2 流用シーンとならではのシーン
▲「メガロゴジラ ブラックバージョン」(発売中)
■当時の興行的事情
この『ゴジラ対メガロ』は制作の上でも大変であったことを書籍、メイキング等で関係者の方々が語られているものは多々あります。
興行的事情で、ゴジラ映画の予算も前作よりだんだん削られ、スケジュールもタイトになってきた時期であったそうです。
特に特撮パートはその影響が大きかったと言われています。
例を挙げればそれまでのゴジラ映画の流用シーンがいくつもあった事です。
冒頭の爆発する怪獣島でのシーン。ラドンやアンギラスもそのまま使用されています。
ジェットジャガーに呼ばれた後、海にジャンプして飛び込むシーン。
メガロの光線による町を破壊するシーン。光線そのものをキングギドラの光線と色や形を近くする事で破壊されるビル等のシーンはそのまま流用されています。
ガイガンの飛行シーン。
ガイガンがゴジラと戦い、飛んで傷つけるシーン…等。
他にも細かくいくつかあるようです。
今でこそこうしてDVD等で見直したり比べたりできるからこそ言えるのですが、予算や時間のためとはいえ、中野監督や当時のスタッフのご苦労がわかります。
その分、新しさを印象に残すべく数少ない(?)大掛かりで新たに作られたメガロのダム破壊シーンは、名場面の一つと言えるでしょう。
また、最後の4体の対決シーンのスタジオセットの広さも後のゴジラ映画ではほとんど見られない規模。戦い後のゴジラが歩いて去っていく引きの絵ではその広さがよくわかります。
意地悪な気持ちを抜きにしての流用シーンを見つける事や、この作品ならではの特撮シーンを見つける事も楽しみの一つとして見るのも良いではありませんか。