日本と世界

世界の中の日本

アジア各国は、「一帯一路」計画を新植民地主義と警戒し始めている。

2019-02-10 18:19:15 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

習近平氏が、世界地図を塗り替えるほどの勢いで始めた「一帯一路」計画は、その杜撰さと「中国第一主義」が見透かされ失速状態に陥っている。

当初は、アジア各国のインフラ投資不足を解消してくれる「救世主」と期待がかかった。

だが、過剰融資と不確かな採算見通しによって、「債務漬」にされる実例が頻発している。中国は、弁明に大童だが時すでに遅しだ。

アジア各国は、「一帯一路」計画を新植民地主義と警戒し始めている。

これは、中国にとって大きな誤算である。中国は、「一帯一路」計画で相手国へ恩を売り、かつ中国経済圏へ取り込み、地政学的な利益まで丸ごと手に入れるはずだった。

それが、大逆転を食らった感じである。アジア各国を甘く見た結果、しっぺ返しを受けている。

『ブルームバーグ』(2月8日付)は、「一帯一路かじ取り多難、『新植民地主義』と反発、アジアで凍結や縮小」と題する記事を掲載した。

(1)

「マレーシアのマハティール政権は先月26日、政府系投資会社ワン・マレーシア開発公社(1MDB)をめぐる汚職疑惑で退陣したナジブ前首相が進めた「東海岸鉄道(ECRL)」計画を凍結すると発表した。

810億リンギット(約2兆1764億円)に上る事業費が『財政能力を上回る』ことを理由に挙げた。

シンガポールのシンクタンク「シンガポール国際問題研究所(SIIA)」の上級研究員、胡逸山氏は『中国はインフラ開発で経済成長を推進するという自国モデルを輸出するのが難しいことを学びつつある』と指摘した」



(2)

「パキスタンも620億ドル(約6兆8000億円)規模の一帯一路関連プロジェクト「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」で中国からの融資削減を決定した。

資金負担が理由という。

ミャンマーは、中国のCITICグループがチャオピュー経済特区で75億ドルをかけて建設予定の深水港建設計画の規模を縮小する方針を発表。

政府投資委員会(MIC)のタウン・トゥン委員長は「返済できないほどの資金は借りない」と述べ、差し迫った必要がないインフラの工事は行わないと表明した」

「一帯一路」の綻びは、マレーシアから始った。

マハティール政権が、「一帯一路」計画について見直しの狼煙を上げ、中国がそれを受入れるや一斉に他国へ波及した。


ドミノ現象だ。

中国は、「インフラ開発で経済成長を推進する中国モデルの輸出が難しいことを学びつつある」と指摘している。

中国が行なった初期インフラ投資は、日本のODA(政府開発援助)資金で行なった。

「低利・長期返済」という有利な条件であったから財政負担にならず、中国が外資を呼び込む上で大きな力になった。


中国の「一帯一路」は、「高利・短期返済」によるインフラ投資である。

日本のODAは相手国の利益第一主義を貫いた。中国は、自国利益第一主義である。破綻して当然である。


(3)

「シンガポールの政府系シンクタンク『東南アジア研究所(ISEAS)』の調査によると、『一帯一路は東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を中国の領土に一段と近づける』との回答がほぼ半数を占めた。

