私がTPP参加に賛成する主な理由はGDPの拡大にあります。
GDPとは国内総生産のことで、ある一定期間に,国内で生産されたすべての物・サービスの付加価値(=儲け)の総額(=すべて)です。
(教科書的で申し訳ありません。)
なぜ、GDPを増やすことが重要かというと、GDP=儲けのすべて=「我々の所得の総額」だからです。
「GDPが増えない(成長率0%)」ということは,「日本人の所得が,全体では増えない」
つまり、「GDPあるいは,1人あたりGDPが減る」ということは,「我々の給料」が減るということです。
日本は貿易大国で輸出の規模大きく、貿易収支で大きく黒字を出し、GDPに寄与していると思われています。
2010年の全世界に対する輸出入額は、輸出:67兆4000億円、輸入:60兆7600億円で収支は6兆6300億円の黒字です。
確かに貿易収支は中国についで全世界で2番目です。
(数字は「貿易統計」(財務省)、「外国為替相場」(日本銀行)等よりジェトロ作成)
日本のGDPは約539兆8800億円。貿易黒字はGDPの1.2%に過ぎません。
したがって、98.8%が国内の生産(=内需)によってです。
この内需の拡大によって経済成長が進み、GDPが増えていけば言うことはありません。
では、これから、10年・20年も内需が拡大する可能性があるのでしょうか。
GDPは次の3つの要素で構成されます。
①労働量(何人の人が何時間働いているか)
②資本ストック(どのくらいの機械や工場が動いているか)
③技術力(労働と資本を,どのくらい効率的に活用しているか)
GDPは,①労働力,②資本ストック,③技術力をかけあわせたものです。
GDPの要素による今後の推移を予測してみましょう。
まず①の労働力です。
日本の人口は10年間で482万人、20年間で774万人が減少すると予想されています。
(国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」より。以下同)
15~64歳の生産年齢人口は、10年間で787万人減り、逆に65歳以上の老年人口は636万人も増えることになります。
生産年齢人口が全人口に占める割合も10年後には59.9%となり、今より3.9ポイントも減少が予想されています。
したがって、労働力の減少は明らかです。
GDPの総量が減少しても、人口減少が進むので、一人当りのGDPは変わらないと予想が出来るのでしょうか。
生産年齢人口の減少によりGDPの減少は急激に落ちる可能性があり、一人当りのGDPも減少すると考えます。
次に②の資本ストックです。
この予想は非常に難しいです。労働力の減少を補う為、機械化を勧めればストックは増えますが、
労働力減少の為、工場数や稼動時間等が減少する可能性があります。
近年では資本ストックは減少傾向ですが、予想が難しいので変化無しと仮定しましょう。
最後に③技術力(=生産性)ですが、
現在の国内市場は飽和状態です。
相当な付加価値商品しか売れる要素はありません。
テレビにたとえると、今あるテレビを買い換える要素としてより良い映像を見たい、とか、より大きく映像が見たい
というだけでは買い替え需要は発生しにくい状況です。
需要を喚起するには今までに無いもの(3D映像等)とかより便利で使いやすいもの(テレビでインターネットが利用できる等)
の新たな技術力が求められます。
しかし、その予測は未知数です。ここでも過程として、将来も変わらないと予想してみます。
(仮にあっと驚くような技術革新により売れる要素の新製品が現れたとしても、人口減、世帯減により、また飽和状態に近くなると
思います。)
以上のことから
GDP=労働力×資本ストック×技術力(生産性)=減少×1(現状)×1(現状)
=減少
となり、将来的には国内市場だけの計算ではGDPは減少傾向となることが予想されます。
では、GDPを増やすには?
答えは「外需(輸出等)」に期待する、ということになります。