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韓国経済に薄日も、楽観視できない「5大リスク」の中身

2017-07-09 14:35:27 | 日記
韓国経済に薄日も、楽観視できない「5大リスク」の中身

ダイヤモンド・オンライン

投稿日: 2017年07月06日

薄日が差し始めた韓国経済 くすぶる「5つのリスク」とは?

2010年代に入って急減速した韓国経済に、足もとで薄日が差し始めた。

かつて「最強」と呼ばれた韓国は再び勢いを取り戻すのか。

韓国と日本は経済的なつながりが深く、難しい政治問題も抱えているため、かの国の動向は気になるところだ。

新政権の政策や復活へのリスク要因について、韓国経済に詳しい向山英彦・日本総合研究所上席主任研究員に聞いた。

(聞き手/ダイヤモンド・オンライン副編集長 小尾拓也)


薄日が差し始めた韓国経済 くすぶる「5つのリスク」とは?

――2010年代に入って急減速した韓国経済ですが、足もとでは景気の底打ち観測が出始めました。韓国は今、どんな状況なのでしょうか。

2016年から2017年初にかけては、韓国にとって波乱の時期でした。

経済的には韓進(ハンジン)海運の破綻、サムスン「Galaxy Note 7」の出荷停止などが、政治的には朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾に至った大スキャンダルが生じるなど、悪材料が重なりました。

そのため、年初まで強い先行き不透明感がありましたが、今年に入り明るさが広がり始めています。それは成長の加速です。

本記事は「ダイヤモンド・オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら

2016年の韓国の実質GDP成長率は前年比2.8%と、2000年代平均の4.4%を下回る低成長になりました。

しかし、今年1-3月期のGDPは前期比1.1%(年率換算で4.6%台)と、昨年10-12月の同0.5%を大幅に上回りました。

輸出の回復が進展するとともに、建設投資の増勢が再び強まったためです。

ただ、市場の予想を上回る結果になったとはいえ、先行きはまだ楽観視できません。

――楽観視できない要因とは何ですか。

主に2つの国外リスク要因と3つの国内リスク要因があります。

今後の韓国経済を展望する上で注意が必要です。

――グローバル化で成長してきた韓国にとって、海外情勢はとりわけ重要です。

まず、2つの国外リスク要因とは何ですか。

1つは、米国のトランプ政権が「米国第一主義」を強めるリスクです。

米国の通商政策の全体像はまだ見えませんが、米国にとって7番目の貿易赤字相手国である韓国に対して、不均衡是正圧力をかけてくるのは間違いない。

自国の貿易赤字に不満を持つトランプ氏は、選挙期間中から米韓FTAを「米国の雇用を殺す協定だ」と強く批判してきました。

また、NAFTAが見直されれば、ポスコや起亜自動車など韓国企業のメキシコ事業が打撃を受けます。

もう1つは、THAADミサイル(終末高高度防衛ミサイル)配備決定に対する中国の経済報復リスク。

これはすでに顕在化しています。

昨年から、中国国内での韓国ドラマ、映画、コンサートの上映・開催中止、化粧品・食品などの通関不許可、ビザ取得のハードル引き上げなどが行われました。

さらに今春以降は、ロッテマートの営業停止、韓国への団体旅行商品の販売禁止、韓国製品に対するボイコットキャンペーンも始まるなど、報復措置がエスカレート。

中国から韓国への訪問者数が前年比で3月▲40.0%、4月▲66.6%、現代自動車グループの自動車販売台数が半減するなどの影響が出ています。

ただし、韓国の対中輸出は中間財が7割を占め、この分野の影響はほとんど出ていません。

また韓国は、ビザの発給緩和などで東南アジアや中東からの観光客を積極的に誘致しており、中国観光客の落ち込みをある程度カバーしています。


韓国を低成長に陥れたチャイナショックの正体


――そもそも2000年代に「最強」と言われた韓国経済が失速し、ここ数年低成長が続いた大きな原因は、「チャイナショック」だと言われています。

そこに足もとでは、ミサイル配備への経済報復という新たな中国リスクも出てきたと。

改めて、以前のチャイナショックとは何だったのか。またその影響は今も続いているのでしょうか。

向山英彦(むこうやま・ひでひこ)/日本総合研究所上席主任研究員。

中央大学法学研究課博士後期過程中退、ニューヨーク大学で修士号取得。 証券系経済研究所を経て、1992年さくら総合研究所に入社し、現在日本総合研究所調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。専門は韓国を中心にしたアジア経済の分析