同研究所は、『中国が(自ら有利な秩序の構築を目指す)歴史修正主義大国になるとの各国の懸念を考えると、調査結果は同地域にとり深い意味を持つ』と話す。

また、シティグループのまとめによれば、昨年、ASEANの6大国で新規大型投資や建設計画が金額ベースで半減し、192億ドルと4年ぶりの低い水準にとどまった。

シティのアナリストらは『決定権を握って地政学に基づいた戦略を押しつけるような中国の態度は、かえって東南アジア諸国の神経を逆なでし、反発を招く』と説明する」


アジア諸国は、「一帯一路」が遅れたインフラ投資にカンフル剤となるという期待を掛けた。

それ故、南シナ海での中国の国際法無視の行動に目を瞑っていた。

だが、「一帯一路」がまやかしの「高利貸し商法」であることに気付いたのだ。


中国は、アジアで信用を失った以上、それを取り戻すことは難事であろう。「

中国が歴史修正主義大国」という認識が深まったのだ。


毛沢東時代に得た中国への信用は、習近平氏の振る舞いではげ落ちたと言える。


中国を取り巻く状況は急変しつつあると見るべきだ。




中国共産党による覇権主義が国際社会を脅かす中で、これに対抗すべく各国の民間団体が初めて統一組織をつくったからだ。

2019-02-10 18:12:09 | 日記
自由インド太平洋連盟がめざすものとは?石井英俊副会長に聞く

平成30(2018)年10月26日に東京で結成された「自由インド太平洋連盟」が注目を集めている。

中国共産党による覇権主義が国際社会を脅かす中で、これに対抗すべく各国の民間団体が初めて統一組織をつくったからだ。

結成大会にはウイグル(東トルキスタン)、チベット、南モンゴル、台湾、インド、ベトナム、そして日本の代表者が集結。

連盟結成にあたってのキーパーソンの一人であり、副会長に就任した石井英俊氏に独占インタビューを行った。

聞き手:選報日本 編集主幹 本山貴春

初めての国際的統一組織

Q.自由インド太平洋連盟が発足に至った経緯を教えてください。

石井英俊:実は、ウイグルのラビア・カーディルさん(世界ウイグル会議元議長)と、南モンゴルのショブチョード・テムチルトさん (クリルタイ=世界南モンゴル会議会長)の間で、10年ほど前から構想が練られていました。

それまで、ウイグル、南モンゴル、それからチベットの各運動団体は、交流はあったものの、運動の上で共闘することができていませんでした。

例えば、共同記者会見を行う、といったこともできていなかったわけです。

これが初めて国際的統一組織をつくったわけですから、極めて画期的です。

平成28年にクリルタイ(世界南モンゴル会議)が東京の参院議員会館で結成されたのですが、その際、会場の手配や参加者のビザ取得などを私がお手伝いさせていただく機会がありました。

去年はクリルタイ主催の「文化大革命時代のモンゴル人ジェノサイドのユネスコ記憶遺産を目指すシンポジウム」がやはり参院議員会館で開催され、その時もお手伝いしました。

その縁があって今年の4月に、南モンゴルのテムチルトさんなどから、新しい国際組織の立ち上げに関する相談と、日本代表の就任依頼をいただき、今回の結成大会に至りました。

この国際組織「自由インド太平洋連盟」の拠点を東京に置くにあたり、私がふだん福岡にいる関係もあって、東京在住で経験豊富な小島孝之さんにも日本代表をお願いし、結成大会では会場の準備やメディア対応を担っていただきました。

関東の支援者含め、非常に多くの方のご協力により新組織の発足にこぎつけることができ、心から感謝しております。

大々的に報道される

Q.当日、結成大会の雰囲気はいかがでしたか?

テレビ局や新聞社など大手メディアが20社以上詰めかけ、会場は熱気に包まれていました。

結成大会の参加者は各国代表とその随行者、日本人支援者など全体で100名以上です。

そして約半数が海外からの参加です。大会の前日には内部会議を行ったのですが、そこでは議論が白熱しました。議論したのは規約に明記される組織の目的や、今後の活動方針についてです。

