17年の新車販売、2年ぶり500万台超 軽がけん引
自動車販売の業界団体が5日発表した2017年の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は16年比5.3%増の523万4166台だった。各社が新型車を投入した軽自動車が全体をけん引し、2年ぶりに大台の500万台を超えた。18年は日産自動車やSUBARU(スバル)で発覚した完成車の無資格検査問題の影響がどの程度続くかが焦点となる。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会がまとめた。国内の新車販売が前年実績を上回るのは3年ぶり。
軽自動車は16年比6.8%増の184万3342台と新車販売全体を上回る伸びだった。15年春の軽自動車税引き上げ以降は販売が低調だったがスズキ「ワゴンR」やホンダ「N―BOX」といった各社の新型車効果で持ち直した。16年に三菱自動車が燃費データ不正問題で販売を一時停止していた反動もあった。
スズキは17年12月、車内空間の広さが特徴の「スペーシア」を全面改良して発売した。後退時のブレーキサポート機能など安全装備を充実させている。「2台目に所有する車として、18年も女性や高齢者の需要が見込めそう」と関東のスズキ販売店オーナーは話す。
登録車は4.5%増の339万824台だった。最大手のトヨタ自動車が多目的スポーツ車(SUV)「C―HR」や子会社のダイハツ工業から供給を受ける小型車「ルーミー」「タンク」などで販売を伸ばした。
ナカニシ自動車産業リサーチは18年の国内需要を17年比で微増の525万8000台と予測する。中西孝樹アナリストは「軽自動車に回帰する傾向が見えるかもしれない」と指摘する。
国内販売はピーク時の1990年と比べると、3分の2程度の規模しかない。安全装備などで先進性を出した新型車で需要を喚起したり、輸出車両を増やしたりして工場の稼働率を維持向上できるかが課題だ。
17年は日産とスバルで無資格の検査員が完成車の検査を担当していた問題が明らかになった。正規の資格を持った従業員を確保するため、日産では生産水準を落として工場を操業している。スバルを含めてブランドイメージが低下している側面もあり、足元では両社の販売が減少している。問題の影響が長引けば、国内の部品生産などに影響が広がりそうだ。