嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

記憶の音をたぐり寄せるように

2006年12月06日 22時54分37秒 | 駄文(詩とは呼べない)
記憶は、向き合うことが出来る記憶は、
いつだってつらい記憶だけだ。

楽しい記憶と向き合うことは出来ない。
どんなかろやかさも、どんなはしゃぎも、
それは一過性のものでしかなくて、
向き合うべき問題とはならない。
苦痛のみが、コンプレックスとして蓄積され、
どうして自分は不幸なんだろうと、
僕自身の思考ベクトルを決める。

記憶はいつも、僕を束縛するためにある。
そしてその記憶は、何故か僕を僕の位置に固定しない。
いつも僕は、奪われた誰かだけを体感する。
そして体験する。

記憶は、思い出すことの出来る記憶は、
いつも同じ記憶だけだ。
忘れた記憶を思い出すことはできない。
なんども強く描いて、なんども喉から手が出るほど欲しいと思ったものだけが、
僕の未来を決める。

願ったものが叶うなら、
願った未来が手に入るなら、
僕には最初から未来なんてない。
そして未来なんて要らない。
手に入らないからこそ、僕らの前にどうしても欲しいと思うように、
そう思わされるように、
ずっとずっと不可能な夢ばかりが僕の目の前にたんこぶの痛みのように垂れ下がる。

いつか記憶は、
記憶は、忘れるためだけに存在していたのだと、
悟ることが来ると決まっているように、
その変遷だけが、
変わりすぎた記憶だけが、
捻じ曲げた想いだけが、
僕の新しい記憶を作る。
そして自分を騙してゆく。

いつも僕は正体不明で、
いつでも僕は誰かの僕で、
いつだって僕だけが、僕のための僕になる。

そうやって、僕の記憶は出来ている。
強い思いだけが、嘘の未来を騙る。
そして願わない未来だけが、毎日傍をかすめる。

手を伸ばすことさえ、
僕の位置から動かない範囲だけ。
手に入るものは、生まれる前からあったものだけ。
生まれた後から手に入れたものなんて、
失われた嘘の記憶だけだ。

どんな真実も、現実の前では屈服する。
どんな欺きも、真実の前では、かすんで見えるというのに。

ねがわくば、
ぼくのきおくが、
だれからもわすれさられますように

。と、

僕は祈る。
いのらずにはいられない。

僕が出会う前から、
きっと君が、僕のことを忘れますように。と、。

忘れる物だけを、記憶に宿して
忘れられない痛みだけを、魂に宿して
誰かの心に自分を刻むために、
生きているような、夢を見る。

死んだ君の中で。
なにもできない君の中で、
ただ、僕らは願う。

いつかきっと、現実が消えてなくなって、
だれもかれもが居なくなりますように、と。

すべての交錯した思惑が、
心無い意志が、
絡みつく、その糸が切られて、
やがて太く練られるように

火を灯した大きな明かりが、
やがてうすれゆく孤独をまよわすように
僕らが願う影は
ずっと生命の、形づくる蜻蛉をそうように
小さな灯りが
熱のない火に似ていて。

大きく瞬けば、そこに命が生まれる。

ずっと一瞬の中で
ずっと永遠の中で
忘れられる夢だけを見ている。

傷つかない魂を傷つけるように
そっと寒い息で
深呼吸している。