そこで苦労したのが言語の壁です。というのも、全員が英語を話せるわけではないからです。

連盟としての共通言語がないという問題は、今後も課題ですね。

ちなみに大会後には国会議員との懇談会を設定したのですが、代理出席を含めて10名の議員さんが来てくださいました。

今回初めてお会いできた方もおり、このご縁を大切にしたいと思います。

結成大会の模様は全国的に大きく報道されましたので、非常に反響がありました。各国の参加メンバーも喜んでいましたよ。

中国の拡張主義や人権弾圧に反対

Q.今後の展望などお聞かせください

各国の代表者とも確認したことですが、この結成大会はあくまでスタートラインに過ぎません。

現在の正式な参加国は日本を含め6カ国ですが、まずはこれを増やして行きます。

参加単位は「国」に限りません。民族や地域としての参加もあります。

すでに複数の国や地域と調整に入っています。インドから太平洋にわたる全域が、われわれの連携対象です。

今回は公表していませんが、意外な国からの参加もありました。さらに、米国からも参加を見込んでいます。

その上で、連盟として国際社会にアピールしていきます。これまでのように各個バラバラにアピールするよりもインパクトがある筈です。

誤解しないでいただきたいのは、「自由インド太平洋連盟」はこれまでの各国各民族の運動を代替するものではない、ということです。

既存の各団体に干渉することもありません。

「自由インド太平洋連盟」はこれまでの運動とはステージの異なる、全く新しい運動体です。国際的な連携のための組織として、中国の拡張主義や人権弾圧に反対していきます。

中国の拡張主義と人権弾圧を止めるためには国際社会の圧力が必要です。

「自由インド太平洋連盟」はそれを民間団体として発信します。

取り急ぎ、ウェブサイトを複数言語化し、具体的な事例や実態について情報発信を行っていきます。

例えば国連にレポートを出すということもあるでしょう。日本国民への世論喚起も重要です。

そして全世界で、運動への支援を呼びかけていきます。

日本はあくまで「調整役」

Q.連盟の副会長としての抱負をお願いします

私が副会長に就任したことは全くの予定外でした。結成大会前日の内部会議で、海外メンバーから「なぜ石井は役員に入っていないのか」との声が挙がったのです。

日本からは小島さんが事務局長として入っていましたので、2人だとバランスが良くない、と断りました。

しかし「石井を副会長に」という声が次々に挙がり、最後には「そんなに嫌か」とまで言われ、押し切られました(笑)

個人的には、そこまで信頼していただけたことに感動しています。

今回の国際組織の構想は、あくまでウイグル人とモンゴル人が考えたものです。拠点は日本に置きますが、日本人はあくまで調整役に過ぎません。

大会に参加した支援者のお一人が「戦前の大東亜会議は日本人が言い出したので無理があったが、今回はアジアからの要望で開かれたのが画期的」と仰っていたのが印象的でした。

私はすでにこれまでの運動で北京政府には睨まれており、連盟の発足でますます危険視されると思いますが、あくまで調整役であるということを強調しておきたいと思います。

Q.今回、通訳など裏方として参加されたランダム・ヨーコさんからも一言お願いします。

ランダム・ヨーコ:とても意義深い結成大会でした。文化や言語、国籍が違っても、問題意識が同じなので、会った瞬間に「仲間」になれたように思います。

自由インド太平洋連盟の目的は中国への内政干渉ではなく、当たり前のルールを中国政府に守らせよう、ということ。

このことを共通認識にできたのは良かったですね。(了)

