【中央時評】国家債務比率増やそうとする韓国政府、日本の財政赤字参考にすべき
2018年06月29日14時24分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
アベノミクスで経済に薫風が吹いている日本。
うらやましいと言うと返ってくる言葉がある。
「財政赤字のため厳しい」というものだ。
日本が財政赤字で苦労していることはよく知られている。決定的な契機はバブル崩壊だった。
景気浮揚のために財政を動員し、ダメならまた動員して、という形で拡張的財政政策を続けた。
また、不良金融会社に公的資金も多く投入した。
経済協力開発機構(OECD)によると、日本の国家債務は国内総生産(GDP)の237%だ。
このため日本では景気回復中でも財政破綻に対する心配が大きい。
無策のままいれば破綻確率が2035年99.9%、2040年には100%という推算がすでに2年前に出た。
先日、この危機から抜け出すには8%の消費税率を38%に高めて100兆円の国家予算を30兆円まで7割削減しなければならないというシミュレーションも提示された。
日本人にとっては背筋の寒くなるような話だ。
財政破綻だからといって、ある日突然、国金庫が崩壊するわけではない。
市場で国債が徐々に売れなくなる症状からまず現れる。
すると国債価格が落ちて、金利が暴騰する。
資金不足の政府は公共サービスを減らすほかない。
国防・治安など必須分野以外のサービスは徐々に止まっていく。
金融危機もセットで起きる。時間が経つにつれ政府の信頼が落ちて収拾がさらに難しくなる。
結局は言葉どおり骨身を削る構造調整が待っている。
破綻へ向かう、後戻りできない橋はあっと思った瞬間にはもう渡っている。
気がついたからといって引き返すことはできない。
その後の処理に国民皆が大きな苦労を強いられる。
各国が普段からこの部分に目を光らせている理由だ。
ドイツは基本法に新規国家債務がGDPの0.35%を越えないように制限している。
欧州連合(EU)は毎年財政赤字がGDPの3%、公共負債残額が60%を越えれば構造調整に入る。
インドネシアでは会計年度の財政赤字がGDPの3%を越えれば大統領弾劾も可能だ。
韓国は事情が少しましだ。昨年の国家債務はGDPの38.5%だった。
この比率が100%を越える問題児がありふれていることに比べれば優等生といえよう。
そのためか余裕のある時に少し使おうという言葉が各方面から出る。
景気浮揚、失業解消、地域開発のためにケインズ式財政政策を使おうという主張だ。
だが、ケインズ式処方は通用する時があり、そうでない時がある。
財政を投じたからといって景気が100%盛り返すわけではない。
顔面に強烈なパンチを一発食らって倒れた時に応急措置として使うのがケインズ式処方だ。
胴体にジャブを無数に食らってグロッキー状態になった後では効果がない。
韓国経済はこれに該当する。
特に失業は外部の衝撃よりも政策の失敗と構造問題が重なった結果だ。
根本的な対策なく財政で一発解決を試みることは無知で危険な発想だ。
最近は国家債務の増加そのものが投資と消費を萎縮させて成長を制限するという研究結果が多い。
国家債務は高齢化のせいで黙っていても増えることになっている。
韓国の国家債務増加速度はOECD加盟国のうち4番目となっている。
2000~2016年の債務増加率は年平均11.6%だった。
財政危機に直面していたスペイン(7%)、ギリシャ(4.9%)、イタリア(3.4%)よりも高い。
OECDは韓国の純債務が2060年にGDPの200%に肉迫すると警告した。
政府・与党は債務比率を1~2%ポイント高めても耐えられると考えているようだ。
GDP比38%ラインから40%台に債務防御線を後退させてもかまわないということだ。
1%ポイント退くたびに国の借金が19兆ウォン(約1兆8900億円)増える。
国家経済の安全保障に直結した財政健全性に自らアチソンラインを引くわけだ。
財政健全性に対する韓国の防御意志を疑う視線が厳しくなるのは必至だ。
市場は財政に甘い国家に友好的ではない。
信用格付けは下落して海外借入の加算金利が上がる。
日本の信用格付けがしばらくボツワナより低かったことも財政赤字のためだった。
何より共に民主党の財政緩和の動きは大きな違和感を与える。
2016年末、所属議員39人が財政健全化法案を発議したではないか。
この法案には「今後財政健全性が悪化するだろう」という懸念が盛り込まれた。
第7条には新規国家債務をGDPの0.35%以下にするという条項がある。
金額にすると6兆6000億ウォンぐらいだ。
法案を出した民主党が今は国の借金数十兆ウォン増やすことを何事もなかったのように話す。
政府のやり方も手の平を返したかのようだ。
企画財政部も同じ頃、同じ法案を出して迅速な処理を促した。
国家債務をGDPの45%以下に維持するのが骨子だ。
ところが「いつそんなことをした」と言わんばかりに与党の拡張基調に歩調を合わせている。
官僚には魂がないというが、今や記憶力もどこかに置いてきてしまったのか。
法案には財政健全性に対する国民理解度を高める教育規定(17条)がある。
財政のさらなる緩和を進めようとしているところに、無意味化した条項だからと自主的削除を勧める。
