日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2017-10-11 05:00:00
一部省略
韓国、「中国交渉術」まんまと乗せられ「骨までしゃぶられた」
他国を狙う狡猾な民族
平然と嘘を重ねる度胸
韓国は、THAAD(超高高度ミサイル網)設置への中国の報復によって、企業は手痛い打撃を受けている。
経済界はすっかり「中国熱」が醒めて「脱中国」へと転換中だ。
一方、韓国大統領府は、「86世代」の特色である「反米・親中朝」基調から逃れられず、中国のイジメにあってもなお「追随」する無様な姿を見せている。
経済界は実利の世界だから損失には敏感に反応する。
大統領府は「86世代」ゆえに、学生時代からの「青臭い」理念追及という浮き世離れした道しかないのだろう。
韓国が、これまで「反日・親中」を鮮明にしてきた理由は、輸出の25%が中国向けで最大輸出先であったほかに、儒教文化圏で中国への親近感であろう。
だが、中国は儒教文化圏などという情緒的なものに酔うような国でなかった。
ドライに計算して、「国益第一」を露骨に追及している国である。
韓国経済界は今や、遅まきながらこの厳しい現実を知るところとなった。
韓国はTHAAD設置が、中国を意図したものでないことを繰り返し説明している。
あくまでも、北朝鮮からのミサイル防御が目的であると説明するが、中国は「聞く耳持たず」である。
この硬直化した中国の姿勢から、韓国側には新たな疑念を呼んでいる。
こういう解釈が、韓国側に起こってきた。これが、ますます中国への疑念を膨らませている。
他国を狙う狡猾な民族
『朝鮮日報』(10月7日付)は、「骨までしゃぶって追い出す中国の外国企業政策」と題して報じた。
この記事では、中国の露骨な外資系企業利用と、その後の国内企業保護の実態が指摘されている。
「肉(市場)を差し出し、骨(技術)をしゃぶる」という表現の中に、中国の伝統的な対外政策の原型が見られる。
中国4000年の歴史で、異民族(漢民族以外)に支配された時代は二回ある。
一つは、元(1271~1368年)のモンゴル族支配。もう一つは清(1616~1912年)の満州族支配である。
これら異民族支配に対して漢族は、まさに「肉を差し出し、骨をしゃぶる」戦術によって、異民族王朝を倒してきた。
この歴史的な故事にならって、現在も同じことをしているにすぎない。
だから、中国人は腹の中で笑っているのだ。
「いずれ、お前らの技術を窃取して、お前らの首根っこを押さえてやる」という確信に燃えているはずである。
日中復交後、日本企業は大挙して中国へ進出した。
その際、中国側の交渉条件は到底、日本側の飲めるものでなかったという。
当時、日本側の交渉担当者から聞いた話では、「厳しい条件を出してくるので、渋っていると必ず言う言葉がある。
『日本の戦争責任はどうなんだ』。これを聞かされると、有無なく従わざるを得なかった」。
日本の個別企業に戦争責任はない。
それは、日本という国家レベルの話であり、日中平和条約で解決済みである。
また、ODA(政府開発援助)での金銭支援がされている。
それにも関わらず、「戦争責任」という殺し文句で迫り、技術を窃取されたのだ。
要するに、中国は「ただ者でない」ことを、世界は知るべきだ。この上ない狡猾(こうかつ)な民族である。
(1)「韓国企業の脱中国の動きに対し、中国の専門家は『外国企業を徹底して中国企業の成長に利用するという中国政府の考え方がつくり出した結果だ』と指摘した。
中国経済金融研究所の全炳瑞(チョン・ビョンソ)所長は『改革開放の当時から、中国政府の政策は一貫して、肉(市場)を差し出し、骨(技術)をしゃぶるというものだった』と指摘する。
市場を開放する代わりに、外国企業に中国に合弁会社を設立させ、中国企業は合弁を通じて技術とノウハウを学ぶ狙いだ。