中国の侵略と蛮行への国際的抵抗戦線

2019-02-10 18:02:19 | 日記
2018年10月31日 00:00


自由インド太平洋連盟結成

中国の侵略と蛮行への国際的抵抗戦線

中国当局による弾圧などの報告が国別、民族別で行われた

衆議院第1議員会館で10月26日、自由インド太平洋連盟(FIPA)結成大会が開催された。

チベット、南モンゴル、ベトナム、台湾、インド、満州、ウイグルから代表団が参加し、国別・民族別の状況が報告された。

1時間半に及ぶ現状報告で、中国当局がこれらの地域と民族をどう弾圧してきたかについて証言が続いた。

特に、ウイグルの場合、2年前から状況が極度に悪化していると報告された。

ウイグルは全土が収容所となった状態で、その中に特別隔離施設があるという。

ウイグル代表として参加した人たちは、自分の親族に起きた悲劇を生々しく証言した。


中国共産党が1949年以降、侵略・占領した地域で行われた恐ろしい反文明的な措置が糾弾された。

結成大会で決定された当面の活動計画は、

(1)中国によるウイグル、チベット、南モンゴル、ベトナムなどでの弾圧現状を把握するため、「国際調査団」の派遣を要求する

(2)2022年北京開催の冬季オリンピックの見直しをIOCに求める

(3)米国のグローバルマグニッキー法による陳全国新疆ウイグル自治区党委書記の制裁を求める

(4)チベット、ウイグル、南モンゴルなどで、中国政府が強行している宗教、文化、言語などの抹殺行為を阻止

(5)チベット、南モンゴル、ベトナムなどで、中国が強行する環境破壊を直ちに止めさせる

(6)突然の失踪、逮捕、臓器狩りなど、国家によるテロ行為を直ちに止めさせる

(7)日本政府があらゆる機会を通じて、中国などの残虐な人権弾圧に抗議することを要求する、という7項目におよぶ。

中国の占領下で弾圧されている各国が本格的に連帯して活動するようになったのは初めてだという。

南モンゴル代表の尽力によって実現された。

役員選出の結果、会長にウイグルのレビー・カディール氏、副会長にはチベットと南モンゴルの代表と日本の石井英俊さん、事務局長には小島孝之さんが選出された。

連盟は10月28日、駐日中国大使館の前で抗議活動を展開。

自由インド太平洋連盟は今後、中国共産党の蛮行に抗議、抵抗するあらゆる地域と民族とも連携していく方針だという。




韓国で日本の次世代新幹線をうらやむ声「まるでアニメ」「韓国もまねしよう」

2019-02-10 17:50:34 | 日記
韓国で日本の次世代新幹線をうらやむ声「まるでアニメ」「韓国もまねしよう」

2019/2/10 06:30

©株式会社 Record China


2019年2月8日、JP東日本が東京と札幌を結ぶ区間で運行するため開発中の次世代新幹線試験車両「ALFA‐X(アルファエックス)」を公開したことが、韓国でも話題となっている。

JP東日本は2030年に予定されている新幹線の新函館‐札幌間の開業に合わせて、時速360キロの営業運転を目標にALFA‐Xを開発している。「

ロングノーズ」と呼ばれる長さ約22メートルの鋭い先端部分は、トンネルに入る際の衝撃や騒音を低減する効果がある。

今年5月に完成する試験車両には、地震発生時に車体の揺れを抑制する装置も搭載されるという。

JP東日本は「次世代新幹線の運行により東京‐札幌間の移動時間の大幅な短縮が可能となり、利用客の増加につながる」と期待を寄せている。

聯合ニュースなど複数の韓国メディアが「ALFA‐X」について伝えており、韓国のネットユーザーからは「過去の歴史問題はあるけど、学ぶべきところは学ぼう。技術力が韓国よりはるかに高い国だから。

政治と他の部分は分けて考え、あまり感情的になるなと議員たちに言いたい」

「韓国も見習って。国民の税金を無駄遣いしない日本人の精神を」

「日本の新幹線は顔が多様。まるでアニメのキャラクターのよう。韓国もまねしよう。韓国の鉄道は単純過ぎて特徴がない」

「韓国にもヘム(最高時速430キロの高速列車)がある。鉄路の工事ができていなくていまだに走れていないけど」

「韓国は北朝鮮に鉄道を敷いてあげなくちゃならないからお金がない…」など、うらやむ声が続々と寄せられている。
(翻訳・編集/堂本)

中国ウイグル自治区「100万人拘束」か

2019-02-10 17:31:05 | 日記
中国ウイグル自治区「100万人拘束」か

トルコで亡命者から実態探る

2018/12/20 17:3412/20 17:41updated

©一般社団法人共同通信社

拘束されたとされる母と妻や、行方不明の2人の子どもの写真を掲げるアブドゥルラフマン・ハサンさん=11月、トルコ・イスタンブール(共同)

中国新疆ウイグル自治区で、当局が少数民族ウイグル族らを不当に多数拘束しているとの批判が国際的に高まっている。テロ対策名目による拘束者数は100万人以上に上り、拷問も行われているとの指摘もある。民族・宗教的に近いウイグル族を多数受け入れているトルコで亡命した人々を取材し、実態を探った。(イスタンブール、カイセリ共同=吉田昌樹)

 ▽「24時間尋問」

 ウイグル族のカザフスタン人女性実業家、ギュルバハル・ジャリロワさん(54)は今年9月まで1年以上、自治区の収容所に拘束されていたと証言、「手足を縛られ24時間尋問された」などと過酷な実態を明かした。

