今日はいくぶん暑さが戻って来たものの、あのどうしようもない蒸し暑さはもう無く、爽やかな秋は、間違いなくやって来ているようです。
9月14日に打ち上げられた月周回衛星『かぐや』は、10月4日月周回軌道突入といいますから、今まさに月に向かっている途中ということになります。
名月をとってくれろと泣く子かな
むかしある時ある山で、猿と狐と兎とが、仲良く遊んでおりました。夕方になって、みすぼらしいおじいさんがそこを通りがかって、
「お腹がすいてもう動けない、何か食べるものをめぐんではくれまいか」
そこで、猿は山から木の実を、狐は川から魚をつかまえてもってきました。でも、獲物をつかまえることの苦手な兎は、何も持ってくることが出来ません。
やがて夜になり、月明かりの下、焚き火で木の実や魚を焼いていると、とつぜん兎が焚き火に飛び込んで
「どうぞ私をお食べ下さい。」
すると、おじいさんはその姿を神に変え、兎を空高く放り投げました。
それから、月には兎が住むようになったんだよ。
今日は十五夜、仲秋の名月、すすきと団子を供えたさきで虫の声をBGMに、おじいちゃんが孫にそんな話をしている。
「へぇ~~~、だからお月さんには兎が見えるんだね」
なんてね。
・・・・・・・・今やそんな爺さんも子供もいやしないか。それでも、月をとってくれとせがむ純真な心は、忘れて欲しくないものであります。
今宵、仲秋の名月は皆様の窓を照らしていてくれるでありましょうか?
月々に 月見る月は多けれど 月見る月は この月の月
これが、私の場合ですと
月々に 酒呑む月は多けれど 月見る酒は この月の酒
『かぐや』がどれほど月を解明しようとも、私のような凡人は月見酒に酔いしれて、
「おっ!さすが名月、分身の術まで使いやがる!」
「それはあんたが酔っぱらってるからよ」
さて、今日の一枚は、「I WISHED ON THE MOON (月に願いを)」ってことで、ビリー・ホリデイを選んでみました。
「あれ?このアルバムに「I WISHED ON THE MOON」なんて入ってた?」ってですか?
自叙伝『奇妙な果実』(本題はこのアルバム・タイトル「LADY SINGS THE BLUES」)の出版を記念して出されたアルバムですが、私はCDのみの所有なのでありまして、入ってるんです「I WISHED ON THE MOON」(笑)。そのかわり、フランス映画『エヴァの匂い』で使われていたレコード分「LOVE ME OR LEAVE ME」「WILLPW WEEP FOR ME」ら4曲が入っていないという、なんだかわけのわからないCDなんですが・・・・
今日は手持ちのCDの曲順・内容で紹介します。
う~~ん、ジャンヌ・モロー良いですよねぇ
彼女の声の衰えは何ともしがたいところ、それでも『仲秋の名月』を愛でながら飲む酒には、逆にその渋さがなんともよろしいんじゃないでしょうか。
このCDでは後半に収められている1956年6月6,7日の録音は、5度目の監獄生活から解放されてすぐ、まさに本の出版に合わせて録音されました。自叙伝の和名タイトルである「奇妙な果実(STRANGE FRUIT)」はじめ、「TRAV'LIN' LIGHT」「I MUST HAVE THAT MAN !」「SOME OTHER SPRING」「NO GOOD MAN」「GOD BLESS THE CHILD」「GOOD MORNING HEARTACHE」いずれも各章のタイトルに使われています。
「I WISHED ON THE MOON」今宵、私はあの月に何を願いましょうかねぇ。
LADY SINGS THE BLUES
BILLIE HOLIDAY(vo) 他
1.SAY IT ISN'T SO
2.I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM
3.I WISHED ON THE MOON
4.ALWAYS
5.EVERYTHING HAPPENS TO ME
6.DO NOTHIN' TILL YOU HEAR FROM ME
7.AIN'T MISBEHAVIN'
8.TRAV'LIN' LIGHT
9.I MUST HAVE THAT MAN !
10.SOME OTHER SPRING
11.LADY SINGS THE BLUES
12.STRANGE FRUIT
13.GOD BLESS THE CHILD
14.GOOD MORNING HEARTACHE
15.NO GOOD MAN
16.REHEARSAL FOR GOB BLESS THE CHILD
おまけ、
最後に私の好きな金子みすずさんの詩を一編。
「月日貝」
西のお空は あかね色、
あかいお日さま 海のなか。
東のお空 真珠いろ、
まるい、黄色い お月さま。
日ぐれに落ちた お日さまと、
夜あけに沈む お月さま、
逢うたは深い 海の底。
ある日 漁夫にひろわれた、
赤とうす黄の 月日貝。