TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

作曲とはなにか2~拍子・旋律・和声

2014年03月04日 | 作曲とはなにか
現代の音楽の多くは次の3要素から成り立っている。すなわち①拍子(リズム)②旋律(メロディー)③和声である。

①拍子とは時間をある一定の長さで均等に区切った人工的な時間秩序。
②旋律とは12音の平均律と西洋の調性理論に基づく音の連なり。
③和声とは基音を含めた低次倍音を同時に響かせたもの。

我々が普段耳にする音楽はこれら3つの要素から構成されている。そして作曲行為の多くはこの3つの要素を任意の時間内にある一定のルールや様式に従って音を重ね、「構築」していくことだと言える。
手近にあるミニチュアスコアやピアノ譜を見てみて頂きたい。①、②、③の要素がことごとく詰め込まれていることに気づくはずだ。

さて、ここまで来た時点で気の早い現代音楽家や民族音楽の研究者は颯爽と異を唱えるであろう。そもそも間隔の均等なリズムを持たない民族音楽などざらにあるし(日本の伝統音楽が良い例だ)、1オクターブを12音どころか30音以上に分割し、聞き分ける民族もいる。また、シェーンベルクやケージを引き合いに出して調性音楽の崩壊と音そのものへの回帰を唱える人もいるだろう。

もちろん、私はこれらの言説を否定しない。むしろ自分自身もそのような多様な音楽のあり方に大いに興味を持ち、勉強し、日々触発されている。だが、現代社会でそのような音楽の聴き方をする人間は極めてマイノリティであることを我々は「事実」として認めなければならない。

参考までに下記の資料のP10以降を参照してほしい。

日本レコード協会 2012年度音楽メディアユーザー実態調査
http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/pdf/softuser2012.pdf

CD、インターネット配信購入者のほぼ99%が文頭で述べた3要素から成る音楽(もはやこれを西洋音楽と呼んでよいか疑問だ)を求めていることがわかる。

我々の多くは西洋式の音楽教育を受け、日々その枠のなかで小競り合うPOPSやクラシック音楽に身を浸しているのだ。それが良いか悪いかという不毛な2元論はここで展開する気はない。

まずはそのような状況の中で現代の作曲家は何を目指すのか、自覚的であるべきなのだ。










Silent, Chaotic, Beautiful ¥200
Composer/Tomo Hirayama
Piano/徳山美奈子





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