 カザフ南部アルマトイを拠点に長年、自治区に行き来して貿易の仕事をしていたが、昨年5月、自治区の区都ウルムチ市で突然、拘束された。

知らない会社への送金を認めるよう迫られ、拒むと“再教育”用の収容キャンプに連行。少女から高齢女性まで三十数人いる窓のない狭い部屋に収容された。

 食事は1日3度あるが肉はなく粗末で、体重が激減。

ノミもおり、髪を切られた。

私語は禁止で、見つかると罰として鉄の重りを足に付けられた。

3カ月に1回程度、連れ出されて尋問を受けたが、手足を鎖で結ばれ、頭を覆われた状態で24時間続くこともあったという。

「中国共産党の歌を覚えさせられた」とも振り返る。


中国当局に両手を縛られ尋問を受けた際の様子を説明するギュルバハル・ジャリロワさん=11月、イスタンブール(共同)

 部屋に戻った他の収容者の体にあざなど暴行の痕があったのも見た。

また「定期的に注射を打たれたりカプセルをのまされたりした」と明かし、鎮静剤の無断使用も疑っている。

 今年9月に突然「無罪と分かった」と釈放され、カザフに帰国。

その後、数回にわたり「何もしゃべるな」と匿名の脅迫電話を受けたため、トルコ・イスタンブールに逃れた。「中国政府を許せない」と訴える。

▽拘束家族「いっそ殺して」

自治区に残した家族と連絡が取れなくなったと証言する亡命ウイグル族の人も多い。

自治区カシュガル地区で貿易業を営んでいたアブドゥルラフマン・ハサンさん(43)は昨年、キルギス経由でトルコに亡命した。

イスラム教徒が大半のウイグル族を、中国当局が次々と拘束。

自分は政治や宗教活動に関わりがなかったが、危険が迫ったと感じた。

だがその後、カシュガルに残した高齢の母や妻(22)を含む親族10人以上が拘束されたと人づてに知った。

収容キャンプの食事は粗末で虐待もあり、死者が出ているとも聞いた。

息子(4)と娘(2)の行方は分からない。

子ども用のキャンプもあると聞く。現在イスタンブールで暮らすハサンさんは「中国政府が家族を殺してくれれば、みんなこれ以上苦しまなくて済む」とまで話す。

家族が解放れなければ自身も出頭する覚悟だという。

カシュガル地区出身で、トルコ中部カイセリで亡命生活を送るメフディ・オメル氏(63)も、

自治区に残した妻や子どもらと約3年前から連絡が取れなくなったと証言した。

「家族が外国にいるウイグル人は全て拘束されたようだ」と指摘し、「キャンプ送りになった家族をいっそ殺してくれ。

死は彼らの救いだ」と語気を強める。


連絡が取れなくなった家族の写真を持つメフディ・オメル氏=11月26日、トルコ中部カイセリ(共同)

▽「空前の弾圧」と米議会委

自治区では2009年にウルムチで大規模な暴動が発生、約200人が死亡した。

事件後、当局はテロ対策名目でウイグル族への抑圧を強化したとされる。

国連人種差別撤廃委員会は8月、自治区で推定数万人から100万人以上のウイグル族らが不当拘束されたとの報告が寄せられたと懸念を示し、思想改造用の施設が存在する可能性にも言及した。

米議会の「中国に関する議会・政府委員会」も10月公表の報告書で、中国当局がウイグル自治区で「空前の弾圧」を行っていると非難し、インターネット管理も強化していると批判した。

一方、中国政府は「恣意(しい)的な拘束はない」と否定している。

これに対し、トルコの亡命ウイグル族組織幹部セイット・トゥムチュルク氏(54)は、数年前から中国当局がウイグル族収容施設を増設してきたと主張する。

弾圧強化の裏に、習近平国家主席が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」のルート上に位置する自治区を、完全な統制下に置く狙いがあると指摘。

「中国はウイグル族を根絶しようとしている」と非難する。


トルコ中部カイセリで取材に答える亡命ウイグル族組織幹部セイット・トゥムチュルク氏(共同)

