ランの仲間達はいい匂いがする。
におってみていい匂いがするとすごく得をした気分になる。
いつまでもかいでいたいが、自宅ならともかく他所では危険だ。
オヤジが腰をかがめて花に顔を突っ込んで動かないとなると
変人か病気の人になる。
どちらもあまり好ましくない。
近所の植物園ではラン科の花がたくさんあり、オンシジュームやらなんやらが花を咲かす。
このキャラメル色した子はすごくいい匂いがした。
夏に買って帰ったカトレアもいい匂いがした。
匂いは時間に織り込まれる。
今年の夏は天気が悪かったことだけが記憶になったが
このカトレアの匂いも夏の思い出となった。
匂いは音楽のようにとらえどころがない。
言葉や写真のようにつかまえることができないからこそ、そのときの風景や風の記憶に刻まれるのだろう。
またいつかそれに触れることでしか確かめようがないところに惹かれるのかもしれない。
色と匂いは虫を引き寄せ、鳥を引き寄せ、人を引き寄せる。
静かなる植物のサバイバルだ。
嗚呼、ボタニカル!