2000年代に入って、韓国企業は輸出と海外生産を拡大させるなど、グローバル化を加速させました。

国内市場が小さい(GDPは日本の約5分の1)こともあり、成長が期待できる新興国市場を積極的に開拓したのです。


現地ニーズを反映した製品投入、通貨危機後のリストラとウォン安による輸出競争力上昇などが、シェア拡大に寄与しました。

こうした企業のグローバル化を背景に、韓国では輸出と投資の拡大が生じ、比較的高い成長につながりました。

その一方、グローバル化の過程で対中輸出依存度が上昇し、ピークの2013年には26.1%に達しました。

これにより、韓国経済は中国経済の影響を受けやすくなった。そこにチャイナショックが生じたのです。


チャイナショックとして、3つの影響が指摘できます。

第一に、中国政府が新常態を目指すことにより、中国の経済成長率が低下した影響です。

資源需要の減少と価格急落で資源国を中心に世界経済が減速した上、海運不況が生じたことにより、海運と造船業界がダメージを受けました。

第二に、中国における過剰生産の影響。

安価な中国製鉄鋼製品が海外市場へ流入した結果、市況が悪化しました。

そして第三に、中国企業の台頭です。

技術面での急速なキャッチアップと国産化政策などを通じて、韓国企業の製品が中国市場で苦戦するようになりました。

韓国の中間財の輸出が鈍化し、韓国製スマートフォンのシェアが低下しました。


ただ、中国向け輸出は3年連続で前年割れが続きましたが、昨年末から回復傾向にあります。

特に韓国の主力輸出製品である半導体は好調です。

――チャイナショック以降、韓国政府はどんな対策をとってきたのでしょうか。

輸出不振が続いたため、内需の拡大を目的に、

補正予算の編成、住宅融資規制の一部緩和による住宅投資の推進、消費刺激策(自動車の特別消費税率引き下げなど)を実施しました。

韓国銀行も政府に歩調を合わせ、2014年~16年に6回利下げを行ない、現在の政策金利は過去最低の1.25%になっています。

この2年間を見ると、内需が成長を支えているため、景気対策は一定の効果があったと言える。ただし、その副作用が現れ、国内リスクの1つになっています。

住宅ブームで累積する家計債務 金利上昇なら国民負担増の懸念

――では、3つの国内リスク要因とはどんなものでしょうか。

家計債務の増加リスク、企業・産業の構造調整リスク、そして文在寅(ムン・ジェイン)新政権の政策リスクです。

――1つめの家計債務の増加リスクとは?

住宅融資規制の緩和と金利の低下で住宅投資が増加した一方、家計債務が積み上がりました。

債務額の増加も問題ですが、注意すべきは質の悪化。

中小企業・低中所得層において、ノンバンクからの借り入れが急増しています。

生活苦に陥った国民が、生活費のために借り入れを行う動きが見られます。



今後の懸念は国内の金利上昇です。米国の利上げにより、米韓の金利差が縮小しています。

米国の利上げが今後も続けば、逆転します。

そうなると市場金利が上昇するほか、中央銀行が資金流出を抑制する目的で利上げする可能性もあります。

金利が上昇すれば債務の返済負担が増加し、消費にマイナスとなる。このため、債務の適切な管理が課題になっており、政府も住宅投資を抑制しています。


――2つめの構造調整リスクとは何ですか。

前述した輸出の低迷や受注の減少で、韓国企業の業績が悪化しました。

象徴的なケースが、昨年経営破綻した韓進海運。2000年代前半から半ばにかけては、資源取引の増加で海運需要が右肩上がりだったため、同社は自社保有の船舶を増やし、借り賃が高騰する船舶の長期賃貸契約を結びました。

これが裏目に出たのです。

リーマンショックとその後の中国の成長減速で海運需要が激減し、同社は事業を続けるほど赤字が膨らむ状態に陥りました。

さらに趙秀鎬会長の死後、夫人の崔恩瑛氏がトップを務めた同族経営のせいで、経営の建て直しを遅らせてしまいました。

同社に限らず、韓国では近年多くの企業が構造調整を迫られました。

構造調整に伴うレイオフや企業債務の増加に今後も注意していく必要はありますが、コスト削減への取り組みと最近の輸出回復により、総じて企業業績は改善に向かっています。

造船業界の受注が再び世界トップに返り咲く、サムスン電子の営業利益が増加するなど、明るい話題も出ています。

また、大企業の構造調整も進みました。

市況の悪化と過大投資が重なり財務基盤が悪化したポスコグループは、

鉄鋼を中核事業として基礎素材・クリーンエネルギーを成長エンジンとして育成する一方、非中核事業の売却を進めました。

またサムスングループは、石油化学、国防、プリンタ事業を売却する一方、バイオ、電装事業に力を入れています。

海外事業では、中国事業を再編成するとともに、スマホ・携帯電話の主力生産拠点をベトナムへシフトしました。


公共部門での大幅雇用創出も 見えない財源確保の道筋


――なるほど。家計債務の増加リスク、企業・産業の構造調整リスクの遠因は、チャイナショックにあると言えますね。

では、3つめの新政権の政策リスクとは何でしょう。

韓国では文在寅政権に対する期待が高まっていますが、先行きに関しては課題が多いと考えます。

今回、文氏が大統領に当選した勝因は3つありました。

1つ目は「ロウソク革命」を通じて「反保守」の流れができたこと。

2つ目は民主化運動に関わっていた氏に対する公正な社会の実現への期待。

3つ目は若年層の就職難が続くなか、公共部門を中心にした雇用創出を公約のトップに掲げたことです。

ただ、文氏の得票率は41%に過ぎず、一方で旧政権与党の得票率は3割に上りました。

国会でも野党の協力が必要です。

また、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の流れを汲む人たちに支持されている文政権は、今後、現実路線と左派路線の間で揺れ動く可能性がある。