カイセリで2013年から亡命生活を送るウイグル族のトゥルスン・ムハメトさん(42)は、約20年前に自治区で一時拘束された経験があると証言した。

理由は「ちゃんと礼拝をしていたため」で、施設で暴行や電気ショックも受けたと語った。

釈放されたが、ムスリムとして自治区で暮らすのは無理との思いが募った。

密航業者に大金を払い、ベトナムやマレーシアなどを経由して亡命。

費用は家を売るなどして捻出し、妻子も合流できた。

しかし自治区に残る兄弟らと「連絡が取れない。権利を守りたいだけなのにテロリスト扱いだ」と嘆く。

12月10日で、人間の自由や権利をうたった世界人権宣言の採択から70年となった。

宣言13条は「全て人は自国に帰る権利を有する」と記す。

ムハメトさんらは「命の危険があり無理と分かっているが、故郷に戻り自由に生きたい」と強調した。

亡命先のトルコ中部カイセリで取材に答えるトゥルスン・ムハメトさん(共同)

【関連記事】ウイグル、憎しみ「限界」 亡命組織のカーディル主席
ウイグル、憎しみ「限界」

亡命組織のカーディル氏

2018/12/20 17:3512/21 17:18updated

©一般社団法人共同通信社


取材に応じる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル氏=10月、東京都千代田区

中国から亡命したウイグル族の組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席は2018年10月下旬、共同通信の取材に応じた。

主なやりとりは次の通り。カーディル氏は10月26日、ウイグル族らでつくる国際組織「自由インド太平洋連盟」の会長に就任し、既に「世界ウイグル会議」主席からは退いている。(共同通信=日出間翔平)

 ―国連人種差別撤廃委員会は中国の新疆ウイグル自治区で100万人以上が不当に拘束されたとの報告があったとしている。

現在の状況は。

私の話をうそだと思わずに聞いてほしい。

(拘束されたのが)100万人と言われているが、私たちは300万~500万人、もしかするとそれ以上かもしれないと推測している。

多くのウイグル族が街から姿を消し、虐殺が続いている。

親を失った子どもたちが、多数いる。状況は報道されているのに、なぜ世界は沈黙を破らないのか。

私たちの訴えが足りないのだろうか」
 

―中国当局による拘束はテロ対策名目だとの指摘がある。

 「はじめは宗教的な、宗教人への弾圧だった。今はその領域を超えた。

学者、俳優、歌手、すべての人が対象だ。男性は連れて行かれ、美しい女性は強制的に結婚させられる。

断れば殺される。信じてもらうのが難しい。

収容所への連行が注目され、今度は刑務所に移されるようになった。

『いつお祈りをした』『いつコーランを読んだ』という理由ですぐに判決を言い渡され、刑務所に入れられる」

 ―情報はどうやって入手しているのか。

「世界中に亡命したウイグル族たちと連絡を取り、インタビューしている。

13カ月以上拘束された後、カザフスタンに逃れた女性は『収容所では12人用の部屋で38人が生活していた』と証言した。

みな、なぜ捕まったか分からないと話していたそうだ」

―米国議会の委員会が中国当局の弾圧を批判し、トルコ政府は多数のウイグル族を受け入れている。国際社会に何を求めるか。

「時間が経過すればするほど、死んでいく人が増える。米国は確かに行動を起こし、トルコは亡命を許してくれた。

しかし、まだ足りない。緊急の対応が必要だ。

今の私たちの状況は、他国の明日かもしれない。

日本政府にも、解決するべき問題だと捉えてほしい。全世界が行動を起こせば、中国は措置を取るかもしれない」

 ―中国を逃れたチベット族などほかの少数民族と連携する新たな国際組織「自由インド太平洋連盟」を設立。


狙いは。

「今、ウイグル人たちは限界に来ている。この上ない憎しみを感じている。兵力があれば、戦争をしたいと思うほどに。

だが武力行使で問題は解決しない。

これまでは個別に訴えてきたが、チベット族などと結束して平和的な手法で解決を探りたいと考えている。

だから近隣国であり、アジアで最も民主的な日本で新たな組織を設立することにした」