それが済めば、外国企業を追い出し、自国企業が市場を掌握するもくろみだ」
中国は、先のコメントでも指摘したように、「狡猾」な民族である。
徹底的に「他人の褌で相撲を取る」国家である。
民主主義国家には見られない、ずる賢こさが充満している。
他国に対する思いやり精神はゼロであり、相手国を利用し尽くすという獰猛さが特色である。
韓国も、日本に対しては中国同様のずる賢さがあり、骨の髄までしゃぶるという悪弊が見られる。
その韓国が、一杯食わされるほど中国のずる賢さは強烈だ。
中国海軍の南シナ海進出は、米海軍のフィリピン撤退という空白期を狙い即刻、動き出した。
この現実が、中国のずる賢さを証明している。
「鬼の居ぬ間の洗濯」だ。中国は絶対に油断してならぬ。その実例が、南シナ海問題である。これが、私の乏しい中国リサーチの結論である。
(2)「対外経済政策研究院のヤン・ピョンソプ北京事務所長は、
『中国政府はIT、電気自動車など一部の重要産業分野で、自国企業を育成するため、数年前から外資系企業の活動を規制し始めた』とした上で、
『そこに終末高高度防衛ミサイル(THAAD)絡みの報復まで重なり、韓国企業の相当数が持ちこたえられなくなった』と指摘した。
韓国企業の悲劇は、重厚長大産業に特化していることだ。
中国に技術を窃取されれば、もはや生き延びる術がない。
韓国が「反日」をやり過ぎて、日本企業との交流さえ閉ざす「暴挙」に出ていた。
それが今や、致命傷になっている。
世界の新技術動向も知らずに過ごした「反日」の数年間が、「第4次産業革命」の足音を聞き逃した。
この貴重な数年間の空白が、韓国企業の成長の芽を摘んでいる。
新技術を持たない韓国企業は、重厚長大産業技術で中国に追いかけられている。
中国に追いつかれて、韓国企業の生きる道が塞がれる重大な局面にある。
韓国の文政権には、こういう現実認識がない点が、さらに韓国経済を追い込んでいる。
他国のことながら、韓国経済の未来に深い「同情」を禁じ得ない。
今その荒技が、世界を前にして展開されている。手の内を調べる良い機会だ。
平然と嘘を重ねてゆく度胸
『朝鮮日報』(10月7日付)は、コラム「中国の交渉術」を掲載した。筆者は、同紙編集局政治部記者の金真明(キム・ジンミョン)氏である。
この記事の前提には、次のような中韓外相会談後、中国の発表と韓国のそれとの間に、大きな食い違いがあったことだ。具体的には、次のような内容だ。
中国外務省が9月21日公表した韓中外相会談の発表文の最終部分に、事実と異なる点があったという。
発表文は、ニューヨークで20日に行われた中国の王毅外相との会談で、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が、『韓国は韓半島(朝鮮半島)に再び戦術核兵器を配備しないという約束を忠実に守る』と表明したとなっていた。
『戦術核の話はしなかった』という韓国政府の説明を信じるならば、中国は何らかの意図で会談内容をでっち上げたことになる。
中国は、こういう勝手に内容を付け加えて、「事実化」させることが得意な国家である。
(1)「台湾の学者、林文程氏の著書『中国を扱う:対中交渉と戦略』を思い浮かべた。
台湾の国家安全会議諮問委員を務めた林氏は、中国式交渉論を分析し、『中国が日常的に用いる策略』をいくつか紹介している」
今回の、「でっち上げ話」の例は、過去にも多く見られる。
日中の尖閣諸島の帰属問題についての外交文書も、日中では異なっている。
中国は、その「原文」なるものを公開せず秘密扱いである。
田中角栄(首相・当時)が、中国との会談で「日本帰属」を明確にする意図で話したことが、中国へ「帰属を相談」した形にすり替えられている。油断ならない国である。
(2)「その一つは『事実歪曲(わいきょく)だ』。
