GENさんの陸上ワールド

柳原 元の公式ブログ。WA世界陸連公認代理人。海外サポートしているクライアント選手、チームの活躍ぶりなどを綴ります。

スポーツの転換期(2)・2つの五輪問題

2015-10-10 21:23:29 | 日 記
2020年開催が決まった東京オリンピック。

本来なら五輪開催に向け様々な形で日本のスポーツ界が整備され良い方向に動き出していくはずが。。。
新国立競技場建設、そして五輪エンブレム・デザイン両問題における白紙撤回ですっかりトーンダウンして
しまったオリンピック・ムード。報道やSNSなどに上がっているコメントをみても責任の所在追及ばかりが
先行している感があるが、大きな問題は2つ、

1つ目は、
「なぜ、誰のために新しい国立競技場を作るのか?そして良い競技場とはどんな競技場?」、また「どんな
エンブレムを作る必要があるのか?それはなぜ?」といった一番最初に皆で共有しなければいけないビジョン、
コンセプトに関する具体的な議論や情報公開が撤回前の計画やデザイン発表前に多くの国民になされなかった。
それら業務経費や業務に関わる人の報酬額の合計は巨額で、その負担は国民の税金による部分が大きいにも
関わらず。

2番目に、
どんなスタジアム案、エンブレムデザイン案をどの様な応募要領、審査、採用するのかといった規準が、多くの
人に納得を得られる形で事前に具体的に示されなかった。
その様な中で文科省、JSC、五輪組織委員会内のそれら業務に関わるごく狭い一部の権力者、関係者が「密室」で
業務を進めてしまった。
よって多くの国民にしてみればスタジアムのザハ案、エンブレムの佐野案がいきなり目の前にどん、と出され、
「何でこれになったの?しかも(スタジアムの場合)2520億円も何で掛かるの~?」、「良く調べてみると
エンブレムは過去に似たようなのがあるってどういうこと~?」などなど。
「密室」当事者達も最初に正しいやり方で仕事を進めていないものだから、きちんと説明できないまま多くの人の
疑問、不満ばかりが増大していったという今回構図。

ちなみにスポーツ競技の世界では、互いにルールを守り(それは公平であり、プレーヤー、審判、観る人が共通
認識を持った中でゲームが始まる)、そんな中でフェアプレー精神を持って勝利(仕事で言えばよい結果、成果)
を目指しプレーする。
だからこそ勝者、そして勝利をめざしベストを尽くした者に、多くの人が賞賛、リスペクトの念を抱く。
それ故にスポーツマンは多くの人から愛され尊敬される存在として認められてきたと。
スポーツ発祥の地、イギリスでは1800年代、ジェントルマンであり優秀なリーダーを育成、輩出するための
ソフトとしてスポーツが生まれ発展した経緯がある。
なのに世界最高のスポーツマンが集い、世界で最大、最高の舞台オリンピックを企画、運営する人達の仕事ぶりが、
こんな状況ではオリンピックを日本で開催する意義って何んだ?と多くの人が首をかしげてしまうのは当たり前。

勿論、文科省、JSC、五輪組織委員会などで働いている人たちの中にも誠実に全うな仕事をしている(或いは、
しようとしている)人は沢山いると思う。
これら組織に関わるごく一部のリーダーや権力者の間違った行動が今の状況を作り出している感が否めない。
それは同じ組織で全うな仕事をしようとしている人たちの存在や行為をも裏切ることを意味する。

こういった状況をある意味反面教師として、自分はそうなってはいけないという思いでスポーツの仕事に関わって
いくことしかないのかと、感じさせる2つの五輪問題。
これら問題を反面教師として今後スポーツ界を牽引する良いリーダー、良い組織が生まれることを願うばかりです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。