JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

名人語り

2007年03月09日 | g-i

先日、車中でラジオなんぞを聴いておりますと
山本直純氏の ♪チャンチャチャ、チャカチャカ、チャンチャンチャン♪ (雰囲気だけわかってください)というお囃子にのって、「小沢昭一の小沢昭一的こころ、今週は純情一途、阿部定について考える」と流れてきました。
皆さんも一度はお聴きになったことがあるのではないでしょうか、昭和48年スタートといいますから、30年以上続いているTBSラジオの超長寿番組『小沢昭一の小沢昭一的こころ』であります。
小沢昭一氏の絶妙な語りとユーモア溢れる内容についつい引き込まれてしまう、じつに素敵な番組でありますが、これを聴いていて、以前から読もう読もうと思っていたのに、まだ入手していなかった本を思い出したのです。

平成17年6月、小沢氏は、句会が縁だという柳家小三治師匠の「いっぺん寄席に出てみないか」との勧めに答えるかたちで、新宿末広亭の高座に10日間上がられたことがありました。
この時の全記録として昨年発刊されたのが、読みたかった『新宿末廣亭十夜』であります。
思い立ったが何とかで、その日早速に本屋さんで入手、読み始めたらあーた、アッいう間に読み終わってしまいました。(笑)

 仏説 あほだら経
 恐れながら すなわちだんだん
 手枕やっかい 諸芸一座のお定まり
 芝居で三番叟(さんばんそう) 相撲なら千鳥
 祭文ならば デレンデレンの ホラ貝しらべ
 阿呆陀羅経という奴は
 誰がやっても 何年やっても 同じことかよ

        (中略)

 犬は喜び ころこび
 弘法大師に 貰ろうた足に
 小便かけたら 勿体ないと
 いまだに 片足持ちゃげて
 小便するには まちがいないわーい

はははは、中略付きをしかも文字で見たって何の事やらわけがわからないでしょうが、小沢氏が、リズム良く語る『あほだら経』
「くそう!その場で聴きたかった」
と思ってしまうのであります。

志ん生師匠のお宅へ伺った時に、いろんなお話を伺ったんですけど、その中でも、 わたくし、感動した言葉がございます。それを申し上げまして、お別れしたいなと思うんです。ほんのちょっとの短い言葉なんですけど。さっきもちょっと申し上げましたように、冷やでお酒を召し上がっているんでね。
「師匠、あれですか、やっぱり御酒が一番お好きなんですか」
なんて聞いたんですよ。そうしたら一言。
「ウーン、ビールは、ビールは小便になって出ちまうけれども、酒は、うんこになる」(爆笑)
すごい奥の深いことをおっしゃる方でございますね。(笑・拍手)並大抵の人じゃ言えないお言葉でございましてね。(笑)
ずいぶんいろんなお話を伺ったんですが、これが一番わたくしの心に、強く強く残っている名言なんでございます。(笑)

話芸もまた、志ん生師匠のお言葉のように奥が深い。先日、円楽師匠のお話をしましたが、落語の師匠連中も、小沢昭一氏も、その深さに恐れをなしつつも、さらにさらに極めてこられたのでしょう。
名人の語りには美しさすら感じてしまいます。

『小沢昭一の小沢昭一的こころ』のこんなページを見つけてしまいました。よければ名人語りを味わってみてください。

さて、今日の一枚は・・・・
正直に言うとエリック・ドルフィー目的で買ったアンドリュー・ヒルのアルバムです。
ヒルの初リーダーアルバムは「SO IN LOVE」(WARWICK)でありますが、当初1955年録音との表示に「えっ?高校生でリーダー?」みたいな話もあったものの、実際は1959年録音だったという曰く付きのアルバムでもありました。
まぁ17才でも22才でもいいんですが、このヒルから、ブルーノート時代のヒルを想像できた人がどのくらいいたのか?少なくとも私には不可能だったと思います。(それほど違うということ)

ブルーノートでは、ジョー・ヘンダーソンの「OUR THING」(4152)、ハンク・モブレーの「NO ROOM FOR SQUARES」(4149)とお付き合いして、初リーダー盤「BLACK FIRE」(4151)から、怒濤の約半年でアルバム5枚という何だかものすごいことをやりのけてしまったわけです。さらに全曲オリジナルってんですから、まさに彼の才能に脱帽でありますね。

でもね、私的にはひじょうに不満があるんです。というのは、どのアルバムも同じような感じで変化がないというか・・・・・
いや、悪くないんですよ。むしろ私は好きなタイプなんですが、「だったらどれでもいいジャン」みたいな・・・・・・

そのせいでしょうか、私が持っているのは今日の一枚+「BLACK FIRE」(4151)、「ANDREW !!! 」(4203)の3枚だけ、それでじゅうぶんのように思っています。
そのかわり、私としての評価はどれも高く、今日のアルバムもドルフィー好きもあいまって、大好きな一枚としてよく聴いていますよ。

POINT OF DEPARTURE / ANDREW HILL
1964年3月31日録音
ANDREW HILL(p) KENNY DORHAM(tp) JOE HENDERSON(ts) ERIC DOLPHY(as,fl,bcl) RICHARD DAVIS(b) TONNY WILLIAMS(ds)

1.REFUGE
2.NEW MONASTERY
3.SPECTRUM
4.FLIGHT 19
5.DEDICATION



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2 コメント

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Andrew Hill 死去 (KOJI)
2007-04-22 12:00:23
BABUさん、ご無沙汰しております。
悲報が入ってきました。
Andrew Hill がつい20日75歳で亡くなりました。
またBN時代のベテランが去ってしまいました。
最近ではCharles Tolliver (tp)と共演したアルバムもあり、健在だと印象付けていたので、悲しい限りです。
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KOJIさん (バブ)
2007-04-22 21:55:18
お知らせいただいて、ありがとうございます。
肺ガンだったようですね。

今日の記事に、彼の経歴を、簡単にですが記載してみました。
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