児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

コーラ

2022-08-31 | 物語 (電車で読める程度)
すごく贅沢なことだとおもった。
コーラを飲んだ。すごく甘かった。

君たちがいまここでコーラを飲む意味を私はしらない。

けれども 甘い、甘いと顔をしかめながら

病気になると背伸びして言う君も、ゼロカロリーをよく飲んでいたと思い出に浸る君も、おかわりが要らないひとなんていないとまっすぐ手をあげる君も

それでも 喜ぶ君たちの顔を

体に悪いと知って段取りしたひとに

見せられなくて残念だなとおもう一方で

この瞬間はとっても贅沢なことだとおもった。

だからこっそり、あとでおしえてあげようとおもった。


結局、ベンチに座って好き勝手に飲むコーラは味が薄かった。


【おわり】


お前に告ぐ

2022-08-21 | 物語 (電車で読める程度)
語彙力も表現力も
地位も名誉も
財も選択肢も
能力も運も

なんにもないお前の

幼稚で陳腐な詩は

羽をもがれた虫のように

気味悪くむしろ可哀想だ。



だけど、じゃあこの気持ちさえも価値のないものなのかい。


だったら急いで消えなきゃいけないね。

きっとわたしを剥いて最後に残るのは、とっても拙い鱗のような心だよ。


【おわり】

ごめんねのかわりのつもり

2022-08-21 | 物語 (電車で読める程度)
あなたが、めんめと大きな声で叫ぶとき。
とっても悲しくなった。
本当はだいすきなのに
どうして、わたしはあなたにこんなことばばかりあびせかけてるんだ。
あなたはただ新しいことを知りたくて、きらきらした世界に手を伸ばしているだけなのに、いつしか、挑戦する前に、めんめといってしまうようになった。
ごめんね。ごめんなさい。
そんなつもりはなかったのに。
たった10秒前まであなたのことが大切なのに、突き刺すような叫びでわたしはとたんに擂り潰され、簡単にあなたのことを否定してしまった。

本当はいるだけでいいって伝えたいのに、
本当はいるだけでいいよって、いってあげたいのに。

なんて、なんて情けないんだろう。
本当はね、あなたのせいなんかじゃないよ。
あなたが思いっきり遊んだって安全な場所にできなくてごめんね。
あなたがお人形さんをもっていっしょにあそぼって誘ってくれているのに、遊んであげれなくてごめんね。
すぐつかれて横になってしまってごめんね。シャワーで熱い思いをさせてしまってごめんね。なんでこんなんなんだろう。
あなたのことがこんなにもだいすきで、愛おしくて、抱きしめて離したくないって思うのに、どうしたらそれが伝わるんだろう。押し付けがましくてごめん。あなたの人生なんてあなたのものなんだけれど、つまりあなたの親にならせてくれてありがとうってことなんだけれど、上手に言えなくてごめんね。

【おわり】