林氏は、『中・米間の大使クラスの会談で、中国は常に対外的に長文の声明とニュース原稿を発表してきた。
原稿内容は両国の交渉内容とは大きな差があった。国際社会または米国内に異なるイメージをつくり上げ、優位に立つのが目的だった』と指摘する。
林氏によると、中国は相手の言葉で相手を攻撃することにも長けている。
『相手が過去に発した言葉、過去の約束などを細かく記録しておき、相手に反論したり、圧力を加えたりする手段に使う』のだという。
中国がなぜ『(韓国の)戦術核再配備はしないという約束』をつくり出して、記録に残そうとしているのか狙いをうかがえる」
事実を歪曲することは、中国政府の「十八番」である。
韓国の「戦術核」問題もその類いである。
嘘も100回言えば真実になるという。
デタラメな話を作り上げる点で、中国は出色である。本来ならば、こういう国家とは付き合わないことがベストだが、グローバル社会ではそうは行かないのだ。
尖閣諸島問題は、国際法においても明らかに日本領である。
中国もそれを認めていたが、付近に原油資源の存在が分かって、にわかに「中国領」と言い出した。
その手口は、南シナ海の中国領海説と全く同じだ。
でっち上げて事実化させる手法は、詐欺師的な巧妙さだが、南シナ海問題では、常設仲裁裁判所によって、完膚なきまでに否定されている。国際詐欺師の中国が敗退したのだ。
(3)「林氏の本を見ると、我々が典型的な中国式交渉術にどれだけうまく丸め込まれていたのかが分かる。
林氏は『離間』を図ることも交渉術の一つだと指摘する。
『中国は常に相手の内部対立を利用し、政客、政党、オピニオンリーダー、組織の異論を際立たせ、相手の交渉力をそぎ、相手の交渉における最終防衛ラインを把握し、守勢に追い込む』との分析だ。
林氏は、『万一(中国の)要求が達成されなければ、いずれある種の悪い結果が現れる』といった脅しも交渉術に含まれると語った。
振り返れば、全てが終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備過程で韓国が経験したことだ」
中国が、交渉相手国の内部を「離間」させることは、秦の始皇帝以来の得意技である。
始皇帝が中国統一できた背景は、ライバル国の「合従」(同盟)国の間を疑心暗鬼にさせる戦術でバラバラにさせ力を弱めたこと。
それから秦との一対一の関係の「連衡」に持ち込み、秦が征服して、中国の大統一を実現させた。「合従連衡」とはこれを指すのだ。
この過程を見れば、中国外交は伝統的に相手陣営の「離間」を策す。
これによって団結を弱めるのだ。日本でもこの手が使われている。
日本国内の「親中派」を増やすために、日本のメディアを利用している。
中国に都合の良い記事を書くメディアを優遇するのだ。例えば、つい数年前までの朝日新聞で中国に都合に良い記事を書いた記者は退職後、北京で盛大な「慰労会」の類いが開かれてきた。
さすが、最近はそういう報道も絶えているが、中国はメディア選別をはっきりさせている。 (4)「本の最後で林氏は、『小国が大国に勝つには、小国の内部は必ず一致団結し、一つの声を上げなければならない。
内部に共通認識を形成し、中国の圧力に対抗すべきだ』とアドバイスした。
戦術核の再配備に賛成だろうが反対だろうが、韓国は一致して発言すべきことがある。
大韓民国がどんな安全保障手段を使おうが、中国が関与すべきことではないと」
韓国は、歴史的に内部闘争の激しい国である。
派閥闘争の裏では、外国勢力と手を結んでいる例が多い。
現在の大統領府は、「86世代」の学生運動家上がりが、秘書の3割を占める一大勢力である。
「反米・親中朝」という基本戦略の集団である。
北朝鮮宥和論は、「86世代」がリードしているはずだ。
その北朝鮮宥和論が、北朝鮮の核開発を抑制するどころか、逆の効果を与える。援助する資金が、核開発に利用されるからだ。
