GENさんの陸上ワールド

柳原 元の公式ブログ。WA世界陸連公認代理人。海外サポートしているクライアント選手、チームの活躍ぶりなどを綴ります。

オリンピック 男子マラソン

2012-08-14 12:54:16 | 日 記
個人的に一番関心度高かったオリンピック男子マラソン。
中本選手の6位入賞は見事。今回の五輪マラソンでは世間の注目が女子や藤原新選手に集まる中、
しっかりとした準備が出来ていたのだろう。
更にはこれまでの海外や国内メジャーレースでの経験の積み重ねも今回の結果に結びついていると思う。
40位台と本来の力を出し切れなかった山本、藤原両選手。記録や順位だけ見るとは大きく差が開いている
が、五輪に向けては全ての選手が限界レベルまで追い込んだトレーニングを積み、大きな重圧と日々戦い
ながら取り組んでいる。
全ての選手にとって吉と出るか否かは本当に紙一重の勝負だと思う。
実際、上位有力候補のエチオピア3人、更にアメリカ勢2名が途中棄権。ここ1,2年内に2時間7分台の
自己ベストを出しているフランス、モロッコ、エリトリアの選手らもゴールまでたどり着けなかった。
そして優勝確実とまで噂されたケニア勢も勝てず。これまでの世界メジャーレースでの彼らの活躍ぶりを
見れば、「普通に」走れば勝てるのに、と思うのだが。。。
改めオリンピック・マラソンの難しさを見た感じがした。

一方、優勝したウガンダのS・キプロテイッチ選手。誰も彼の勝利を予想していなかっただろう。彼は17歳の
頃から隣国ケニアのエルドレッドでケニア選手に交じりトレーニングを積んできたとか。母国に帰るのは年間
通しても僅かな期間らしい。実際彼のマネージャーでもあるヨス・ヘルメンス氏でさえレース後のコメントで、
「最近の練習ではケニアのトップ選手と互角の走りが出来ていたが、まさか彼が優勝するとは全く思っていな
かった」と述べている。
思わぬ伏兵が優勝したり上位に入ってくるのもまた五輪マラソンの特徴と言えるだろう。

あと注目すべき点で今回各上位選手の年齢。上位15位までに10人が30歳越えと「高齢ランナー」の
活躍が目立った。上から、

38歳 R・パーティル(イタリア・10位)、V・ロスリン(スイス・11位)
37歳 M・ケフレジキ(米・4位)
35歳 M・サントス(ブラジル・5位)
34歳 O・シコフスキー(ウクライナ・12位)
33歳 P・パウラ(ブラジル・8位)
31歳 W・ジュワワ(ジンバブエ・15位)
30歳 A・キルイ(ケニア・2位)、W・キプサング(ケニア・3位)、H・ソスト(ポーランド・9位)
29歳 中本(日本・6位)、C・ニャサンゴ(ジンバブエ・7位)、F・アルメイダ(ブラジル・13位)
28歳 A・ルンコフ(ロシア・14位)
23歳 S・キプロティッチ(ウガンダ・1位)

といった具合に。
複雑なコース、ペースメーカー不在、暑さ、五輪というプレシャー等々、条件の厳しいレースになれば
なるほど豊富な経験が活きるのがマラソンだと改めて感じた。マラソン練習のノウハウ、恵まれた環境が
揃っている日本の中で30代以降の選手にも取り組み次第で五輪、世界陸上で活躍する可能性はまだまだ
あるのでは(もちろん簡単なことではないが)。

一方、次回の五輪開催地ブラジルの選手がベスト10に2名。残りの1名も13位に入り、今後同国内では
メダル有望種目として強化が進む可能性が強い。更には優勝したウガンダ、7位に入ったジンバブエの選手も
今後世界のメジャーレース出場の機会が増えると共に、それら国内でも彼らの活躍に影響されマラソンに
取り組む選手、その選手らのマネジメントを拡大するエージェントが出てくる事も考えられる。
そういった動きがケニア、エチオピアだけでなく新たなアフリカ勢力の出現に繋がりそう。

世界のマラソン界に新たな流れを予感させる今回の五輪マラソンでした。

マラソン結果(IAAF公式サイトより)






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