大阪城ホールで21日に開かれた第34回全日本小学校バンドフェスティバル(全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)で、中国支部代表として出場した防府市立華城小学校が金賞に輝き、同市立中関小は銀賞を受賞した。
■難曲、最高の演奏 華城小
「最高の演奏でした!」。初の金賞をとった華城小の部員たちは笑顔いっぱいで胸を張った。挑んだのは、酒井格作曲「ポロヌプ」。北海道の真冬の大地を舞台に、遠くに聞こえる地吹雪や、いてつく寒さのなかを走る開拓者などを部員32人で表現し、聴衆を北の大地へと誘った。
部員が「絶対にこの曲!」とこだわって決めた。「今までにない雰囲気の曲で、ユニゾンも多く練習になると思った」と部長の弘中果々菜さん(6年)。曲の大半を占める短調は、シンコペーションや高音で崩れぬように奏でた。吹き分けに苦労した長調は「暗い闇の中に、天使が出てきたような感じ」などと工夫。練習を重ねるほど、感情表現や音の強弱など、曲の難しさに気づいたという。
全国大会は2年ぶり3回目。部長を含め初出場の部員が多い。「大阪城ホールは音が響きにくく、いつもの音楽室とは音が違ってきこえる」と顧問の笹井規子教諭。学校の体育館でカーテンを閉め、毛布を敷き、なるべく似た環境をつくり練習した。
演奏を終え、副部長の中川太陽さん(6年)は「中国大会は悔いが残ったけど、今回は一番いい演奏だった。夢の舞台で、さらに夢の夢を取れた」と喜んだ。
中関小は、鈴木英史作曲の「大いなる約束の大地~チンギス・ハーン」を、弾むリズムと息ぴったりのハーモニーで奏でた。
部長の吉末愛花さん(6年)のフルートソロから曲は始まった。気持ちの入った高らかな音色で、聴衆を引き込んだ。
死去したチンギス・ハーンをたたえる終盤。テンポが遅くなり、楽器数が減り音色がはっきりと聞こえる。難易度が高く、大阪へ向かうバスの中でも、楽器の代わりにみんなで歌を歌い、最後までハーモニーを研ぎ澄ました。
合言葉は「全力でやる」。そう誓って挑んだ大舞台で結果は銀。顧問の安永幸子教諭は「みんな焦らず全力で、よくやってくれた」とねぎらった。吉末さんは「悔しさもあるけど、全力を出し切れて良かった。中学校でも吹奏楽を続けたい」と話した