国は、THAAD(超高高度ミサイル網)設置への中国の報復によって、企業は手痛い打撃を受けている。
経済界はすっかり「中国熱」が醒めて「脱中国」へと転換中だ。
一方、韓国大統領府は、「86世代」の特色である「反米・親中朝」基調から逃れられず、中国のイジメにあってもなお「追随」する無様な姿を見せている。
経済界は実利の世界だから損失には敏感に反応する。
大統領府は「86世代」ゆえに、学生時代からの「青臭い」理念追及という浮き世離れした道しかないのだろう。
韓国が、これまで「反日・親中」を鮮明にしてきた理由は、輸出の25%が中国向けで最大輸出先であったほかに、儒教文化圏で中国への親近感であろう。
だが、中国は儒教文化圏などという情緒的なものに酔うような国でなかった。
ドライに計算して、「国益第一」を露骨に追及している国である。韓国経済界は今や、遅まきながらこの厳しい現実を知るところとなった。
韓国はTHAAD設置が、中国を意図したものでないことを繰り返し説明している。
在韓米軍まで、THAAD設置の趣旨とレーダー探索能力の限界(最大1000キロ)を発表して、中国の疑念解消に努めているほど。
あくまでも、北朝鮮からのミサイル防御が目的であると説明するが、中国は「聞く耳持たず」である。
この硬直化した中国の姿勢から、韓国側には新たな疑念を呼んでいる。
それは、中国東北部・通化に存在する中国のロケット部隊が、「第二次朝鮮戦争」の起こった際、北朝鮮を支援すべく韓国へミサイル攻撃する基地にする、というもの。
通化基地が、THAADで捕捉されるリスクを恐れている。こういう解釈が、韓国側に起こってきた。これが、ますます中国への疑念を膨らませている。
他国を狙う狡猾な民族
『朝鮮日報』(10月7日付)は、「骨までしゃぶって追い出す中国の外国企業政策」と題して報じた。
この記事では、中国の露骨な外資系企業利用と、その後の国内企業保護の実態が指摘されている。
「肉(市場)を差し出し、骨(技術)をしゃぶる」という表現の中に、中国の伝統的な対外政策の原型が見られる。
中国4000年の歴史で、異民族(漢民族以外)に支配された時代は二回ある。
一つは、元(1271~1368年)のモンゴル族支配。もう一つは清(1616~1912年)の満州族支配である。
これら異民族支配に対して漢族は、まさに「肉を差し出し、骨をしゃぶる」戦術によって、異民族王朝を倒してきた。
この歴史的な故事にならって、現在も同じことをしているにすぎない。
だから、中国人は腹の中で笑っているのだ。
「いずれ、お前らの技術を窃取して、お前らの首根っこを押さえてやる」という確信に燃えているはずである。
日中復交後、日本企業は大挙して中国へ進出した。その際、中国側の交渉条件は到底、日本側の飲めるものでなかったという。
当時、日本側の交渉担当者から聞いた話では、「厳しい条件を出してくるので、渋っていると必ず言う言葉がある。
『日本の戦争責任はどうなんだ』。これを聞かされると、有無なく従わざるを得なかった」。
日本の個別企業に戦争責任はない。それは、日本という国家レベルの話であり、日中平和条約で解決済みである。
また、ODA(政府開発援助)での金銭支援がされている。
それにも関わらず、「戦争責任」という殺し文句で迫り、技術を窃取されたのだ。
要するに、中国は「ただ者でない」ことを、世界は知るべきだ。この上ない狡猾(こうかつ)な民族である。
(1)「韓国企業の脱中国の動きに対し、中国の専門家は『外国企業を徹底して中国企業の成長に利用するという中国政府の考え方がつくり出した結果だ』と指摘した。
中国経済金融研究所の全炳瑞(チョン・ビョンソ)所長は『改革開放の当時から、中国政府の政策は一貫して、肉(市場)を差し出し、骨(技術)をしゃぶるというものだった』と指摘する。
