株式会社の営業部第一営業課第二営業係の、主任「 」さん。 「 」の中はどうでもよくて…。けど、あなたは、本当は誰なんでしょうか。
そんなことを、ふと思ってみたけれど、もらった名刺以上に、あなたのことを知りたいって感じているわけでもないし、俺も、自分の名刺以上に、あなたに俺のことを知ってもらいたいって思ってるわけでもない。
けどね、名刺にある名前よりも、名刺にある会社名や所属で、あなたを知った気になってる俺がいて、ちょっと不思議になったんだ。
結婚式の席次表では、来賓の氏名の横に、「取締役」だとか「頭取」だとかの肩書きが、下手をすれば氏名の文字よりも大きく綴られていたりする。
葬式の弔電では、氏名よりも、「取締役」だとか、「頭取」だとかの肩書きのほうが大きな声で読まれていたりして。
生活していく上では、あなたが、「誰か」よりも、あなたが「どこの」誰かのほうが重要で、誰もが、それを知りたがる。あなたが「誰か」なんてことをを忘れてしまっていても。
名刺に印刷されているいくつもの文字。
氏名以外は、あなたを表さないはずなのに、氏名以外のことだけで、あなたを知った気になっている。