いつだったか
自分の中でふと思いついたんだ
もしも自分の中で絶対に変わらないものが
たった一つでもあったとしたら
もしかして
僕が絶対に変わらないように
硬く固く心を閉じこめて
堅さのようなものをずっと保っていけたら
そしたら
このどうしようもない僕を裏切る世界で
僕だけが僕を壊しながらも
僕よりも小さな場所にいる君に
出会ったりすることが
あるんじゃないかって
それは秘められた小さな予感に似ていて
まっすぐ進み続ける勇気にも似ていて
それは閉じられた世界の裏側で
深呼吸し続ける
開かれたなにかで
決して取り戻せないなにかで
奪われる続けるなにかで
だからこそ
誰にも触れられないなにかで
ジッと背中の瞳で僕はそれを見て
そして初めて
生きてるのが怖いって
そう思ったんだ
だから僕は決めたんだ
もう僕は、これ以上生まれないでおこう
このままジッと
朽ち果てるのを待とうって
そう決めたんだ
そしたら驚いたことに
いろんなところに生えてる木がしゃべり出したんだ
何を見てるの?
(どこを見てるの?)
「こっちをみてるの?」
僕は黙ってうなずいた
そして、三歩さがって首を振ったんだ
なにも見てない
僕は見てない
僕は何も知らない
そしたらね、
僕の中で誰かが呟いたんだ
わからないよ
(だいじょうぶ、わからないよ)
「…僕はなにもわからない…」
不思議だけれど、そこには奇妙なものがうようよとしていて
僕を取り囲み、僕を舐めたり、僕の耳元で耳鳴りを囁いたりした
こわかったから、
ぼくはそこにいるのがこわかったから
ジッとその場にうずくまりながら
助けを呼んだんだ
誰も来なかった
本当に誰もこなかった
どうしようもないほど誰も来なかった
だけど代わりに
彼らもそこから遠ざかり居なくなった
その日から、僕の時計は全く進まなくなった
時計なのにいつも北を指している
おかしなことに
逃げ場所はいつも北だったんだ
たぶん、磁力かなにかなんだと思う
止まった時計が北を指し、僕が北へ逃げたのは
僕がそこへ逃げる間、
僕はたくさんの僕と出会い、
たくさんの僕について考えた
僕は僕と話をすることができたし
僕は僕についてのいろんなことを
まるで昔から知っていたかのように、語り続けることができた
僕はそれを聞いて笑ったし
もちろん僕もそれを見て僕も笑った
だけど時々、どうしようもないほど悲しくなることがあった
この世を歩き続けても この界を走り続けても
僕はまるで、一歩も進んでいないような感覚にとらわれた
地獄に捕まった囚人のようだと思ったこともあるし
天国に落っこちた堕天使のようだと思ったこともある
だけどそれはまるで
なくなった世界を思い出し続けるような、
そんなどうしようもない記憶喪失に似ていた
風が吹いたんだと思う
涙が出た
泣いたのかもしれない
でも泣いたなんて思いたくなかった
泣いたってしょうがない
泣いたって誰も助けてなんかくれないんだ
だから僕は
自分を信じることにしたんだ
僕だけは、自分を信じて、そして常に、自分のことを、わからないと決めようと
そう思うことにした
だからここは
だからここには
嘘の吐き方って
そう書いたんだ
看板だからね
別になんでもよかった
どうせ誰も見てないし
どうせ全ての意味は僕にしかわからないんだ
あした、きみに会いに行くよ
明日がきたら、「あした君に会う予定だよ」
って、そう答えるつもり
明後日が来たら、「あしたはあしただよ」
明明後日がきたら、「あしたはまだきてないよ、今日はまだ君に会わない」
そういうだろうと思う
ようこそ神様
そして僕の世界へ。
自分の中でふと思いついたんだ
もしも自分の中で絶対に変わらないものが
たった一つでもあったとしたら
もしかして
僕が絶対に変わらないように
硬く固く心を閉じこめて
堅さのようなものをずっと保っていけたら
そしたら
このどうしようもない僕を裏切る世界で
僕だけが僕を壊しながらも
僕よりも小さな場所にいる君に
出会ったりすることが
あるんじゃないかって
それは秘められた小さな予感に似ていて
まっすぐ進み続ける勇気にも似ていて
それは閉じられた世界の裏側で
深呼吸し続ける
開かれたなにかで
決して取り戻せないなにかで
奪われる続けるなにかで
だからこそ
誰にも触れられないなにかで
ジッと背中の瞳で僕はそれを見て
そして初めて
生きてるのが怖いって
そう思ったんだ
だから僕は決めたんだ
もう僕は、これ以上生まれないでおこう
このままジッと
朽ち果てるのを待とうって
そう決めたんだ
そしたら驚いたことに
いろんなところに生えてる木がしゃべり出したんだ
何を見てるの?
(どこを見てるの?)
「こっちをみてるの?」
僕は黙ってうなずいた
そして、三歩さがって首を振ったんだ
なにも見てない
僕は見てない
僕は何も知らない
そしたらね、
僕の中で誰かが呟いたんだ
わからないよ
(だいじょうぶ、わからないよ)
「…僕はなにもわからない…」
不思議だけれど、そこには奇妙なものがうようよとしていて
僕を取り囲み、僕を舐めたり、僕の耳元で耳鳴りを囁いたりした
こわかったから、
ぼくはそこにいるのがこわかったから
ジッとその場にうずくまりながら
助けを呼んだんだ
誰も来なかった
本当に誰もこなかった
どうしようもないほど誰も来なかった
だけど代わりに
彼らもそこから遠ざかり居なくなった
その日から、僕の時計は全く進まなくなった
時計なのにいつも北を指している
おかしなことに
逃げ場所はいつも北だったんだ
たぶん、磁力かなにかなんだと思う
止まった時計が北を指し、僕が北へ逃げたのは
僕がそこへ逃げる間、
僕はたくさんの僕と出会い、
たくさんの僕について考えた
僕は僕と話をすることができたし
僕は僕についてのいろんなことを
まるで昔から知っていたかのように、語り続けることができた
僕はそれを聞いて笑ったし
もちろん僕もそれを見て僕も笑った
だけど時々、どうしようもないほど悲しくなることがあった
この世を歩き続けても この界を走り続けても
僕はまるで、一歩も進んでいないような感覚にとらわれた
地獄に捕まった囚人のようだと思ったこともあるし
天国に落っこちた堕天使のようだと思ったこともある
だけどそれはまるで
なくなった世界を思い出し続けるような、
そんなどうしようもない記憶喪失に似ていた
風が吹いたんだと思う
涙が出た
泣いたのかもしれない
でも泣いたなんて思いたくなかった
泣いたってしょうがない
泣いたって誰も助けてなんかくれないんだ
だから僕は
自分を信じることにしたんだ
僕だけは、自分を信じて、そして常に、自分のことを、わからないと決めようと
そう思うことにした
だからここは
だからここには
嘘の吐き方って
そう書いたんだ
看板だからね
別になんでもよかった
どうせ誰も見てないし
どうせ全ての意味は僕にしかわからないんだ
あした、きみに会いに行くよ
明日がきたら、「あした君に会う予定だよ」
って、そう答えるつもり
明後日が来たら、「あしたはあしただよ」
明明後日がきたら、「あしたはまだきてないよ、今日はまだ君に会わない」
そういうだろうと思う
ようこそ神様
そして僕の世界へ。