大統領としての調整能力が問われますが、文氏のリーダーシップを疑問視する声も聞かれます。

とりわけ政策面で気がかりなのは、経済政策と外交・安全保障政策でしょう。

――文政権の経済政策面での不安は何ですか。

韓国は対GDP比で政府債務残高が約4割と、OECD諸国の中で健全な水準にあります。

これは韓国が均衡財政主義をとってきたためですが、福祉関連の支出増加、景気対策の補正予算などで、近年債務残高は増加基調にあります。

最大の懸念は、

文大統領が公約として、公共部門を中心にした81万人の雇用創出、

格差是正のための非正規職の正規職への転換と最低賃金の引き上げ、

高齢者向けの基礎年金の増額、育児手当、若年層向け住宅供給などを掲げたことです。

こうした一方で、財源をどのように確保するかは見えて来ない。ここが気がかりです。韓国の財政学者の多くは「公約の実現は不可能に近い」と言っています。


そもそも公共部門での雇用増を掲げた理由は、

これまでの保守政権は雇用創出の役割を民間部門に委ねたにもかかわらず、十分な成果を上げられなかったこと、

OECD諸国のなかで、韓国は雇用者に占める公共部門の割合が少なく、「ここは伸ばせる」と踏んだことです。

しかし注意したいのは、税収の対GDP比では韓国はOECDの中で非常に低い部類に入っていること。公共部門を拡大すれば、国民負担も増やさざるを得ません。

増税ということなら、富裕層を中心にした所得税、相続税の引き上げが実施される可能性があります。

一部で、李政権時に引き下げた法人税率を元に戻す案も出ていますが、世界的に法人税率引き下げの動きが広がっているなかでは難しいでしょう。

増税が叶わなければ、国債発行に依存することになり、財政の健全性を損なう恐れが出てきます。

公約を通じて国民の期待値を高めたため、現実的な対処をどうするのかが残された課題です。


ポピュリズム的な色彩の文政権 財閥改革と経済活性化の行方は?


――お話を聞いていると、文政権にはポピュリズム(大衆迎合)的な色彩が濃い印象を受けます。

大きな関心が寄せられる財閥改革はどういう動きになるでしょうか。文大統領は民主化のためにも、財閥改革が必要だと認識しているようですが。

財閥改革の動きは、これまで玉虫色でした。

通貨危機後に金大中(キム・デジュン)政権下で経営の透明性の増大、債務比率の圧縮、経営資源の選択と集中などが進められました。

その後も改革は続けられましたが、時々の経済状況によって規制が強化されたり、緩和されたりしました。

政経癒着をなくすためにも、財閥改革は必要です。

文氏の財閥改革に対する強い意欲は、「財閥狙撃手」の異名を持つ金商祚(キム・サンジョ)漢城大教授を、公正取引委員会委員長に指名したことに示されます。

金商祚氏は指名後の会見で、

「財閥改革には経済力の集中を防ぐことと、ガバナンス構造を改革することの2つの目的がある」

「財閥改革は4大財閥を中心に推進していく」

「循環出資の解消は必ずしも最優先課題ではない」

「財閥改革は綿密な計画に基いて、一貫した方法で予測可能な形で推進していく」と述べています。

6月23日に行われた4大財閥との懇談会では、経済における財閥の役割を評価する一方、財閥改革は政府が押し付けるものではなく、財閥と協力しながら進めていくものとの認識を示し、財閥自ら改革を推進していくことを求めています。

予想に反して、金商祚氏が柔軟な考えを示している背景には、急激な改革を実施すれば、経済全体へのマイナスが大きいこと、財閥改革を企業経営の革新につなげようとしている考えがあるのではないかと思います。

こうして見ると、今後の改革は比較的取り組みやすいところから始められる可能性が大きい。たとえば、少数株主の権利拡大、監査委員の分離選出、不公正取引に対する処罰強化、創業者一族の支配力抑制などです。


対北朝鮮政策は非常に難しい 日韓関係は「日本の出方」に不安


――では、文政権の外交・安全保障政策面のリスクとは? 喫緊の課題は核実験やミサイル発射を繰り返している北朝鮮への対応です。

文大統領は今後難しい対応を迫られるでしょう。

実際、新政権発足後も続くミサイル発射で対北朝鮮融和路線の難しさが浮き彫りになったほか、

対北朝鮮政策をめぐる韓国と米国との認識のズレが表面化しており、今後米国との安定した関係を維持できるのかが課題となります。

当面は米韓首脳会談が注目されます。

今後、文政権がどこに軸足を置くかで、各国との関係に影響が出て来そうです。

仮に韓国が北との対話を重視すると、米国との関係がぎくしゃくします。

中国の要求を受け入れてTHAAD配備を中止しても、対米関係が悪化します。

他方、対米関係を重視してTHAAD配備を継続すると、中国は言うまでもなく、国内でも党や支持者から反発を買う可能性がある。

つまり韓国の対北朝鮮政策は、関係諸国との利害調整の面で非常に難しいものになります。

――日本にとっては、対日政策も不安です。文氏は対日強硬派と言われていますが、李明博(イ・ミョンバク)政権時のように日韓関係が悪化すると、両国の経済にも悪影響が出かねません。

文大統領はもともと「日本との植民地問題については、曖昧な形ではなく法的な責任や謝罪を求める」という考えを持っており、今後、日本に対して原則的な立場をとる可能性があります。

