あごう ひろゆきの「集志貫徹」 ブログ

生まれ育った「大田市」をこよなく愛し、責任世代の一人として、先頭に立ちがんばっています。皆様との意見交換の場です。

「集志貫徹」

やっぱりおおだ!

空き家の適正管理 その3

2012年04月17日 23時04分19秒 | 想・有・独・言

引き続き、空き家の適正管理についてアップいたします。

行政代執行について述べて参りましたが、問題になるのがこの執行に費やされた費用を

誰が負担するのかということになると思います。

全国各地自治体の条文には「その費用を当該違反者から徴収することができる。」としています。


私もこれまで廃屋同然になっている空き家について、建物を撤去して頂く様に行政を通じて

相談をしていただきましたが、ほとんどの場合が費用が捻出できないということでした。

そもそも費用があれば、簡単に撤去でき問題にならない場合が多いという実態がありながら、

代執行をした場合の費用が請求できるのかという問題については疑問を感じてしまいます。


そこで、うまい工夫は無いものか事例を調べてみました。

富山県滑川市では「危険老朽空き家対策事業」を立ち上げられ、市街地において長年にわたって使用されず、

適正に管理されていない危険老朽空き家のうち、所有者から市にその建物及び土地の寄附がされたものについて、

建物を除却する費用を行政が負担することにしています。

また、寄附を受けて空き家を除却したときは、除却後の土地利用に関し、地域の居住環境の向上を図るために

地域住民と協力して、必要な活用及び維持管理を行うと定めています。


平成20年度から始められたこの事業は、当初3年間の期限付き事業でしたが、この程さらに3年間延長して

継続事業となりました。

滑川市では毎年約400万円(想定:毎年1戸)程の予算を計上しています。

また同様な事例は長崎市(予算規模:約4,400万円、長崎市の歳入は大田市の10倍規模)でも行われています。

 

大田市の執行部は条例制定を視野に入れながら検討するという一般質問の答弁もありましたが、

まずは大田市全域について空き家の調査をし、老朽化した危険家屋について実態を把握しておく必要があります。

これらの事例を鑑みながら、大田市に於いては特に中心市街地の主要な市道隣接地、二つの伝建地区において

早急に対処すべきだと思います。


空き家の適正管理 その2

2012年04月16日 22時12分43秒 | 想・有・独・言

前回に続き、空き家の適正管理等の条例について書きたいと思います。


松江市は「松江市空き家を生かした魅力あるまちづくり及びまちなか居住促進の推進に関する条例」

(通称:空き家管理条例)を平成23年9月30日に制定しました。

他の自治体の空き家管理条例と異なるのは、目的に「まちなか居住促進を推進する」と掲げている点です。


このことは、「市内に適正に管理されない空き家が増えることにより、防犯上、景観上又は環境上多くの

社会的問題が生じ、まちの活気が失われることを認識し、空き家の適正な管理又は有効な活用促進を図り、

誰もが住みたくなり、又は訪れたくなる魅力あるまちづくりを推進しなければならない」と基本理念に

謳われています。


また、「市長は、特に住宅が密集し、狭あいな道路が多いため適正に管理されていない空き家が周辺の

環境を乱し、又は近隣の住民に迷惑を及ぼしているまちなかにおいて、重点的に空き家の適正管理及び

有効活用を推進し、まちなかの居住促進に努めるものとする。」

「まちなかの空き家の所有者等は、当該空き家を、第三者への賃貸又は店舗、地域交流拠点若しくは

体験施設等としての整備等により積極的に有効活用するよう努めるものとする。」と条文にも

盛り込まれています。


大田市においても、中心市街地の活性化の観点からまちなか居住の促進を、また、世界遺産内にある

重要伝統的建造物群保存地区を二つも抱え、景観の保全という意味においても、少し工夫をした条例制定が

必要だと感じています。

 

