大社線は山陰本線の出雲市駅と縁結びの神で有名な出雲大社の門前町の大社駅とを結んでいた全長7.5kmの全線単線非電化のローカル線でした。
(出雲市)-出雲高松ー荒茅ー大社
大社線は出雲大社への参詣路線としての性格を有していたことから、かつては東京・名古屋・大阪などから直通列車が設定されていたほか、お召列車も乗り入れたりしました。 そして最盛期の1972(昭和47)年には各地からの団体臨時列車が年間280本も乗り入れ、1日平均4,000人の利用者がいましたが、周辺の道路が整備されるにしたがって、出雲大社参拝の団体客は貸切バスへ、個人観光客もレンタカーやタクシーを利用するようになり、直通急行列車や団体臨時列車の乗り入れは年々減少していきました。 さらに、沿線の住民もバスやマイカーにシフトしてしまったことから、大社線の利用者は減る一方でした。
こうしたことから、1980(昭和55)年12月27日に施行された国鉄再建法(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法)により、大社線は1987(昭和62)年2月3日に第3次特定地方交通線として廃止承認されます。 そして同年4月1日の国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された後、1990(平成2)年4月1日に廃止され、78年の歴史にピリオドを打ちました。
なお、1924(大正13)年2月28日に竣工した大社駅の駅舎は、鉄道省本省の建築課に在籍していた曽田甚蔵氏の設計により出雲大社を模して造られた木造駅舎でしたが、2004(平成16)年7月6日に国の重要文化財に指定され、今も現役当時のままの姿で保存されています。
<大社線の年表>
・1912(明治45)年6月1日:出雲今市駅(現在の出雲市駅)~大社駅間(7.5km)が大社線として開業
・1912(明治45)年11月15日:朝山駅が開業
・1932(昭和7)年5月10日:朝山駅が出雲高松駅に改称される
・1958(昭和33)年4月1日:荒茅駅が開業
・1974(昭和49)年10月1日:貨物取扱い廃止
・1987(昭和62)年2月3日:第3次特定地方交通線として廃止承認される
・1987(昭和62)年4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継される
・1990(平成2)年4月1日:全線が廃止される
(出雲大社方を望む)
(保存されている現在の大社駅)
(駅 舎 内)
(廃止前の時刻表)
撮影年月日:2015(平成27)年6月26日
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