児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

第三幕

2022-02-07 | 物語 (電車で読める程度)
気がつけば、席についていた。
ゲームなのだという。
机には隙間なく埋め尽くされた双六、人を模した駒、中央には回転版があった。ぼんやりとしたまま、回転版を動かす。なんらかの数字が指し示され、おぼつかない手元を掲げ、駒を進めた。
 ゲームは中盤なるも、手札は貧しいままだ。麻痺した手足と霞む思考を巡らせ、せめてもの勝ち筋を探した。

札を切りながら、狙いを定める。
不条理が頬を舐める。
寒気がした。

時に大胆に盤上に躍り出る。息を潜めて山札をめくる。その時々の最善策は必ずしも合理的とは言えないかもしれないが、自分の時間だからこそ必要なのであった。

再演しろと言われれば、躊躇するが、
最期の余興ならば見たくなる程度には劇的でありたい。



【おわり】