市場を開放する代わりに、外国企業に中国に合弁会社を設立させ、中国企業は合弁を通じて技術とノウハウを学ぶ狙いだ。それが済めば、外国企業を追い出し、自国企業が市場を掌握するもくろみだ」
中国は、先のコメントでも指摘したように、「狡猾」な民族である。
徹底的に「他人の褌で相撲を取る」国家である。
民主主義国家には見られない、ずる賢こさが充満している。
他国に対する思いやり精神はゼロであり、相手国を利用し尽くすという獰猛さが特色である。
韓国も、日本に対しては中国同様のずる賢さがあり、骨の髄までしゃぶるという悪弊が見られる。
その韓国が、一杯食わされるほど中国のずる賢さは強烈だ。
中国海軍の南シナ海進出は、米海軍のフィリピン撤退という空白期を狙い即刻、動き出した。
この現実が、中国のずる賢さを証明している。
「鬼の居ぬ間の洗濯」だ。中国は絶対に油断してならぬ。その実例が、南シナ海問題である。これが、私の乏しい中国リサーチの結論である。
(2)「対外経済政策研究院のヤン・ピョンソプ北京事務所長は、『中国政府はIT、電気自動車など一部の重要産業分野で、自国企業を育成するため、数年前から外資系企業の活動を規制し始めた』とした上で、
『そこに終末高高度防衛ミサイル(THAAD)絡みの報復まで重なり、韓国企業の相当数が持ちこたえられなくなった』と指摘した。
韓国経済研究院のソン・ウォングン副院長は、『中国政府は中国市場に進出しようとする企業が増えると、1カ国や2カ国の企業が中国から消えても構わないという態度に変わった』と話した」
韓国企業の悲劇は、重厚長大産業に特化していることだ。
中国に技術を窃取されれば、もはや生き延びる術がない。
韓国が「反日」をやり過ぎて、日本企業との交流さえ閉ざす「暴挙」に出ていた。
それが今や、致命傷になっている。
世界の新技術動向も知らずに過ごした「反日」の数年間が、「第4次産業革命」の足音を聞き逃した。
この貴重な数年間の空白が、韓国企業の成長の芽を摘んでいる。
新技術を持たない韓国企業は、重厚長大産業技術で中国に追いかけられている。
中国に追いつかれて、韓国企業の生きる道が塞がれる重大な局面にある。
韓国の文政権には、こういう現実認識がない点が、さらに韓国経済を追い込んでいる。他国のことながら、韓国経済の未来に深い「同情」を禁じ得ない。
韓国は、中国の交渉術にまんまとはまりこんだ。
THAADに見せる中国の凄みは、韓国をどこまでも追い込んでゆく「中華帝国」の手口である。
今その荒技が、世界を前にして展開されている。手の内を調べる良い機会だ。
平然と嘘を重ねてゆく度胸
『朝鮮日報』(10月7日付)は、コラム「中国の交渉術」を掲載した。筆者は、同紙編集局政治部記者の金真明(キム・ジンミョン)氏である。
この記事の前提には、次のような中韓外相会談後、中国の発表と韓国のそれとの間に、大きな食い違いがあったことだ。具体的には、次のような内容だ。
中国外務省が9月21日公表した韓中外相会談の発表文の最終部分に、事実と異なる点があったという。
発表文は、ニューヨークで20日に行われた中国の王毅外相との会談で、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が、『韓国は韓半島(朝鮮半島)に再び戦術核兵器を配備しないという約束を忠実に守る』と表明したとなっていた。
『戦術核の話はしなかった』という韓国政府の説明を信じるならば、中国は何らかの意図で会談内容をでっち上げたことになる。
中国は、こういう勝手に内容を付け加えて、「事実化」させることが得意な国家である。
(1)「台湾の学者、林文程氏の著書『中国を扱う:対中交渉と戦略』を思い浮かべた。台湾の国家安全会議諮問委員を務めた林氏は、中国式交渉論を分析し、『中国が日常的に用いる策略』をいくつか紹介している」
