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 大和郡山市は10日、中心市街地にある大正期の遊郭建築の一般公開を始めた。国の登録有形文化財「旧川本家住宅」を耐震補強し、「町家物語館」と名付けて自由に見学できるようにした。遊郭の歴史を伝えるとともに、市民活動の場として利用していく。

 旧城下町の一角。洞泉寺町(とうせんじちょう)の細い路地を進むと、周りの民家よりもひときわ目立つ3階建ての木造家屋が現れる。

 延べ床面積は591平方メートル。本館は1924(大正13)年に建てられた。黒を基調とした豪壮な外観。通りに面した窓は、すべて格子で覆われている。

 ログイン前の続きかつて、このあたりは遊郭として栄えた。1階正面の玄関を入ると、遊女(娼妓(しょうぎ))が控えた「娼妓溜(だまり)」や勘定をする「帳場」がある。2、3階には4畳ほどの小さな「客間」が廊下づたいに並ぶ。遊女が髪を整える「髪結場(かみゆいば)」の近くの壁には、ハート形の窓が三つ並ぶ。

 遊郭廃業後、客間は貸間となり、下宿として利用された。こうした歴史も、遊客名簿などの資料とともに展示されている。

 市は99年、空き家となっていた住宅を、「珍しい建物であり、遊郭の歴史も人権教育として語り継ぐ」として8700万円で買収。音楽やひな祭りなどのイベントの際に公開してきた。市は常時公開に向け、2016年から7800万円かけて耐震補強工事をした。

 10日にオープニングセレモニーがあり、打楽器奏者のスティーヴ・エトウさんがパフォーマンスを披露した。上田清市長は「ここではいろいろな人生があった。それを受け止めていきたい。今後、さまざまな活用法を提案していただけたら」と話した。

 開館は午前9時~午後5時。無料。休みは月曜(祝日の場合は翌日休み)など。問い合わせは市地域振興課(代表0743・53・1151)。