市立病院がたいへんなことになっているのは皆様もうご存知のことと思います。
広島大学医学部から派遣の外科医2人と島根大学医学部から派遣の整形外科医4人が3月末でそれぞれの大学病院に引き揚げ、後任の派遣がないことで体制が整うまでは救急告示病院の指定を取り下げるという事態になっています。
私の母は前身の国立病院時代に30年の長きにわたり看護師として働いていました。
私も幼い時には医師の皆様や同僚の看護師の皆様に可愛がられて育ち、第2のマイホーム的な感覚でいましたのでたいへん残念でなりません。
昨年の8月の定例記者会見で市長は外科医が不在になる可能性を言及され、12月には「地域医療シンポジウム」が開催され、その時すでに外科医2人の引き上げが発表されており、行政はまたもや後手にまわった訳です。
もし仮にこのとき整形外科医4人も引き揚げることが解っていたとすれば由々しきことです。
今後は交通事故などの外傷患者や驚くことに虫垂炎(旧来で言う盲腸炎)すら緊急であれば出雲市や江津市の病院に搬送されることになります。
市は救急車の増車も考えているようです。
出雲市に救急車での搬送と聞くと、考えてしまうのは昨年12月に仙山で起こった国道9号線の全面通行止めです。
交通事故により立て続けに2回も起こってしまいました。
こういう事態を回避するにはヘリコプター救急、いわゆるドクターヘリに頼らざるを得ません。
島根県の場合は県所有の防災ヘリコプターで搬送を行なっています。
斐川町の県営出雲空港内にある防災航空管理所に待機しており、要請があれば医師を乗せて現場に駆けつけることになっています。
平成20年度には救急活動を84件こなし、そのほとんどが隠岐から本土への救急患者搬送でした。
もし仮に大田市で救急搬送の要請をすると、病院までどのくらいの時間を要するのでしょうか。
お隣の江津市で平成20年に起こった事例が資料としてありましたのでご紹介します。
要請から18分後に離陸し、県立中央病院で医師を乗せ、江津市渡津町の江の川河川敷で患者を乗せて県立中央病院のヘリポートで降ろし、空港に戻って着陸するまでの飛行時間が51分というデータですので、おそらく大田市のヘリポートから病院までは40~50分程度が実質にヘリで搬送される時間になるでしょうか。
大田市でヘリが着陸できる場所は4ヶ所。大田市自転車競技場(久手町)、三瓶西の原へリポート(三瓶町)、仁摩健康公園(仁摩町)、温泉津町総合グランド(温泉津町)です。
そこまでは救急車の搬送ですから、実質的には約1時間の時間を要することになり、ヘリを使用しての救急搬送は思った以上に時間がかかるのかもしれません。
真のヘリコプター救急を目指すには今のシステムでは限界があります。
そこで島根県も2011年度のドクターヘリの導入を目指して、関係機関でつくる導入・活用検討会を設置し、県立中央病院を当面の基地病院とすることで合意したようです。
ドクターヘリの基地病院には、要請時に直ちに医師が搭乗できること、また、医療スタッフの十分な体制などが求められます。
その点、県立中央病院には屋上へリポートがあり、救急医師も8人いるということで合意に至ったようです。
さらに今後は、島根大医学部付属病院にも要請し、2病院連携体制を整えるとの意向です。
しかし、良いこと尽くめではなさそうです。
まずは財政的な負担です。1機当たり年間1億7,000万円の維持費が掛かると言われています。
国と県で半分ずつ負担すると見ても大きな費用がかかります。
次に、悪天候でヘリが飛べなくなる状況、また夜間飛行の安全性をどう確保するか、という問題があります。
真夜中に国道9号線は全面通行止め、おまけに台風直撃でヘリが飛ばない、こういう状況は当然起こりうる事として問題を解決しなくてはなりません。
年間1億7,000万円の維持費がなぜ掛かるのかはこれからの検討課題としても、県の防災ヘリコプター運営維持が、総額で平成20年度は約2億1千7百万掛かっています。(20年度実績)
その負担は各市町村に義務費として応分に振り分けられています。