今回の、「でっち上げ話」の例は、過去にも多く見られる。日中の尖閣諸島の帰属問題についての外交文書も、日中では異なっている。
中国は、その「原文」なるものを公開せず秘密扱いである。
田中角栄(首相・当時)が、中国との会談で「日本帰属」を明確にする意図で話したことが、中国へ「帰属を相談」した形にすり替えられている。油断ならない国である。
(2)「その一つは『事実歪曲(わいきょく)だ』。
林氏は、『中・米間の大使クラスの会談で、中国は常に対外的に長文の声明とニュース原稿を発表してきた。
原稿内容は両国の交渉内容とは大きな差があった。
国際社会または米国内に異なるイメージをつくり上げ、優位に立つのが目的だった』と指摘する。
林氏によると、中国は相手の言葉で相手を攻撃することにも長けている。
『相手が過去に発した言葉、過去の約束などを細かく記録しておき、相手に反論したり、圧力を加えたりする手段に使う』のだという。中国がなぜ『(韓国の)戦術核再配備はしないという約束』をつくり出して、記録に残そうとしているのか狙いをうかがえる」
事実を歪曲することは、中国政府の「十八番」である。
韓国の「戦術核」問題もその類いである。
嘘も100回言えば真実になるという。
デタラメな話を作り上げる点で、中国は出色である。本来ならば、こういう国家とは付き合わないことがベストだが、グローバル社会ではそうは行かないのだ。
尖閣諸島問題は、国際法においても明らかに日本領である。
中国もそれを認めていたが、付近に原油資源の存在が分かって、にわかに「中国領」と言い出した。
その手口は、南シナ海の中国領海説と全く同じだ。
でっち上げて事実化させる手法は、詐欺師的な巧妙さだが、南シナ海問題では、常設仲裁裁判所によって、完膚なきまでに否定されている。国際詐欺師の中国が敗退したのだ。
(3)「林氏の本を見ると、我々が典型的な中国式交渉術にどれだけうまく丸め込まれていたのかが分かる。
中国が、交渉相手国の内部を「離間」させることは、秦の始皇帝以来の得意技である。
始皇帝が中国統一できた背景は、ライバル国の「合従」(同盟)国の間を疑心暗鬼にさせる戦術でバラバラにさせ力を弱めたこと。
それから秦との一対一の関係の「連衡」に持ち込み、秦が征服して、中国の大統一を実現させた。「合従連衡」とはこれを指すのだ。
この過程を見れば、中国外交は伝統的に相手陣営の「離間」を策す。
これによって団結を弱めるのだ。日本でもこの手が使われている。
日本国内の「親中派」を増やすために、日本のメディアを利用している。中国に都合の良い記事を書くメディアを優遇するのだ。
例えば、つい数年前までの朝日新聞で中国に都合に良い記事を書いた記者は退職後、北京で盛大な「慰労会」の類いが開かれてきた。
さすが、最近はそういう報道も絶えているが、中国はメディア選別をはっきりさせている。
中国から歓迎される記者は、報道の中立性を犯している。ジャーナリスト失格のはずだ。
(4)「本の最後で林氏は、『小国が大国に勝つには、小国の内部は必ず一致団結し、一つの声を上げなければならない。内部に共通認識を形成し、中国の圧力に対抗すべきだ』とアドバイスした。
戦術核の再配備に賛成だろうが反対だろうが、韓国は一致して発言すべきことがある。大韓民国がどんな安全保障手段を使おうが、中国が関与すべきことではないと」
韓国は、歴史的に内部闘争の激しい国である。
派閥闘争の裏では、外国勢力と手を結んでいる例が多い。
現在の大統領府は、「86世代」の学生運動家上がりが、秘書の3割を占める一大勢力である。
「反米・親中朝」という基本戦略の集団である。北朝鮮宥和論は、「86世代」がリードしているはずだ。その北朝鮮宥和論が、北朝鮮の核開発を抑制するどころか、逆の効果を与える。援助する資金が、核開発に利用されるからだ。