最近の発言はこれを裏づけるものです。その一方、原則的立場をとることで、日韓関係が悪化し、経済や安全保障などで協力関係が崩れる事態を避けたいという意向も示している。言わば「ツートラック」です。

問題は、現在の日本政府がツートラックを受け入れようとしていないこと。

日本政府としては、一昨年末の慰安婦に関する合意を韓国側が履行することを求めているので、日韓関係はしばらく難しい状況が続きそうです。

ただ、経済への影響はさほど心配する必要はありません。日韓の経済関係は、大企業同士のサプライチェーンが中心で、政治問題に左右されにくいためです。

――これまで韓国の現状やリスク要因を詳しく聞いてきましたが、近い将来、韓国はこれらの課題を克服し、本格的な成長路線へ戻れるでしょうか。

結論から言えば、難しいと思います。




中国経済の変化や世界的な保護主義の高まりなどを考えると、かつてのように輸出が成長を牽引する姿に戻ることは不可能です。

むしろ、韓国は新産業やベンチャー企業の育成、既存企業の経営革新を進めて、内外需のバランスがとれた質の高い成長を目指していくべきです。


文政権は公共部門を中心とした雇用増→所得増→消費増→投資増の好循環を想定していますが、財政面の制約に直面する可能性が高いです。

なので早期に政策を見直し、民間経済の革新により力を入れることが必要だと考えます。
(ダイヤモンド・オンライン編集部)

韓国は反日激化、日本は謝罪外交をやめるときが来た

2017-07-03 17:24:11 | 日記
韓国は反日激化、日本は謝罪外交をやめるときが来た

反撃を受けないからいつまでも日本を攻撃し続ける韓国

2017.6.17(土) 古森 義久

日本は韓国に登場した文在寅新政権にどう対応すべきだろうか。別な表現をすれば、日本は文在寅大統領の下の韓国にどう対応すべきなのか。

日本側がまず覚悟すべきなのは、北朝鮮に異様なほど寄り添う文政権の親北の姿勢である。

文大統領は当選の翌日に、親北活動家だった任鍾哲氏を大統領秘書室長に起用した。

任鍾哲氏は、北朝鮮の主体思想に共鳴しているとも言われる。

日本の官房長官に等しい要職である秘書室長に任鍾哲氏を起用したことも、文大統領の北朝鮮への傾斜を強く印象づけた。

文大統領自身、選挙戦中から北朝鮮を脅威ではなく同胞として扱い、北との統一を「国家連合」という言葉で表現してきた。

北朝鮮の主体思想や独裁政治の過酷な人権弾圧を非難することもない。北朝鮮に対して韓国側の民主主義の優越性を説く姿勢は露ほどもみせないのだ。

日本とは根本的に異なるこの姿勢は、安全保障面で米国との摩擦を引き起こすだろう。

米国が韓国との同盟関係を保ち、韓国に米軍を駐留させているのは、北朝鮮が韓国にとって明白な軍事的脅威であるという大前提の認識があるからだ。

ところが文大統領は、北朝鮮を軍事的脅威とみているのかどうかさえ曖昧である。

米韓のこうした認識のギャップは米韓同盟を侵食し、韓国の安全保障を揺るがしていくことになる。

日本としては、韓国のそうした状況を当面は静観しながら、日米同盟の強化を図ることが賢明である。

日本国民の悲願とも言える北朝鮮による日本人拉致事件の解決でも、韓国の協力は期待できなくなりそうだ。

なにしろ文大統領はこれまで政治家として北朝鮮を無法国家とみて糾弾したことがほとんどない。

むしろ北朝鮮を脅威だとか無法だとみる側に対して非難を浴びせてきた政治活動家だったのである。


謝罪外交は失敗だったと米国人学者

さらに文政権下では、「反日」志向が一段と激化することが予測される。その動きに日本はどのように対応すべきなのか。

日本側は年来、韓国の官民からの糾弾に対してとにかく謝罪するという対応をとってきた。

そして、韓国側の当面の要求に屈服するという態度だった。

慰安婦問題などでの宮沢喜一氏の連続謝罪、河野洋平氏の「河野談話」などが分かりやすい実例である。

こういう態度は、韓国側に同調や譲歩を示し謝罪をすれば、韓国側が態度を軟化させ当面の摩擦状態は改善されるはずだ、という前提に立っていた。

だが、この前提は間違っていた。日本が謝罪した後の韓国側の態度や日韓関係の実際の展開をみれば、その結果は明白である。

米国オークランド大学の日本研究学者、ジェーン・ヤマザキ教授は、日本の韓国に対する謝罪外交は外交としては完全な失敗であり無意味だったと総括している(なお、同教授は日系米人男性と結婚した女性で、非日系である)。

ヤマザキ教授は自著で、1965年の日韓国交正常化以降の日本の国家レベルでの謝罪の数々を列記し、「主権国家がこれほどまでに過去の自国の行動を悪事だとして他国に謝ることは国際的にも珍しい。

