今日またしても訃報が届きました。23日ロサンゼルスでアニタ・オディがお亡くなりになったそうであります。年齢は87歳ですから、ヘロイン中毒、アルコール依存症を繰り返したわりには大往生といってもよいかもしれません。
「♪ スウィ~~~ト、ジョージブラウン・・・」
私の中でのアニタ・オディは、映画『真夏の夜のジャズ』のあの黒と白のドレスと帽子、白い手袋姿があまりに印象的で、チャーミングな笑顔にクラっ、そのくせ顔に似合わぬハスキー・ボイスにクラクラって感じで恋しちゃいそうでありましたが、
『真夏の夜のジャズ』は、1958年7月のニューポートですから、12月生まれのアニタは39歳、もうすぐ四十でしょ、それにしてはずいぶんと若く見えてしまったのは私だけでしょうか?
ともかく私にはとても素敵な女性に思えたのです。
そうそう、「先輩で彼女にこの時のアニタと全く同じ格好をさせて喜んでいた人がいた」という話は、以前にしたことがありましたよね。
『真夏の夜のジャズ』を始めて観たのはいつだったでしょう?良く覚えてないんですよね。日本初公開は、翌年の1959年ですから、この時でないことはたしか、それでもほとんど始めて動く幾人ものジャズメンを観たので、感激をしたことは良く覚えています。
アニタ・オディもそうですが、モンクにマリガン、クリス、ファーマー、ドルフィーなどなど、今みたいに簡単にVTRやDVDがあるわけじゃありませんから、ライブにでも行かない限り動くジャズメンにはお会いできませんでしたからね。
「なんで、全ミュージシャンの映像を出してくんないんだろうね」なんて怒ってみたりして。
そういえば、昔、『フイルム・コンサート』っていうのが結構ありましたよね。たしか『バングラディッシュ救済コンサート』や『ウッドストック』も、私はそんなんで観た記憶があります。
なかには、トーク会付きみたいな、ミュージシャンについてはもちろん、なんだか政治集会みたいなものも同時開催だったりすることもあって、そんなのが地方でもよく行われていたように思います。
今思えば、大学祭ノリみたいな・・・・えっ?いまや大学祭でだってそんなことしないって? ははははは、そうですよね。
話がいらぬ方向へ進んでしまいました。
ともかく、いかに大往生とはいえ、アニタ・オディの死は、また一人私の知るミュージシャンがこの世からいなくなってしまったということ、とても悲しい思いです。
これほど語っておいて、私が持っているアニタのアルバムは二枚しかありません。(なにしろボーカルものには強いもので・・笑)
そのうち、「ANITA SINGS THE MOST」は以前に紹介したことがありますので、今日の一枚は「THIS IS ANITA」です。
THIS IS ANITA / ANITA O'DAY
1955年12月6,7,8日録音
ANITA O'DAY(vo) BUDDY BREGMAN ORCHESTRA
1.YOU'RE THE TOP
2.HONEYSUCKLE ROSE
3.A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE
4.WHO CARES ?
5.I CAN'T GET STARTED
6.FINE AND DANDY
7.AS LONG AS I LIVE
8.NO MOON AT ALL
9.TIME AFTER TIME
10.I'LL SEE YOU IN MY DREAMS
11.I FALL IN LOVE TOO EASILY
12.BEAUTIFUL LOVE
sings the mostも良いですが、この"This Is Anita"がやはり最高傑作だと思います。
87才なら充分ですよね。
今晩はゆっくり聴いてみます。
なにしろ大得意のボーカルですから、よくはわかりませんが、アニタは他のボーカリストより声量が落ちるとは思うんです。
でも、なんとも味があるというか、色っぽいというか(声がですよ)、少なくとも私が持っている二枚は、とても好きなアルバムです。
アニタを忍びながらゆっくりお聴きくださいね。
それにしても、音源として、音楽として、死後も世界中で聴き続けられる、ミュージシャンというのは素敵な商売だとつくづく思わされます。