さて、松江市ではこの条例の措置命令に従わない場合は行政代執行並びに5万円以下の過料を課すことを

定めています。

ここで問題になるのが、個人の権利をどう扱うかということになります。


これについて、条例を検討している神奈川県横須賀市ではパブリックコメントを求めた条例の解説の中で

「この理由は、法律上認められた個人の権利を制限する不利益処分について、行政が、その権限を行使すること

に対して、不利益処分側からの訴えに、司法判断が下された場合、その判断に充分な対抗要件を用意できていない

のではないかという恐れから(裁判で負けるのではないか)、その執行に躊躇する傾向がみられます。

しかし、これらの法律が作られたころの社会環境においては、街中の住宅(不動産価値の高い建築物)を

放置して廃屋となるまで放置することは考えられませんでしたが、現在では相続等を原因として、

その管理に見向きもせず、近隣のことなど関知しない個人が存在するなど、全く様相が異なってきています。

このような社会情勢において、個人の権利と、その管理不全の空き家等の周囲で生活している多くの市民が

毎日不安を抱えながら暮らすことの不利益のバランスを解消することは、行政に課せられた責任であると考えます。

従って、以前から法律で規定されています、行政代執行までの行政手続きを粛々と実行するという、

行政側の強い意志を表すために、本条例に載せるものです。」と説明しています。


この行政代執行については次回もアップしたいと思います。


空き家の適正管理 その1

2012年04月15日 11時32分41秒 | 想・有・独・言

4月8日付け朝日新聞が朝刊一面に「空き家急増、対策条例31自治体制定、強制撤去も」という見出しで

空き家の所有者に適正な管理を求める「空き家対策条例」を16都道府県の31自治体が制定していると

報じていました。


総務省によると、全国の空き家は2008年で757万戸にのぼり、10年間で180万戸増加。

過疎地だけでなく、住民の高齢化が進む都市部でも目立ち、崩壊や放火などの問題が各地で起きており、

条例化の動きが加速している。という内容のものです。


大田市でもこの件は問題になっており、私も平成22年6月定例会には「所有者不在の空き家の撤去について」

また、平成24年の3月定例会では「さんのあの自己破産に伴う建物の適正管理について」の一般質問をさせて頂きました。

また、平成23年12月定例会において、月森和弘議員から「大田市の空き家対策について」の一般質問があり

条例を制定した松江市の具体例を示し、条例、要綱などを検討してはいかがという提案もなされました。


この記事が掲載されて以来、私なりに条例を制定した31自治体について詳細を調べてみました。

まず、条例が制定された自治体は新聞報道によると16都道府県31自治体となっていましたが、

私が調査したところ17都道府県の32自治体となっています。その自治体は以下の通りです。


北海道・滝川市、秋田市・大仙市、横手市、湯沢市、八峰町、美郷町、東成瀬村、山形県・酒田市、舟形町

茨城県・牛久市、千葉県・柏市、流山市、松戸市、東京都・足立区、埼玉県・所沢市、ふじみ野市、川島町

三重県・名張市、和歌山県、大阪府・貝塚市、兵庫県・三木市、島根県・松江市、山口県・萩市、防府市

高知県・香南市、南国市、福岡県・豊前市、宗像市、糸島市、朝倉市、大分県・国東市、鹿児島県・鹿屋市


ほとんどの自治体で「空き家等の適正管理に関する条例」という名称で、空き家の所有者に対して

管理責任の明確化を謳い、生活環境の保全及び住民の安全安心なまちづくりの推進を目的としています。

これに基づき自治体の長は、指導及び助言、勧告、措置命令ができることになります。

また、これに従わない場合は、ほとんどの自治体で違反者の氏名等の公表ができ、

更に、行政代執行を定めている自治体が少なくとも11自治体、5万円以下の罰金と罰則規定を定めている

自治体は少なくとも2自治体に及んでいます。

注目は千葉県・柏市、大阪府・貝塚市は議員提案により条例が制定され、現在検討中の神奈川県・横須賀市、

東京都東大和市も議員提案により進められています。(但し、東大和市は議会により条例案は否決)


全国各地で条例化に向って検討されている空き家の適正管理を促すこの条例。

条例制定の目的が少し異なるのが松江市です。

次回は松江市の条例について触れたいと思います。


とんだ(飛んだ)誕生日

2012年04月13日 20時55分50秒 | 想・有・独・言

 

