【コラム】米国の出生率は韓国の2倍、その理由とは
米国政府は先日「米国の出産率が上昇に転じた」と発表した。
2021年に生まれた新生児は366万人で、20年よりも4万6000人多くなった。
1人の女性が生涯で生む子供の数を意味する合計特殊出生率も昨年は1.66人を記録し、前年の1.64人を上回った。
さらに25歳以上の全ての年代で出産率が増加した。
米国も他の先進国と同じく少子化が課題だ。
しかし出産率の絶対値で見れば他の先進国に比べて低い方ではない。
国の経済規模の維持に必要とされる適正出産率(1.84人)と実際の出産率の乖離(かいり)が最も小さい国の一つだ。
中国は米国の覇権を脅かしているが、中国の出産率は急落しており、生産可能人口の割合が米国に抜かれ経済面での逆転に失敗すると予想する専門家もいる。
国連は2035-40年の中国の高齢依存割合(生産年齢人口に対する65歳以上の割合)は米国を抜くと予想している。
韓国は昨年の合計特殊出生率が0.81人と世界最下位を記録した。
出産率が米国の半分にも満たなかったのだ。
この格差は韓国がこれまで少子化対策に投入した天文学的な予算や行政力を考えればあまりにも厳しい。
米国は出産や育児への支援などほとんどないとも言える国だからだ。
米国の連邦政府だけでなくほとんどの州政府にも出産支援金、幼児手当、児童手当などない。
国家次元での出産休暇制度も育児休暇制度もない。
保育園も無償ではないため、保育費も非常に高く、私教育市場も韓国に負けないくらい高い。
地下鉄には妊婦専用席もないし、駐車場には女性専用を示すピンクの駐車スペースもない。
このように「劣悪な」環境でも米国人は子供を生んでいる。それはなぜか。まずは仕事だ。
女性は誰かが粉ミルク代やおむつ代を出すと言っても子供を生まない。
子供が成人になるまでの養育費や、子供に頼らず老後を設計できるかなど、さまざまな費用を計算する。
韓国では育児による経歴の断絶は公務員や一部の専門職を除けば経済活動における死亡宣告に他ならない。
これに対して米国の母親たちは育児に専念するときも「金はまた稼げばいい」と考える。
子供を育てた後にいつでも事情に合った仕事を探せるからだ。
今なお賃金の男女格差やガラスの天井はあるそうだが、多くの職業分野で年齢や性別、子供の有無によって労働市場への入り口が閉じられることはない。
もう一つは女性に対する性の役割への圧迫が韓国よりも顕著に弱いことだ。
米国の女性たちと話をすると、子供を生むかどうか、あるいは何人生むかはどこまでも本人の満足感と力量を基準として決まると感じる。
もし「いつ結婚するの?」「子供は生まないの?」「2番目も生みなさい」といった韓国式の「生涯周期別圧迫」を受ければ人権侵害と感じるだろう。
女性を出産の道具と考え「いろいろやってあげたのに、何が不満なのか?」と女性のせいにする社会だと出産率は回復しない。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版