「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマとしたイタリア・ミラノ万博が10月31日、半年間の会期を終え、閉幕した。訪問者数は2100万人を突破。「和食を世界に売り込め」と日本中の自治体や食品メーカーなどが参加した「日本館」は、200万人以上が来館し、展示デザイン部門で金賞を受賞。参加した世界140以上の国や地域、国際機関の中でも高い人気を集めた。
日本館には、閉幕目前の30日にも5時間待ちの列ができていた。日本館のリピーターになったというジョバンニ・バッザーナさん(66)は「日本食は地方色豊かで、酒の種類も豊富だと知った」と話した。
参加国・地域中で最大規模の敷地面積。CGを駆使して日本の四季を紹介する展示や、観客参加型のショーが口コミで評判となり、10時間待ちの日も。「行列嫌いのイタリア人を並ばせた」と地元メディアでも話題になった。
26日付のイタリア紙コリエレ・デラ・セラが発表した調査でも一番人気。「詩情と科学技術のバランスが絶妙だ」と評価された。
各地の万博に通って「万博おばあちゃん」と呼ばれる愛知県瀬戸市の山田外美代さん(66)は、日本館のサポーターの一人に就任。これまでの万博のように毎日通うことはかなわなかったが、会期中3回に分けて計32日間通い、全パビリオンを制覇。各国の参加者と交流を深めたという。
イタリア人は地元の味や家庭の味を愛す人が多く、食には保守的だ。また欧州連合(EU)の厳しい基準もあって、イタリア外務省によると、イタリアから日本への食品の輸出は、2013年に年7億8300万ユーロなのに対し、日本からの輸入は900万ユーロにとどまる。だが万博に限り、EUへの輸出が認められていなかった日本産豚肉やかつお節が特例で許可された。
日本での勤務経験がある外交官のマリオ・バッターニさんは「素材の味を生かし、旬を大切にする。イタリア人の食に対する姿勢は日本人に似ている」と分析する。日本館の加藤辰也政府代表は「風穴を開けるのは簡単ではないが、実績をつくったのは意味がある」と話した