違いに関する説得、というのは多くの場合あまり意味を持たない。
日本軍、アメリカ軍、
神を信じる人、神を信じない人
正しさを持つ人、正しさを持たない人、
現実を見る人、幻想を夢見る人
多くの場合、違いそのものを説得する行為は、
傷付け合う最初の一歩にしかならない。
それを知りながら、
繰り返し、繰り返し、
つまらない言説を…
僕たちは繰り返してゆく。
わからない事を前提に始める世界と
わかる事を前提に始める世界では
どのくらい、その世界の構成に響きの違いがあるのだろう。
つまり、わかっている人と、わかっていない人では、
どのくらい、景色の音質が違うのだろう。
彼らは、風の声を聞くだろうか?
彼らにも、風の歌は届くだろうか?
僕には、彼らの輪郭線が見えるだろうか?
僕には、彼らと同じ数の絶望があるのだろうか?
僕は彼らに対し、
「どれだけ言葉を重ねても、僕のいっていることは通じない。通じないんですよ…」
と言った。
彼らのうちの一人は、
あるいは彼らそのものは、
「君は俺と違って言葉を重ねずに、何かをする前から『通じない』と言っている」
といった。
あるいは、そのような一歩を、問いかけた。
またあるとき彼らは、
(もしくは彼らのうちの一人[ひとつ]は)
「あなたは幻想ばかり語っている。それでは意味がない、
もっと積極的に知らない世界へ踏み出すべき」
というようなことを言った。
もちろん、正確な意味はわからないのだけど。
僕は過去の海外旅行(?)の経験などについて語ったが
あるいはまた、僕の境遇などについて語ったが
ある種の励ましを受け取っただけだった。
要するに、二つの世界の開きは、
説得によって通じるものではないのだと思う。
彼らは彼らの正しさを確認し、
僕は僕のわからなさをもがいて中空をさまよう。
その歌は、お互いに誰にも届かない歌なのだ。
風の歌は、風の吹く場所にあり、
吹きだまりには、いつも砂や泥の根源となるような、
悪意の形を生成する粘土のようなものが、
いつもいつでもくるくると渦巻いているのだ。
汚れた世界の嘆きと、
汚されてゆく世界の呟き、
そのどちらもが、絶望的な比喩を語り、
絶望的な血の刻印を聖なる場所に捧げようとする祈りでしかないのだ。
だから僕の言葉は、
繰り返し、風の中に消えてゆく。
冷たい海も、冷たい氷も、その形を決して維持できないように。
冷えた空気と、暖かい空気が、
ただ、熱っぽい風を起こしてゆく。
僕らの世界の中間で、僕らという世界を彩りながら。
日本軍、アメリカ軍、
神を信じる人、神を信じない人
正しさを持つ人、正しさを持たない人、
現実を見る人、幻想を夢見る人
多くの場合、違いそのものを説得する行為は、
傷付け合う最初の一歩にしかならない。
それを知りながら、
繰り返し、繰り返し、
つまらない言説を…
僕たちは繰り返してゆく。
わからない事を前提に始める世界と
わかる事を前提に始める世界では
どのくらい、その世界の構成に響きの違いがあるのだろう。
つまり、わかっている人と、わかっていない人では、
どのくらい、景色の音質が違うのだろう。
彼らは、風の声を聞くだろうか?
彼らにも、風の歌は届くだろうか?
僕には、彼らの輪郭線が見えるだろうか?
僕には、彼らと同じ数の絶望があるのだろうか?
僕は彼らに対し、
「どれだけ言葉を重ねても、僕のいっていることは通じない。通じないんですよ…」
と言った。
彼らのうちの一人は、
あるいは彼らそのものは、
「君は俺と違って言葉を重ねずに、何かをする前から『通じない』と言っている」
といった。
あるいは、そのような一歩を、問いかけた。
またあるとき彼らは、
(もしくは彼らのうちの一人[ひとつ]は)
「あなたは幻想ばかり語っている。それでは意味がない、
もっと積極的に知らない世界へ踏み出すべき」
というようなことを言った。
もちろん、正確な意味はわからないのだけど。
僕は過去の海外旅行(?)の経験などについて語ったが
あるいはまた、僕の境遇などについて語ったが
ある種の励ましを受け取っただけだった。
要するに、二つの世界の開きは、
説得によって通じるものではないのだと思う。
彼らは彼らの正しさを確認し、
僕は僕のわからなさをもがいて中空をさまよう。
その歌は、お互いに誰にも届かない歌なのだ。
風の歌は、風の吹く場所にあり、
吹きだまりには、いつも砂や泥の根源となるような、
悪意の形を生成する粘土のようなものが、
いつもいつでもくるくると渦巻いているのだ。
汚れた世界の嘆きと、
汚されてゆく世界の呟き、
そのどちらもが、絶望的な比喩を語り、
絶望的な血の刻印を聖なる場所に捧げようとする祈りでしかないのだ。
だから僕の言葉は、
繰り返し、風の中に消えてゆく。
冷たい海も、冷たい氷も、その形を決して維持できないように。
冷えた空気と、暖かい空気が、
ただ、熱っぽい風を起こしてゆく。
僕らの世界の中間で、僕らという世界を彩りながら。