春節「爆買い」訪日ラッシュはや号砲 中国LCCほぼ満席…運賃8000円、なんと20万円に
中国の旧正月にあたる春節前後の大型休暇(2月7〜13日)を前に、早くも“訪日ラッシュ”が始まっている。中国人観光客向けの査証(ビザ)発給作業は、前年を上回る勢いで、関連業界が寄せる期待はとりわけ熱い。中国経済の減速も指摘されるが、「爆買い」や「爆宿」など、社会現象を巻き起こした訪日中国人のにぎわいが続きそうだ。
■来月8日待たず、早くも“第一陣”
「ニーハオ、請吃●(=口へんに把のつくり)(どうぞ召し上がって)」
今月24日、富士山麓の観光地「忍野八海」(山梨県忍野村)では、土産物店の女性従業員が中国語で呼び込みする声が飛び交った。駐車場にはツアーバスが並び、人込みからも日本語はほとんど聞こえない。「この端境期にお客が途切れないなんて、10年前は考えられなかった」と地元住民は笑う。
来月8日の春節を待たずに、訪日ラッシュは始まっている。国内8空港に乗り入れる中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空は週末の日本便がほぼ満席となった。「ピークの来月7〜13日から埋まり、その前後の週も予約が一杯」(日本支社)だという。運賃も普段は片道8千円の大阪-上海線が、日によっては20万円前後に高騰している。
全日本空輸の中国路線はピーク前後の予約数が前年比1割増えた。「急激な円高にでも転じない限り、中国からの訪日客の動向は変わらない」(平子裕志ANAホールディングス取締役)との見方だ。
■ビザ申請も激増、訪問先は全国へ分散
中国の日本大使館や総領事館では昨年、春節前の1月に約6万2千件のビザ申請があった。だが、今年は8万件を超える見込みだという。
こうした訪日客を受け入れる軽井沢プリンスホテルは、2月7〜13日の予約率が29日時点で87%に達した。平均単価は前年比35%増で「大都市だけでなく、地方への広がりが顕著」(西武ホールディングス広報)だという。
中国人の訪日時期は、お花見シーズンや「国慶節」の大型連休がある10月などに分散し、通年化が進んでいる。それでも日本政府観光局の統計では、27年の春節月(2月)の訪日中国人旅行者数が約36万人と、前年比2・6倍に膨らんだ。
日本航空の斉藤典和専務執行役員は「中国経済の減速は訪日需要に影響していない」と言い切る。今年も日本各地で、中国人観光客による「爆買い」が最高潮を迎えそうだ。