だが、その謝罪によって韓国側の対日姿勢が改善することはなかった」と指摘していた。

ヤマザキ教授は「謝罪が効果をあげるには、受け手側にそれを受け入れる構えがなければならない。

しかし韓国側には、日本の謝罪により自国の言動を変えるという態度はまったくうかがわれない」とも述べる。

他の米国人政治学者、ロバート・ケリー教授やジョージタウン大学のビクター・チャ教授も、日本側の謝罪は日韓摩擦を解消しないという趣旨の見解を明らかにしている。

最近は日本側でも国民レベルで「韓国側への謝罪は不毛だ」とする認識が広まってきたようである。

虚偽プロパガンダを受け入れる日本メディア

ただし、日本の主要メディアの慰安婦問題報道を見ていると、韓国側の要求に応じれば事態は改善されるという認識も今なお感じさせられる。

例えば、朝日新聞やNHKをはじめほとんどの大手メディアが、

ソウルの日本大使館前などに不当に設置された慰安婦の像を「慰安婦像」とは呼ばずに、韓国側の喧伝する「少女像」という呼称に従っている。

この像は、製作者側も明確にしているように、まだ幼さを感じさせる年齢の慰安婦そのものを模したブロンズ像である。

韓国側は政治宣伝のレトリックとして「平和の少女像」などと呼ぶ。だが、実態はあくまで慰安婦像なのだ。それを少女像と呼ぶのは、上野の山に建つ西郷隆盛像を「男性像」と呼ぶような錯誤である。

そもそも慰安婦問題に関して、日本は韓国側から不当な虚偽の非難を受けてきた。

韓国側が言う「日本軍による朝鮮女性の集団強制連行」「女子挺身隊も慰安婦」「20万人の性的奴隷」などは、事実とは異なる糾弾である。

そうした韓国側の虚偽のプロパガンダを、日本側のメディアはそのまま受け入れる。

その態度には、不毛な謝罪外交の心理がにじむ。韓国側への理解を示せば、事態は改善するという思いこみのようにも映る。

韓国の反日がいつまでも続くのは、韓国側がその代償をまったく払わなくて済むからだという指摘が、米国の専門家たちから頻繁になされている。

つまり、どんなに日本を叩いても日本からの反撃はなく被害を受けることはない。だからいつまでも反日の言動を繰り返す、というわけだ。

そんな悪循環を断つためにも、理不尽な日本糾弾には、そろそろ日本側も対抗措置をとるべきだろう。

国益を守るために戦略的な強固さで韓国の「反日」に立ち向かうべき時代がついに来たということだ。

アメリカが「世界最強の資源国」になる日

2017-07-03 17:10:44 | 日記
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2017年06月28日(水) 加谷 珪一

アメリカが「世界最強の資源国」になる日

シェールガスが国際政治を変える


これまで世界最大のエネルギー消費国だった米国が、資源大国に変わろうとしている。

従来、主要先進国は基本的に資源を消費する一方であり、資源国がこれを支えるという図式だった。

こうした持ちつ持たれつの関係が国家間における適切なパワーバランスを形作ってきたとも言える。

ところが主要先進国の中で唯一、米国だけが資源国としてのパワーも持ち始めた。これは極めて大きな地政学的変化を国際社会にもたらすことになるだろう。

「資源国家アメリカ」の衝撃

米中両国は5月、貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」について公表した。

これは4月の米中首脳会談における合意に基づき、米中間の貿易不均衡是正措置として両国が協議を重ねてきたものである。

アメリカ・ファーストを掲げ、貿易戦争も辞さないというトランプ政権の強硬姿勢に対して、中国側はかなりの譲歩を余儀なくされたといわれる。

100日計画の中には、中国による米国産牛肉の輸入や金融分野における規制緩和などが盛り込まれたが、地政学的にもっとも重要なのは、やはり米国による液化天然ガス(LNG)の輸出拡大だろう。

米国は以前から天然ガス資源に恵まれた国だったが、国益上の理由から輸出については厳しく制限を加えてきた。

根拠法となっている天然ガス法は1938年に制定されたものなので、規制は80年近く続いてきたことになる。

同法によると、天然ガスの輸出入についてはエネルギー省の許可が必要となっており、その是非については「公共の利益」という観点で判断される。

実は、今回の中国への輸出拡大に先立ち、日本への輸出についても規制緩和が進められてきた。

2013年にはエネルギー省が日本に対する輸出を許可しており、今年の年初には、初の米国産LNGが日本に到着している。

今回、中国との合意内容に天然ガスの輸出が正式に盛り込まれたということは、米国は今後、天然ガスの輸出をさらに本格化させていくことを意味している。

実は米国は石油についても同じような規制を設けている。

米国は1975年に制定されたエネルギー政策・保存法によって、国家利益に合致しない原油の輸出を禁止してきた。

だが天然ガスと同様、原油についても輸出を解禁する動きが進んでおり、2015年以降は原油の輸出も可能となっている。

近い将来「全エネルギー自給」が可能に

米国のエネルギー政策が大きく変わったのは、ここ10年の間にシェールガス/シェールオイルの開発が急激に進んだからである。

シェールガスは頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩の地層から採取される天然ガスである。

頁岩層にガスが存在することは以前から確認されていたが、低コストで採掘する技術がなく、ほとんど顧みられることはなかった。

ところが1990年代の後半に水圧破砕法という新しい技術が開発され、比較的低コストで天然ガスの採掘を行うメドが付いたことから一気に開発が進んだ。

シェールオイルも、シェールガスと同様、頁岩層から採取することが可能だ。

頁岩層は米国内に広く分布していることから全米各地で採掘が進み、天然ガスおよび原油の生産量は急増。

2012年には世界トップの生産量だったロシアを追い抜き、世界最大の天然ガス生産国となった。

さらに2014年にはサウジアラビアを抜き原油の分野でも米国は世界最大の生産国となっている(日量ベース)。

これまで米国は、基本的に自国で産出したエネルギーを自ら消費し、足りない分については輸入していたが、米国は近い将来、すべてのエネルギーを自給できる見通しとなっている。

