ここ10年というもの、犯罪とは全く縁の無い平和で長閑な山間の村、サムメリ村。
しかし、ソウルから転勤してきたキム・ガンス巡査(オム・テウン)の最初の仕事は、無残に引き裂かれて発見された若い女性の変死体の捜査になった。
被害者は、古いガンショップを営む元ハンターであるチョン・イルマン(チャン・ハンソン)の孫娘だった。
チュンは独自に捜査し、孫は山に住む獣によって殺されたと言い、また被害者が出ると主張する。
村人たちは不安と恐怖に襲われ、農業に関心のある都会人を呼んで農作業を楽しんでもらう「週末農業」の中止を訴える声が上るが、このビジネスを計画していた村長をはじめとする村のリーダー達は強行した。
数日後、再び犠牲者が出る。
犯人の正体は、山に住む巨大な人喰い猪であることが判明すると、村長はテレビで有名なハンターであるペク・マンベ(ユン・ジェムン)と彼の仲間たちを招聘し、人食い猪の狩りを実施した。
ペクのチームはその日のうちに巨大な猪を捕まえ、村長たちは記者会見を行うが、猪の死体を見たチョンは、人食い猪はまだ山の中に生きていると言う。
捕らえられた猪はメスで、もっと巨大で凶暴なオスの人食い猪が、殺されたメスの復讐のために村を襲うと主張するが、村長は耳を貸さない。
その夜、捕まえたメス猪の肉をバーベキューにして、村人たちによる宴会が公民館で開かれた。
売れっ子のラップ歌手も加わって、皆が飲めや歌えやのドンチャン騒ぎに興じているその時、遠くから地鳴りのような足音が近づいてくる。
ハッ!と皆が気付いたその瞬間、いきなり公民館の壁をぶち破って、巨大な猪が現われた!
メスを殺されて怒り狂う人食い猪は、鋭いキバで人々に襲いかかる。
公民館には、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開した。
同席していたペクだったが、獰猛な猪に気圧されて立ち向かうこともできず、同じく公民館にいたキム巡査は恐怖のあまりに建設機械の中で固まっていた。
再び山へと帰っていった猪を追って、新たに狩猟チームが結成される。
キム巡査とシン刑事(パク・ヒョックォン)の警察員を中心に、猪を逃してしまったペクと、実はペクの師匠筋にあたるチョン、そして研究のために強引にメンバーに入り込んだ女性生態研究員のピョン・スリョン(チョン・ユミ)で構成されたチームは、人食い猪を追って山中深く入り込んでいった…
巨大な人食い猪が平和に暮らす人々を襲う、モンスター・パニック映画。
3m~5mくらいはあろうかという巨大で凶暴な猪が、鋭い大きなキバを向いて我々に猪突猛進してくるのだから恐ろしい!
とはいえ、映画の宣伝文句に「怪獣映画史上最小スケールのスペクタクル」とある通り、東京湾から上陸したゴジラのように大都会を破壊するようなものではなく、最大の襲撃シーンでもバカデカい猪が村の公民館を襲うだけという、こじんまりとした怪獣映画。
しかしこの巨大猪の造形は、CG、アニマトロニックスと呼ばれるロボットを使った撮影に着ぐるみと、3つのパターンによって描いたという凝りようがいい。
大暴れする全体像はCGで描き込まれ、顔のアップではロボットによって豊かな目の表情が表現されるなど、場面に応じた撮影方法を駆使して“温かみ”と迫力のある猪が描かれている。
ハリウッド大作のように莫大な予算をかけずとも、十分に面白い怪獣が作れるということを、改めて示していて面白い。
そんな獰猛凶暴でおどろおどろしい人食い猪が暴れまわる恐怖の映画かといえば、さにあらず。
バカバカしいギャグやシュールな登場人物が盛り込まれていて、そこかしこで細かく笑いを誘っていく。
中でも、猪に襲われている人々を尻目に建設機械の中に逃げ込み、固まっているキム巡査の姿は秀逸。
また「おばちゃん」と呼ばれると凶暴になる謎の中年女性は、そのシュールさでもしかすると猪より相当怖い。
韓国映画における怪獣は「グエムル」以来だったが、人食い猪が猛スピードで走ってきて急に曲がろうとしてこける様子は、「グエムル」そっくり。
韓国はああいった動きが好きなのか?(笑)
それにしても、「グエムル」が生まれた原因はアメリカ軍の化学薬品廃棄で、この人食い猪は占領時代に日本軍の実験によって産み出されたものという設定に、妙な“被害者意識”が垣間見えると言えばうがちすぎだろうか。
B級映画のテイストが心地よく薫る、お気楽系モンスター・パニック・ムービー。
「人喰猪、公民館襲撃す!」
2009年/韓国 監督:シン・ジョンウォン
出演:オム・テウン、チョン・ユミ、チャン・ハンソン、ユン・ジェムン、パク・ヒョックォン
