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チャンピオンの品格(PrimeVideo LIVE BOXING 9 雑感)

このブログの「プロレス、格闘技」カテゴリには、当然ボクシングも含まれます。
わたしは一応、ボクシングにもそれなりに興味を持つ人間ではあります。

遡れば、"カンムリワシ" 具志堅用高が活躍した1970年代、わたしは小学生でした。
その次に思い出されるのは、"浪速のジョー" 辰吉丈一郎の生き様です。
「辰吉丈一郎 vs シリモンコン戦」
このフレーズを頭に思い浮かべるだけで、今でもグッとくるものがあります (´;ω;`) ウッ...

"ノックアウトダイナマイト" 内山高志の活躍を目撃したのが、2009年頃のことでした。
その後の数年間、TV 東京の世界タイトル防衛戦の中継で「内山がまた勝った!」のテロップを見てから年を越すのが、我が実家の大晦日の恒例となりました。
内山高志選手に関しては、もう少し早い時期から着目していれば良かった、活躍をもっと長く見たかった、と今でも後悔しています。

そして、2024年12月30日のナルバエス戦で、"モンスター" 井上尚弥の存在を知りました。
内山高志選手と同じ後悔をしないように、井上尚弥選手の今後のさらなる活躍を、目を皿のようにして見ていきたいと思っているところです。



そんなわたしが、先日の 2024年7月20日(日)、Amazon Prime Video LIVE BOXING 9 の中継を観戦しましたので、そのときに思ったことを書いてみたいと思います。

この大会の目玉は、WBC世界バンタム級チャンピオン、中谷潤人選手の初防衛戦と、
WBA バンタム級7位、那須川天心選手のボクシングデビュー第4戦目、の2試合で、
普通に考えれば、初防衛戦を闘うチャンピオンが主役である筈です。

しかし、大晦日の RIZIN 等に出場した経歴を持つ那須川天心選手が、知名度は先行しています。
中谷潤人選手の名前と実力は、ようやく一般層に知れ渡り始めている段階かと思います。

それもあってか、中谷潤人選手のタイトルマッチがメインの試合ではありましたが、大会のプロモーション的には、那須川天心選手のボクシング転向第4戦が前面に押し出されていました。
それはビジネスとしては完全に正しく、また、那須川天心選手のそれまでのキャリアがボクシング界に貢献しているということでもあるので、悪いことではないと思います。

ただ、そのことをあまり快く思えない人がいるのも、事実かと思います。



興行を打つ側の論理としては間違いのない、那須川天心選手の「VIP 待遇」を、
素直に受け止められない人は、少なからずいるように思います、
先日の LIVE BOXING 9 の中継を見て、そのように改めて感じました。

那須川天心選手と中谷潤人選手、二人それぞれの試合後の、勝利者インタビュー。
あれを見て、みなさんはどう思われたでしょうか?

那須川天心選手は、自らマイクを掴んで、雄弁且つ派手にアピールを施していきました。
ファンへのサービス精神であるのは間違いなく、それに呼応する場内の歓声もありました。
しかし、その一方で「固まっている」観客も大勢いました。
ちょっと引いた感じで、皆黙り込んでいる・・・・、そういう空気が充満している様子が、
途中何度か客席に映像が切り替わったとき、手に取るように分かりました。

一方の中谷潤人選手は、謙虚で爽やかな受け答えを披露してくれました。
那須川天心選手に比べると歓声は少なかったかもしれませんが、客席に映った人たちは皆、
素直に拍手を送っていて、那須川選手のときとは雰囲気が明らかに違っていました。

この対比は、とても面白いなと、見ていて思いました。



格闘技なので、強くなければ話になりません。
でも、試合に勝ちさえすれば、あとのことはどうでも良いのか。
チャンピオンには、相応の品格が求められる。

日本のボクシングファンは、そういう目で見ると思います。
それが最も強く問われたのが、かつての「亀田劇場」だったと思います。

那須川天心選手が亀田劇場と同じと言うつもりは、全くありません。
そもそも、アピールの方向性が全く違いますし・・・・(笑)

ちなみにわたしは、亀田劇場を、もったいないなぁと思って見ていました。
小さい頃からあれだけ一生懸命ボクシングに打ち込み、努力を重ねた人間の根本が曲がっている筈はないのに、あんなことをやらされて損をしているなと、思いながら見ていました。

那須川天心選手の類い希なる格闘センスは、誰もが認めるところで、説得力十分です。
外野の文句を実力で黙らせる、そんな活躍を今後も見せてくれると思います。
ただ、一挙手一投足の振る舞いを少し変えるだけで、世間の見る目はさらに大きく変わる。
その意味で、やはり少し損をしている部分があるように、わたし個人的には思っています。

那須川天心選手のボクシング転向第1戦のとき、解説席の村田涼太氏が、那須川天心選手のマイクアピールを見て半ばキレ気味に苦言を呈したことが話題になりましたが、あれは、同じことを思ったからではなかったのかなと想像します。



一方の中谷潤人選手は既に、チャンピオンの風格と品格を備えていると感じます。

どんなに劇的 KO 勝利を飾っても、勝利者インタビューはあくまでも、謙虚で爽やかに。
コーナーポストに駆け登って雄叫びガッツポーズ、というようなパフォーマンスをやることも、決してしないでしょう。

頭が金髪に染められることも、
ましてや、ワンポイントのタトゥーが入れられることも、ないでしょう。
そしてあの、脱力系の優しい表情。

今の時点で、本当にもう清々しいまでに、俺が俺がというところが全くありません。
それでいて、"ネクストモンスター" と言われる実力を兼ね備えている。
そんなチャンピオンの勇姿は、日本人の心に突き刺さります。

中谷潤人選手を見ていると、思わず応援したくなる。
そういう人は、今後益々増えていくのではないかと思います。

現在、世界バンタム級の4本のベルトは、中谷潤人選手を筆頭に日本人が独占しています。
この4人の中に、那須川天心選手がどのように割って入るのか?
井上尚弥戦の切符を手にするのは、誰なのか?
これからの夢の闘いが本当に楽しみです。
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