1995年の阪神・淡路大震災の影響で、兵庫県伊丹市大阪府池田市などの一部では、2010年ごろまで地盤の沈下が続いたことが、京都大の橋本学教授(測地学)による解析でわかった。地盤沈下のペースは年間約1センチで、阪神大震災以降も約15年にわたって断層がゆっくりずれ動くなどして沈下した可能性があるという。

 阪神大震災の際には、本震の約2時間後の95年1月17日午前7時38分に、伊丹市付近でマグニチュード(M)5・4の余震が発生した。人工衛星からのレーダー観測データを使って地殻変動を詳しく調べたところ、M5・4の余震を起こした断層と有馬―高槻断層帯にはさまれた地域で、震災後から2010年ごろまで年間約1センチずつ沈下が進んだことがわかった。

 現在は、こうした地盤沈下は起きていないという。

 伊丹市などの地域では過去に地下水のくみ上げによる深刻な地盤沈下が報告されたが、橋本さんは今回検出された沈下について、「詳しい原因はわからないが、阪神大震災の本震によって周辺の地殻にゆがみが生じて、別の断層が動くなどして引き起こされた可能性がある」と分析している。(後藤一也)