しかし、ソウルから転勤してきたキム・ガンス巡査(オム・テウン)の最初の仕事は、無残に引き裂かれて発見された若い女性の変死体の捜査になった。
被害者は、古いガンショップを営む元ハンターであるチョン・イルマン(チャン・ハンソン)の孫娘だった。
チュンは独自に捜査し、孫は山に住む獣によって殺されたと言い、また被害者が出ると主張する。
村人たちは不安と恐怖に襲われ、農業に関心のある都会人を呼んで農作業を楽しんでもらう「週末農業」の中止を訴える声が上るが、このビジネスを計画していた村長をはじめとする村のリーダー達は強行した。
数日後、再び犠牲者が出る。
犯人の正体は、山に住む巨大な人喰い猪であることが判明すると、村長はテレビで有名なハンターであるペク・マンベ(ユン・ジェムン)と彼の仲間たちを招聘し、人食い猪の狩りを実施した。
ペクのチームはその日のうちに巨大な猪を捕まえ、村長たちは記者会見を行うが、猪の死体を見たチョンは、人食い猪はまだ山の中に生きていると言う。
捕らえられた猪はメスで、もっと巨大で凶暴なオスの人食い猪が、殺されたメスの復讐のために村を襲うと主張するが、村長は耳を貸さない。
その夜、捕まえたメス猪の肉をバーベキューにして、村人たちによる宴会が公民館で開かれた。
売れっ子のラップ歌手も加わって、皆が飲めや歌えやのドンチャン騒ぎに興じているその時、遠くから地鳴りのような足音が近づいてくる。
ハッ!と皆が気付いたその瞬間、いきなり公民館の壁をぶち破って、巨大な猪が現われた!
メスを殺されて怒り狂う人食い猪は、鋭いキバで人々に襲いかかる。
公民館には、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開した。
同席していたペクだったが、獰猛な猪に気圧されて立ち向かうこともできず、同じく公民館にいたキム巡査は恐怖のあまりに建設機械の中で固まっていた。
再び山へと帰っていった猪を追って、新たに狩猟チームが結成される。
キム巡査とシン刑事(パク・ヒョックォン)の警察員を中心に、猪を逃してしまったペクと、実はペクの師匠筋にあたるチョン、そして研究のために強引にメンバーに入り込んだ女性生態研究員のピョン・スリョン(チョン・ユミ)で構成されたチームは、人食い猪を追って山中深く入り込んでいった…
巨大な人食い猪が平和に暮らす人々を襲う、モンスター・パニック映画。
3m~5mくらいはあろうかという巨大で凶暴な猪が、鋭い大きなキバを向いて我々に猪突猛進してくるのだから恐ろしい!
とはいえ、映画の宣伝文句に「怪獣映画史上最小スケールのスペクタクル」とある通り、東京湾から上陸したゴジラのように大都会を破壊するようなものではなく、最大の襲撃シーンでもバカデカい猪が村の公民館を襲うだけという、こじんまりとした怪獣映画。
しかしこの巨大猪の造形は、CG、アニマトロニックスと呼ばれるロボットを使った撮影に着ぐるみと、3つのパターンによって描いたという凝りようがいい。
大暴れする全体像はCGで描き込まれ、顔のアップではロボットによって豊かな目の表情が表現されるなど、場面に応じた撮影方法を駆使して“温かみ”と迫力のある猪が描かれている。
ハリウッド大作のように莫大な予算をかけずとも、十分に面白い怪獣が作れるということを、改めて示していて面白い。
そんな獰猛凶暴でおどろおどろしい人食い猪が暴れまわる恐怖の映画かといえば、さにあらず。
バカバカしいギャグやシュールな登場人物が盛り込まれていて、そこかしこで細かく笑いを誘っていく。
中でも、猪に襲われている人々を尻目に建設機械の中に逃げ込み、固まっているキム巡査の姿は秀逸。
また「おばちゃん」と呼ばれると凶暴になる謎の中年女性は、そのシュールさでもしかすると猪より相当怖い。
韓国映画における怪獣は「グエムル」以来だったが、人食い猪が猛スピードで走ってきて急に曲がろうとしてこける様子は、「グエムル」そっくり。
韓国はああいった動きが好きなのか?(笑)
それにしても、「グエムル」が生まれた原因はアメリカ軍の化学薬品廃棄で、この人食い猪は占領時代に日本軍の実験によって産み出されたものという設定に、妙な“被害者意識”が垣間見えると言えばうがちすぎだろうか。
B級映画のテイストが心地よく薫る、お気楽系モンスター・パニック・ムービー。
「人喰猪、公民館襲撃す!」
2009年/韓国 監督:シン・ジョンウォン
出演:オム・テウン、チョン・ユミ、チャン・ハンソン、ユン・ジェムン、パク・ヒョックォン