エネルギーがダブつくことはほぼ確実であり、米国にとっては余剰エネルギーを輸出に回したほうがむしろ国益にかなう状況となってきた。

日本や中国に対する輸出を相次いで許可していることにはこうした背景がある。

パワーバランスが変わる

米国はエネルギーの消費国から資源国に変わりつつあるわけだが、これは地政学的な状況を一変させる可能性が高い。

米国がエネルギーを自給できるようになると、理論上、サウジアラビアなど中東の産油国に依存する必要がなくなる。

米国が「世界の警察官」として振る舞ってきた理由の一つは、石油の安定確保のためだが、こうした制約がなくなった以上、過剰に中東情勢にコミットする必然性は薄くなった。

中東各国はこうした地政学的変化に極めて敏感である。特に、米国を後ろ盾に中東の盟主として振る舞ってきたサウジアラビアの危機感は大きい。


サウジアラビアを訪問したトランプ大統領

トランプ大統領は、就任早々サウジアラビアを訪問し、友好関係をアピールしたが、その後、サウジが取った行動はカタールとの断交であった。

サウジがここまで強硬姿勢に出た理由は、トランプ大統領からの支持を得た安心感というよりも、米国の後ろ盾はいつなくなるか分からないという不安要因のほうが大きいと思われる。


一方、米国はエネルギーの安全保障を考慮することなく、フリーハンドで経済政策や外交政策を立案できるようになった。

トランプ氏が掲げるアメリカ・ファーストは、決して、机上のスローガンではなく、現実的に選択可能な政策といえる(国際社会における米国の評価とは別に)。

トランプ政権は、地球温暖化の国際的枠組みであるパリ協定からの離脱を宣言したが、こうした決断も簡単にできてしまうのが現在の米国である。

一部の国にとっては、米国の変容は脅威かもしれないが、日本にとってはそれほど悪い話ではない。

実際、これまで不可能だった米国産の安価な天然ガスを輸入することが可能となった。

これまで日本にとっては、中東一極からエネルギー調達の多様化を進めようと思ってもロシアくらいしか選択肢はなく、政治的リスクが大きかった。

米国が積極的に安価なエネルギーを輸出してくれれば、日本はもっと機動的に動くことが可能となる。

カタールとサウジの断交も、カタールとの天然ガス取引を見直す絶好のチャンスとなるかもしれない。

UAE原発で違約金の危機 韓国電力、揺らぐ信頼性

2017-07-03 16:14:03 | 日記
UAE原発で違約金の危機 韓国電力、揺らぐ信頼性

2015/7/16付日本経済新聞 朝刊

 韓国電力がアラブ首長国連邦(UAE)で進めている原発建設事業で違約金の支払いを求められる可能性が高まってきた。

現地での稼働に先だち、韓国で2015年9月までに同型炉の運転を始めることで安全性を証明する約束だったが、いまだに韓国政府の許可が下りないためだ。

韓国初の原発輸出という重要案件にケチがつきかねない状況に陥っている。

韓国電力などが進めるUAEの原発建設現場

「2号機の原子炉設置を成功裏に終えました」。

韓国電力は6月19日にUAE原発建設事業が順調に進んでいると発表した。

09年に受注した同事業はUAEアブダビ首長国に出力140万キロワットの原発4基を建設するという大型案件。

1号機は17年5月の完成を目指す。

だが、韓国電力には素直に喜べない事情がある。

3月26日に新古里原発3号機(蔚山市)の新規運営許可を審議した原子力安全委員会の結論が「次回再審議」だったからだ。

同原発は「APR1400」と呼ぶ韓国の独自モデル。UAE原発と同じタイプだ。

試験運転期間などを考えると、約束どおり9月に稼働するにはこの日が許可を受ける最後のチャンスだった。

同委の4月の会議も結論は持ち越し。

「次回日程は決まっていない」と関係者は明かす。韓電が期限を守るのは絶望的だ。

遅れた場合、工事代金の0.25%を違約金として毎月UAEに支払うことになる。

月に2億5千万~5億ウォン(約2800万~5500万円)程度になると韓国メディアは報じている。

問題は金額ではない。稼働の遅れの理由が単なる工期遅れによるものではなく、信頼性に関わることだからだ。

新古里3号機は11年に完成して運転許可を申請したが、その後に相次いで問題が発覚した。


13年には冷却装置を作動させるのに使う制御ケーブルの品質試験成績書を民間検査会社が偽造していたことが発覚。

新古里3号機にもこの部品が使われていたため交換を余儀なくされた。

14年末には窒素ガスが漏れ出し作業員3人が死亡した。15年には原発部品のリコールもあった。

UAE原発は日立製作所・米GE連合なども受注を目指したが、韓国勢が競り勝った。

官民一体となって原発産業の育成を目指す韓国の記念すべき輸出第1号案件だ。

ただ、自らも使ったことがない新型炉を輸出するのは「背伸びが過ぎる」という指摘は当時から出ていた。

韓国はそのツケをどういう形で払うことになるのだろうか。
(K)

