今回購入した赤外線眼振検査装置を使うに当たって、ひとつ問題が生じました。
耳鼻咽喉科は穴の中を見る科なので、内視鏡を多用します。通常の内視鏡は、光源の光が光ファイバーで先端まで届けられ、対象物から反射した光が先端のレンズで集められて光ファイバーで元の方(アイピース)に送られ、アイピースに接続したカメラで撮影して、テレビモニターで観察します。撮影した内視鏡検査の画像は、すべて画像ファイリングシステムと呼ばれるコンピュータが、保存し、患者さんごとに時系列に整理してくれます。
たとえば私は、とくに小児では、耳の症状があってもなくても、全員毎回、鼓膜鏡を用いて、鼓膜写真を撮影記録しています。毎回撮影記録整理することによって、小さな変化も容易に分かるし、病気を早期に発見することもありますし、お母さんにも病気の説明がしやすくなります。
また、喉頭を見るためには、喉頭ファイバースコープが必須です。現在は、いわゆる電スコ、電子スコープをメインに使っています。電スコでは、カメラが内視鏡の先端についているので、通常の内視鏡に比べて、ロスなく、より明るく精密な画像を見ることができるのです。欠点は、現在のところ、あまり細いものが作れないこと。そこで、電スコよりやや細い内視鏡や、新生児にも使える細径の内視鏡も、用意しています。それから、電スコは価格がかなり高い。誰かがベンツが買えると言っていました。
レーザー手術、内視鏡下鼻内副鼻腔手術などに用いるのは硬性鏡と呼ばれるものです。通常のファイバースコープと違って、光ファイバーが金属の筒の中に入れられており、曲がりません。正面を見るための直視鏡、斜めを見るための斜視鏡があります。右手で手術を行い、左手で硬性鏡を保持するのですが、このときは硬い方が持ちやすいのです。曲げるための仕組みが必要ないので、同じ太さでもたくさんの光ファイバーを入れられますから、明るい画像が得られるのも長所です。
今までは、通常の内視鏡用のビデオカメラシステムと電スコ用のシステムの、2系統の画像を、セレクタ-で切り替えられるようにして、S端子を通して画像ファイリングシステムに送っていました。赤外線眼振検査の画像も同じようにしたいと考えていました。
ところが今回の赤外線眼振検査装置の出力は、コンポジット(NTSC)だけで、S端子がなかったのです。セレクタ-はS端子でもコンポジットでも使えるのですが、混ぜることはできません。全系統をコンポジットかSかどちらかに統一しなければならないのです。使っているモニターの入力は2系統、ひとつはどちらでも使え、ひとつはコンポジットだけです。切り替えがあまり複雑だとスタッフも困ります。
いろいろ考えて、上のようなレクター2台とS-コンポジット変換コネクタを買って、システムを組むことにしました。いずれもAmazonで安く手に入ります。今日注文して2-3日のうちに届くと思います。果たしてうまくいくかどうか。