魂に続いて記憶まで失ってしまったのなら、体面ぐらいは保つべきなのではないか。
2018年06月29日14時24分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
アベノミクスで経済に薫風が吹いている日本。
うらやましいと言うと返ってくる言葉がある。
「財政赤字のため厳しい」というものだ。
日本が財政赤字で苦労していることはよく知られている。決定的な契機はバブル崩壊だった。
景気浮揚のために財政を動員し、ダメならまた動員して、という形で拡張的財政政策を続けた。
また、不良金融会社に公的資金も多く投入した。
経済協力開発機構(OECD)によると、日本の国家債務は国内総生産(GDP)の237%だ。
このため日本では景気回復中でも財政破綻に対する心配が大きい。
無策のままいれば破綻確率が2035年99.9%、2040年には100%という推算がすでに2年前に出た。
先日、この危機から抜け出すには8%の消費税率を38%に高めて100兆円の国家予算を30兆円まで7割削減しなければならないというシミュレーションも提示された。
日本人にとっては背筋の寒くなるような話だ。
財政破綻だからといって、ある日突然、国金庫が崩壊するわけではない。
市場で国債が徐々に売れなくなる症状からまず現れる。
すると国債価格が落ちて、金利が暴騰する。
資金不足の政府は公共サービスを減らすほかない。
国防・治安など必須分野以外のサービスは徐々に止まっていく。
金融危機もセットで起きる。時間が経つにつれ政府の信頼が落ちて収拾がさらに難しくなる。
結局は言葉どおり骨身を削る構造調整が待っている。
破綻へ向かう、後戻りできない橋はあっと思った瞬間にはもう渡っている。
気がついたからといって引き返すことはできない。
その後の処理に国民皆が大きな苦労を強いられる。
各国が普段からこの部分に目を光らせている理由だ。
ドイツは基本法に新規国家債務がGDPの0.35%を越えないように制限している。
欧州連合(EU)は毎年財政赤字がGDPの3%、公共負債残額が60%を越えれば構造調整に入る。
インドネシアでは会計年度の財政赤字がGDPの3%を越えれば大統領弾劾も可能だ。
韓国は事情が少しましだ。昨年の国家債務はGDPの38.5%だった。
この比率が100%を越える問題児がありふれていることに比べれば優等生といえよう。
そのためか余裕のある時に少し使おうという言葉が各方面から出る。
景気浮揚、失業解消、地域開発のためにケインズ式財政政策を使おうという主張だ。
だが、ケインズ式処方は通用する時があり、そうでない時がある。
財政を投じたからといって景気が100%盛り返すわけではない。
顔面に強烈なパンチを一発食らって倒れた時に応急措置として使うのがケインズ式処方だ。
胴体にジャブを無数に食らってグロッキー状態になった後では効果がない。
韓国経済はこれに該当する。
特に失業は外部の衝撃よりも政策の失敗と構造問題が重なった結果だ。
根本的な対策なく財政で一発解決を試みることは無知で危険な発想だ。
最近は国家債務の増加そのものが投資と消費を萎縮させて成長を制限するという研究結果が多い。
国家債務は高齢化のせいで黙っていても増えることになっている。
韓国の国家債務増加速度はOECD加盟国のうち4番目となっている。
2000~2016年の債務増加率は年平均11.6%だった。
財政危機に直面していたスペイン(7%)、ギリシャ(4.9%)、イタリア(3.4%)よりも高い。
OECDは韓国の純債務が2060年にGDPの200%に肉迫すると警告した。
政府・与党は債務比率を1~2%ポイント高めても耐えられると考えているようだ。
GDP比38%ラインから40%台に債務防御線を後退させてもかまわないということだ。
1%ポイント退くたびに国の借金が19兆ウォン(約1兆8900億円)増える。
国家経済の安全保障に直結した財政健全性に自らアチソンラインを引くわけだ。
財政健全性に対する韓国の防御意志を疑う視線が厳しくなるのは必至だ。
市場は財政に甘い国家に友好的ではない。
信用格付けは下落して海外借入の加算金利が上がる。
日本の信用格付けがしばらくボツワナより低かったことも財政赤字のためだった。
何より共に民主党の財政緩和の動きは大きな違和感を与える。
2016年末、所属議員39人が財政健全化法案を発議したではないか。
この法案には「今後財政健全性が悪化するだろう」という懸念が盛り込まれた。
第7条には新規国家債務をGDPの0.35%以下にするという条項がある。
金額にすると6兆6000億ウォンぐらいだ。
法案を出した民主党が今は国の借金数十兆ウォン増やすことを何事もなかったのように話す。
政府のやり方も手の平を返したかのようだ。
企画財政部も同じ頃、同じ法案を出して迅速な処理を促した。
国家債務をGDPの45%以下に維持するのが骨子だ。
ところが「いつそんなことをした」と言わんばかりに与党の拡張基調に歩調を合わせている。
官僚には魂がないというが、今や記憶力もどこかに置いてきてしまったのか。
法案には財政健全性に対する国民理解度を高める教育規定(17条)がある。
財政のさらなる緩和を進めようとしているところに、無意味化した条項だからと自主的削除を勧める。
魂に続いて記憶まで失ってしまったのなら、体面ぐらいは保つべきなのではないか。