小学生を不憫におもった。
「アタシ、クリスマスプレゼントがなにかもう知ってるんだぁ。」
そして、こちらが応える間もなく話し続けた。
「100ピースのパズル。昔、あなたが好きでやってたでしょってお母さんがいうの。」
肩を落として言うこの子になんて言葉が丁度いいんだろうか。
いい大人のふりをして母親の気持ちを酌むように諭すべきなんだろうか。
結局、「それはやだね」と言ってしまった。
こんな家庭教師に払うくらいならさってね。
【おわり】