マツダなど5社、トヨタの移動サービス連合に参画
- 2019/6/26 21:59
トヨタ自動車とソフトバンクが主導する自動運転など次世代移動サービスの企業連合を巡り、マツダやスズキなど自動車大手5社が新たに参画する方針を固めた。連合に加わる自動車メーカーは計8社になり国内の四輪車の新車販売シェアで8割弱に達する。各社が移動に関わるデータの収集や分析で協力することで、消費者にとって利便性の高いサービスの開発につながりそうだ。
マツダ、スズキなどが出資する方針を固めたのは、モネ・テクノロジーズ(東京・港)。SUBARUとダイハツ工業、いすゞ自動車も出資する。各社の出資比率は数%とみられる。
トヨタとソフトバンクは2018年に共同出資でモネを設立すると発表した。モネは次世代の移動サービス「MaaS(マース)」を開発し、地方でのオンデマンド交通などのサービスを提供する。
今年3月にはホンダと日野自動車がモネにそれぞれ2億円超を出資し、約10%の株式を取得すると発表した。現状はソフトバンクがモネの株式の40%強、トヨタが40%弱を保有している。今回、電気自動車(EV)分野などでトヨタとの関係が深い5社が加わり、国内の移動サービスの基盤としての地位を固める。海外展開もにらむ。
国内の四輪車メーカーでモネの連合に加わらないのは日産自動車、三菱自動車のみとなる。
モネの陣営に加わるメーカーの18年の新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は約404万台となり、市場シェアの77%を占める。自動車各社は従来の車の開発、販売では競争を続けているが、MaaSの分野では協調する。モネは自動運転車を使ったサービス開発を加速するため、国内自動車メーカーに広く参加を呼びかけてきた。
一方、日産と仏ルノーは20日、自動運転開発会社の米ウェイモと無人運転技術を使ったサービスで提携を発表した。日仏で合弁会社を設立することでも合意している。
自動車業界は「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)が急速に進み、産業構造の変化に直面している。今後の競争を左右する自動運転の精度向上では、膨大な走行データをいかに収集し分析するかがカギを握る。米IT(情報技術)大手もデータ収集を急ぎ、米アルファベット(グーグルの親会社)傘下のウェイモは18年末までに自動運転で地球400周分の公道走行データを蓄積した。
モネはまず国内でサービスを展開する計画だが、アジアなど海外展開も視野に入れている。海外の自動車メーカーが参画する可能性もある。自動車メーカーがデータを持ち寄ってサービスを磨き、米IT大手などに対抗する。
PwCコンサルティングによると、MaaSの市場規模は、30年までに米国と欧州、中国だけでも計150兆円の規模に達する見込みだ。
トヨタは「CASE」の分野では、投資負担を減らしながら普及を急ぐ。技術の囲い込みではなく、仲間づくりを進めて共同で開発する「オープン化」を加速している。自動運転ではライドシェアや移動店舗など多用途で使える「イーパレット」を米ウーバーテクノロジーズやアマゾン・ドット・コムなどと共同で開発している。
17年にEVの基盤技術を開発する新会社をマツダやデンソーと設立。現在はSUBARUやダイハツ、スズキ、日野自など計9社が人員などを送り、日本の自動車メーカーの大半が参画する連合になっている。モネにもこの新会社に参加する自動車メーカーのほぼすべてが参画することになる。