米韓首脳会議は儀礼的な顔合わせ程度の意味

2017-07-02 11:01:44 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。



2017-07-02 05:00:00

韓国、「左翼小児病」文政権は原理主義外交で日米と溝深める

米韓首脳会議は儀礼的な顔合わせ程度の意味

韓国の文在寅大統領の言動や組閣の過程を見ていると、極めて原理主義的な側面が強い。

経済政策は分配重視、外交政策が民族主義=南北統一論重視だ。

これらの経済・外交の政策目標は終局的に正しいが、それを実現する過程こそ重要である。

まさに、その過程が政治と言える。文氏は、それを一直線に実現しようとしている。政策目標の実現を、余りにも単純に捉えているのだ。

こうした、文氏の政治手法を見ていて思い出したのは、「左翼小児病」という言葉である。

今では死語になっている。柔軟性に欠ける古いタイプの革新派政治家が、昔の政治理念にすがって突進する。文大統領の政治姿勢は、どう見ても「左翼小児病」を彷彿とさせるのだ。

「左翼小児病」の本来の意味は、労働運動や革命運動で極端な公式論に基づいて過激な言動をなす偏向を指すもの。

文政権は、周囲の状況変化を顧みず、経済政策では分配重視、外交政策は民族主義=南北統一論を前面に出しているからだ。こうした大目標を実現するには、野党を巻き込んで賛同させる政治的な力量が必要である。

『中央日報』(6月22日付)は、コラム「盧武鉉元大統領、『米国が一番重要な国で合っていますよね』」を掲載した。筆者は、同紙のイ・チョルホ/論説主幹である。

現在の文政権は、民族派で固められ「反米・親中朝」の傾向が強い。

このコラムは、かつての盧武鉉政と同様な文大統領の傾向に焦点を合わせている。

私は、文在寅大統領が盧武鉉氏の懐刀であった事情を考えれば、文政権が一層、「反米・親中朝」の動きを見せると予想する。

盧武鉉政権時では「86世代」はまだ40代であり、前衛部隊の位置にあった。

あれから10年経った。「86世代」は今や50代で,人生の働き盛りである。怖い物なしであろう。文政権が、「86世代」に引っ張られて一段と,左翼小児病的な傾向を見せることを危惧する。

(1)「マケイン米国上院議員の訪韓取り消しをめぐり、雑音が絶えない。

マケインは5月19日、米特使に会って5月27~28日の訪韓計画と文大統領の面談を希望した。

このメッセージは24日午後、青瓦台の日米中特使報告の時に大統領に伝えられた。

マケイン側は繰り返し面談の確認を求めたが結局、韓国だけを外してオーストラリアーベトナムーシンガポールを訪問したためだ。

青瓦台(注:大統領府)は、『米国の政治家であれば誰だろうと会わなければならないのか』として悔しげな表情だ。だが、マケイン氏は違う。青瓦台は招いてでも会わなければならない親韓派の大物だ」

米上院議員のマケイン氏は、共和党の重鎮であり軍事委員長の要職にある。

そのマケイン氏が文大統領との面会を求めて再三連絡してきた。

だが、大統領府からの返事が行き違い、マケイン氏の激怒を買って訪韓は中止となった。

韓国としては、大変な親韓派議員を怒らせてしまった訳で、外交的には一大汚点である。6月29~30日の米韓首脳会談に当たりプラスにならなかったことは言うまでもない。

大統領府が、マケイン氏と聞いて俊敏に動かなかった裏には、中国への配慮があったと見られている。

マケイン氏は、強力な反中派である。中国への配慮でマケイン氏へ冷淡な態度を取ったのでないかともささやかれている。民族派は親中朝である。あり得ない話でない。

(2)「振り返ってみると、その辺りの5月末から青瓦台の雰囲気が突然硬直する不吉な兆しが現れた。

文大統領が『THAAD報告の欠落は非常に衝撃的』と述べた後、THAADは忌避対象になった。

雇用首席に内定していた安ヒョン鎬(アン・ヒョンホ)が脱落し、コード人事(政治・理念による人事)の色彩が明確になった。

いま、青瓦台政策室側には『分配論者』が勢力を伸ばし、外交安保側には『自主派』があふれている。

心配になるのは『集団思考』のわなだ。

もしかして今回のマケイン訪韓の不発が、マケインの文大統領面談に率先したものの『親米派』のレッテルを張られるのではないかとおそれて保身を図ったものではないことを願う」


5月末あたりから、大統領府は「反米的」動きを強めている。

文大統領が突然、「THAAD報告の欠落は非常に衝撃的と述べて、THAAD問題に火をつけたのだ。

前政権が決定したTHAAD設置を、大統領選中に否定発言してきたから、それを実行に移したと見られている。

米国に対しては、「THAADは必ず設置する」と言いながら事実上、THAAD1基6包の稼働を1~2年遅らせる動きを始めている。

一方、中国に対するTHAAD問題では、「慎重に検討する」という二枚舌を使っているのでないかと疑われている。最近の中国は、経済制裁に緩和姿勢を見せている。これが、その根拠になっている。


