バスを店舗に!徳島でも珍しいバスラーメン
JR徳島線の鴨島駅から歩くと40分ほど。阿波中央橋で吉野川の北岸に渡り、そのまま国道318号を土成インター方面へ進んだ先にある「中華そば 朝日軒 太閤6号」へ。ラーメンの味わいもさることながら、コチラのお店は昭和レトロなバスを改造し店舗にしている事でも知られている。お店は1973年、先代の故・白川重雄氏が創業した。
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重雄氏は、かつて徳島市津田町にあり2018年末に閉店した「太閤」で修業されたそう。現在は孫娘の宍戸沙織氏が跡を継ぎ、母・白川明美氏がそれを手伝い母娘で店を切り盛りしている。ちなみに今のバスは二代目。かつて車関係の仕事をしていた重雄氏が、香川のバス会社・大川バスから自分で運転してココまで連れてきたという。
バスの車内は先頭側が厨房、真ん中がカウンター席、後ろ側が小上がりだ。テレビやクーラー、空気清浄機が置かれるなど、内装は相当に改造されている。一方、座席番号などバスの雰囲気もたっぷり残っている。暖簾をくぐると目の前には「おでん」の什器。こちらはセルフで取って、会計時に串の数を自己申告するスタイルだ。
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1串90円。マストではないのだが、旨そうなのでとりあえず厚揚げを皿に取り座席へ。少し甘めでオイリーな出汁でじっくり煮込まれている。醤油の香りも立ち、味が染みて良い味だ。そして麺メニューだが、こちらは「中華そば」一択で、肉、玉子、肉玉入りから選ぶ事が出来る。今回は「中華そば 肉玉入(650円)」をオーダーした。
獣臭の残るスープは、豚骨をベースに2日間煮込んだという白湯だ。無駄な脂を排除しスッキリとした飲み口に仕上げている。醤油のカエシは強くなく、円みある優しい味わいとなっている。徳島県内のラーメンの中でも、カエシが控えめな部類に入るだろう。そこに合わせる麺は柔らかめに茹で上げられた中細ストレート。
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余談だが徳島のラーメンは、老若男女向けだからか、短く柔らかなものが多い。トッピングの豚バラ肉は甘過ぎず辛過ぎず。生玉子は黄身の弾力が強く旨い。ほか、茹でモヤシ、メンマ、刻みネギがトッピングされる。祖父から引き継いだバスラーメンの味。これは徳島の現役文化遺産だ。是非、引き継いでいって欲しい。
<店舗データ>
【店名】 中華そば 朝日軒 太閤6号
【住所】 徳島県阿波市吉野町柿原字原41-3
【最寄】 JR徳島線「鴨島駅」徒歩35分(3.0km)