今日は午後からのお手伝いに備えて、午前中は床屋さんへ行ってくる予定でおりましたが、予定通りいかないのが私らしいところ、朝食を済ませ、珈琲をたて、朝っぱらからアート・ファーマーなんぞを聴いていると、久しぶりに部屋に吹き込んでくる風が、涼を誘います。
この季節、昼間っから汗もかかずに趣味部屋にこもれる機会などそうはありません。こうなると「デブの出不精」が言うことを聞くはずもなく、DVDなんぞを見始めてしまいました。
鑑賞したのはフランス・アメリカの合作映画、ジュリアン・シュナーベルの『潜水服は蝶の夢を見る』
いやぁ、この手の映画は『私の壺にバッチグー』でありまして、映像の雰囲気、淡々と進むストーリー、これといったインパクトがあるわけじゃないけどジワジワとしみ込んでくる味わい、ある意味詩的で、思わせぶりで、それでいて実話ですから当然現実離れしているわけではなく、人間の本質を突いているような・・・・・
好きですねぇこういう映画。
チョイワルオヤジだった実在の人物ジャン・ドミニック・ボビーが、ある日突然脳梗塞で倒れ、意識ははっきりしているのに、左目以外の運動機能を全て失う、そんな時、人間は何を考え、何を思うのか?『潜水服は蝶の夢を見る』とはよくも付けた題名であります。
彼自身が左目のまばたきだけで綴った原作だけに、「普通であれば想像のつかない状況下の人間思考とはこんなものなのか」と思わせてくれますし、自分自身が同じような状況になったとき、「いったい私はどんな妄想と現実の狭間を行き来するのか?」そんなことも考えさせてくれます。
何も出来ないしかも有り余る時間が、悔いや本当の愛や大切なものへの想いや・・・・それを繰り返し感じ続けさせる、ある意味拷問にも等しい潜水服に閉じ込められたような時間が続くんですよ。私だったらどうするだろう?誰を想うのだろう?ってね。
自虐的にその時間を過ごす彼、彼ほどではないにせよ私もかなり自虐的な想いを巡らす人生を送ってきていますから、彼がいつしか本当に自分自身と向き合うようになって、蝶のように想像力を羽ばたかせるとき、救われたような思いになるのは、おそらくは何処かで自分を重ね合わせているからかもしれません。
『バブも蝶の夢を見るのか?』ってとこですかね。
娯楽超大作もそれはそれで楽しいものですが、たまにこういった映画を観るのも悪くないと思います。
まっ、好き嫌いはハッキリしそうな映画ですけどね。
ところで話はコロッと変わりますが、ついにこの「goo ブログ」でも、コメントスパム対策として「4桁の数字による画像認証」が始まりました。
幸いにも私のところは、それほどコメントスパムに悩まされておりませんから、画像認証が本当に必要か?となると疑問もあります。(なんたって面倒ですから)
でも、たまに入ってくるあの何処へ怒りをぶつけてよいのか分からないコメントに、日々悩まされている方のことを思えば、やむを得ない対策ではないかとも考えます。
コメントを残していただいているみなさん、少々おっくうかとは思いますが、ご理解の上ご協力下さい。
さて、今日の一枚は、バリー・ハリスです。
(ひょっとしてハリスのリーダー盤を紹介するのは始めてかもしれません)
このアルバムは彼の初リーダーアルバムですが、「ALL THE THINGS YOU ARE」なんていうじつに渋くて地味ーな一曲で始まるあたり「いかにもハリス」と思わせる一枚です。
聴き所は?・・・・そうだなぁ、私としては「ORNITHOLOGY」、セロニアス・モンクとバド・パウエルを敬愛したハリスが、バドが幾度となく演奏していたこの曲をどう料理するのか?みたいな興味で聴いてみても面白いかもしれません。
私にとってハリスは、やっぱりとても地味で目立たなくて、といった印象が強いピアニストです。ただそれだけに、飽きも来にくいピアニストであるとも思っています。
このアルバムも、どちらかといえば「ひときわ輝く名盤!」とは思えませんが、今日紹介した映画のように「じっくり徐々に味が湧いてくる」そんな一枚じゃないでしょうか。
(と言いつつ、「バドから激しさを取ったらバドじゃない!」みたいに思っている私には、少々物足りない感はありますけどね。)
BREAKIN' IT UP / BARRY HARRIS
1958年7月31日,8月1日録音
BARRY HARRIS(p) WILLIAM AUSTIN(b) FRANK GANT(ds)
1.ALL THE THINGS YOU ARE
2.ORNITHOLOGY
3.BLUESY
4.PASSPORT
5.ALLEN'S ALLEY
6.EMBRACEABLE YOU
7.SRO
8.STRANGER IN PARADISE
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