文政権の米中への曖昧戦術は、朝鮮李朝の末期を彷彿とさせる。

当時は、清国、ロシア、日本と3ヶ国に対して「三枚舌外交」を行なっていた。

それぞれの国に対して、適当な甘い期待を持たせる返事をしていたのだ。

李朝は、3ヶ国を外交的に操っている積もりでいたが、それは間違いであった。

逆に、国内の政治的な対立を増幅させ、収拾が付かない状態へ追い込まれたのだ。


文政権は、李朝の二の舞になる危険な外交を始めている。韓国人とは、こういう民族性なのだろう。

天秤にかけて利益を得るという極めて不真面目なところがある。

中国は現在、韓国の手には乗らないと強硬姿勢である。米国も同様だ。

今回の米韓首脳会談では、トランプ氏からその辺で釘を刺されたに相違ない。米国を袖にして中国へ笑顔を見せる。これは、韓国の自殺行為である。THAAD問題が、その象徴である。

文大統領は、この米中に挟まり苦し紛れか、「反日姿勢」を見せる混乱ぶりだ。

文氏は6月20日の米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、慰安婦問題について「(解決するためには)日本政府がその行為について法的責任を受け入れ、公式に謝罪することだ」と発言。

文氏はまた、6月22日のロイター通信のインタビューで「日本は、慰安婦問題を含む韓国との歴史問題を解決するための十分な努力をしていない」と指摘している。

15年12月の日韓慰安婦合意では、「以後、この問題を蒸し返さない」という約束を交わした。

文大統領は、これに違反したのだ。文氏は、目立ちたがり屋のスタンドプレー好みと見られる。自ら、その罠にはまり込み自縄自縛状態に陥った。

(3)「振り返ると盧武鉉は全く違う状況だった。

2002年12月末、盧武鉉大統領当選者は李洪九(イ・ホング)元首相と個別に会った。

彼は議員時代、政党は違ったが李元首相を外交・統一の最高専門家として丁重に扱っていた。

盧当選者はしばらく迷って意見を求めた。『周辺では南北関係が重要だから米国と距離を置くようにと騒いでいます。

それでも私は長く悩んだ末に“今、大韓民国に一番重要な国は米国”という結論を出しました。

私の考えは合っていますか』。

李元首相の表情が明るくなった。『正しい判断です。しっかりした韓米同盟の上に南北関係や韓中関係を模索しなければなりません』」

盧武鉉大統領は、日本から見るとめちゃくちゃな大統領である。

反日大統領として「親日狩り」を行ない、日韓併合時代に日本へ協力した人物の子孫を洗い出し、その財産を没収する「法の不遡及」原則を無視する行動に出た。韓国憲法裁判所はそれを止めなかったのだ。

「法の不遡及」とは、法令は原則として将来に向かって適用されるもの。

過去の出来事には適用されないのが原則である。つまり、法令の効力が現実化するのは、その法令の施行後である。

これは、近代法の原則である。韓国では、この大原則を無視した。

もう一つ、東京裁判もこの例である。

太平洋戦争開戦時に、国際法で戦犯を裁く法律は存在しなかった。

戦後に急遽、米国がつくったものである。米国が、極東国際軍事裁判(東京裁判)について後ろめたいのは、「法の不遡及」に違反しているからだ。当時、この不当性を指摘して裁判の無効を指摘したのは、インド出身のラダ・ビノード・パール判事一人である。

日本にとっては考えられない行動を取った盧武鉉氏だが、外交面では「米国第一」を貫いた。

側近には、民族主義者や親米派がいたが、韓国にとっては対米外交重視を貫いている。

現在の文政権では「反米・親中朝」が大勢を占める。盧武鉉氏以上に、危険なコースを歩もうとしている。

(4)「 盧元大統領は、『反米ならばどうか』と述べたが、イラク派兵、韓米自由貿易協定(FTA)、済州(チェジュ)海軍基地を推進した。

李元首相は『盧元大統領が意外な決定を下した時、私は全く驚かなかった』と述べた。

韓昇洲(ハン・スンジュ)元外交部長官も回顧録で、

『盧元大統領は外交安保を担当する3人〔イ・ジョンソク国家安全保障会議事務次長、ナ・ジョンイル国家安保補佐官、潘基文(パン・ギムン)外交補佐官〕のせいで“頭が痛くてやっていられない”と吐露していた』と証言した。

盧武鉉は両側の専門家たちにつつかれながらもバランスを取っていたのだ。

そのような経験を横で見守っていた文大統領だ。これから盧武鉉の政治・外交的想像力をどの程度継承するのか、今後の文大統領が気になる」

文政権の危険性は、外交政策でバランスを欠く判断をすることだ。

いまさら、「親中朝」とは時代錯誤と思わせるが、「86世代」は学生運動上がりの過激派である。

韓国大統領府は、それが主流を占めている。今後、どのような結論を出すかおおよその見当がつく。対日米の関係は悪化するであろう。


(2017年7月2日)