51歳の誕生日を迎えることとなりました。

自分的にはたいへんめでたい日の朝からミサイル発射騒ぎとは。

午前8時ごろ韓国国防省が会見を開き、午前7時39分に北朝鮮が長距離ミサイ

ルを発射したことを確認したと公表したということであったが、

わが国の政府は「発射を確認していません」。

あれだけ入念に試験放送を行っていた「J-ALERT」も、全くの出番なし。

島根県に正式に情報がもたらされたのが、57分後、鳥取県も最初の情報はテレビから

という始末。

結果が結果だけに、本当に飛来した時がどうだったのか不信の念がつのる一方でした。

奇しくも私が生まれた前日の1961年4月12日に、ソビエトでは、ガガーリン少佐が乗

った人類初の有人宇宙船「ヴォストーク1号」が打ち上げられ、私の生まれた日の

朝刊はその話題一辺倒だったそうです。

やはり、人工衛星を載せたロケットは平和的に利用してもらわないといけませんね。

とんだ誕生日でした。


平成24年度一般会計当初予算を読む その4

2012年04月12日 11時27分17秒 | 想・有・独・言

シリーズでお届けしています「平成24年度当初予算を読む」のまとめをしたいと思います。


当初予算は対前年比27億9千万円、率にして13%増の242億8千万円と合併後最大の

積極型予算編成となったと、すでにお知らせしました。

ここで私が重要に思うのは、プライマリーバランスがマイナスに転じたということです。


※プライマリーバランスとは:基礎的財政収支。過去の債務に関わる元利払い以外の支出と、

公債発行などを除いた収入との収支のこと。簡単に表すなら債務を支払う額と公債を発行する収支。

元来は政府会計において使用されるごくではあるが、あえてここでは説明の為に一般会計に当てはめさせていただく。


市債(臨時財政対策債を除く)の発行額約41億4400万円に対して返済額は38億8000万円。

単年度でのマイナス額は約2億6400万円。

この財政運営について市長は記者からの質問に答える形で次のように述べていらっしゃいます。

「厳しい財政状況であっても課題解決を進める必要がある。

 当市の施策の基本は総合計画であり、これは中長期的な視点で計画を立て中長期的な財政見通しを

 もって計画したもの。現在のところ過疎債、合併特例債の起債が平成27年度で終了することになっている。

 これも勘案する中で優先的に行う事業を積み上げた結果が24年度予算であり、

 常に経済対策、景気対策は考えているが、投資的経費が前年度よりほぼ倍増できたことで、

 地域の景気対策にもつながるのではないかと期待する。」


確かに「大田市過疎地域自立促進計画」も鑑みて、中期財政見通しを勘案しながら、

いま即座に進めていかねばならない大規模な投資をすることは大切なことであります。

特に東北大震災を受けての市民の安全・安心の確保に向けた事業は優先的事項だと思います。


昨年示された「中長期財政見通し」での24年度地方債の借入額は50億2000万円、償還額は33億6000万円。

実際の当初予算では借入金58億1400万円、償還額34億3300万円(普通会計ベース)

基金残高の予定額が70億3000万円だったのに対し、当初予算では69億3600万円と

極めて多くの市債発行と基金取り崩しからの財源がなされていると考えられます。


中長期財政見通しでは来年度もこのプライマリーバランスはマイナスになるとしています。

その後はプラスに転じ、一時期は増加する市債の残高も減少で推移するようです。

しかし、基金残高は減少の一途をたどり、枯渇する恐れも示唆しています。


ほんとうに必要なものを必要な時期につくること、行うことは当然の事と思いますが、

必要な目的だけに限らず、要望に応じて広く利活用することも考えて欲しいと思います。

学校体育館の改築等は生涯スポーツの場となるように、市民会館の改修については

優れた芸術・文化の鑑賞の場としての更なる提供と、核となった芸術・文化の振興を、

消防署については、県の中核施設となるような整備などなど。


プライマリーバランスがマイナスになったことを胸をはって説明できるようにお願いしたいものです。

そういう意味では、市長へのインタビューの最後の部分は「期待する」ではなく、

そうなるよう「努力する」と言って欲しかったと思います。