大田市の資料が見当たりませんので応分の負担額は言及できませんが、大まか近くの地域の防災ヘリコプター運営費負担金の年額は浜田市で約620万(19年度実績)、川本町で85万円程(20年度予算)です。
出動要請があった患者の死亡率は27%減、重度後遺症は45%減になったという運航実績があります。
救急医療の地域間格差を埋める病院間の転送だけでなく、「医師を緊急現場に派遣する役目が大きい」とも言われています。
このことの特化により医師確保が進展する可能性も考えられます。
全国的に医師不足が問題になり、へき地ほどその傾向が顕著です。
これを理由に市立病院の件を論じても一歩も前進しません。
大田市が「県央地域」での緊急医療体制を考えた時、仮に県を差し置いてこの財政負担等を負いながら独自のヘリコプター救急を目指すのかどうかは現実性に欠ける部分があるのかもしれません。
しかし、その確立がなされたら、県央や西部全体の緊急医療搬送システムとしての役割を担える可能性は大いにあると思います
こういう思い切った対策が、今、現実に求められているのではないでしょうか。
広島大学医学部から派遣の外科医2人と島根大学医学部から派遣の整形外科医4人が3月末でそれぞれの大学病院に引き揚げ、後任の派遣がないことで体制が整うまでは救急告示病院の指定を取り下げるという事態になっています。
私の母は前身の国立病院時代に30年の長きにわたり看護師として働いていました。
私も幼い時には医師の皆様や同僚の看護師の皆様に可愛がられて育ち、第2のマイホーム的な感覚でいましたのでたいへん残念でなりません。
昨年の8月の定例記者会見で市長は外科医が不在になる可能性を言及され、12月には「地域医療シンポジウム」が開催され、その時すでに外科医2人の引き上げが発表されており、行政はまたもや後手にまわった訳です。
もし仮にこのとき整形外科医4人も引き揚げることが解っていたとすれば由々しきことです。
今後は交通事故などの外傷患者や驚くことに虫垂炎(旧来で言う盲腸炎)すら緊急であれば出雲市や江津市の病院に搬送されることになります。
市は救急車の増車も考えているようです。
出雲市に救急車での搬送と聞くと、考えてしまうのは昨年12月に仙山で起こった国道9号線の全面通行止めです。
交通事故により立て続けに2回も起こってしまいました。
こういう事態を回避するにはヘリコプター救急、いわゆるドクターヘリに頼らざるを得ません。
島根県の場合は県所有の防災ヘリコプターで搬送を行なっています。
斐川町の県営出雲空港内にある防災航空管理所に待機しており、要請があれば医師を乗せて現場に駆けつけることになっています。
平成20年度には救急活動を84件こなし、そのほとんどが隠岐から本土への救急患者搬送でした。
もし仮に大田市で救急搬送の要請をすると、病院までどのくらいの時間を要するのでしょうか。
お隣の江津市で平成20年に起こった事例が資料としてありましたのでご紹介します。
要請から18分後に離陸し、県立中央病院で医師を乗せ、江津市渡津町の江の川河川敷で患者を乗せて県立中央病院のヘリポートで降ろし、空港に戻って着陸するまでの飛行時間が51分というデータですので、おそらく大田市のヘリポートから病院までは40~50分程度が実質にヘリで搬送される時間になるでしょうか。
大田市でヘリが着陸できる場所は4ヶ所。大田市自転車競技場(久手町)、三瓶西の原へリポート(三瓶町)、仁摩健康公園(仁摩町)、温泉津町総合グランド(温泉津町)です。
そこまでは救急車の搬送ですから、実質的には約1時間の時間を要することになり、ヘリを使用しての救急搬送は思った以上に時間がかかるのかもしれません。
真のヘリコプター救急を目指すには今のシステムでは限界があります。
そこで島根県も2011年度のドクターヘリの導入を目指して、関係機関でつくる導入・活用検討会を設置し、県立中央病院を当面の基地病院とすることで合意したようです。
ドクターヘリの基地病院には、要請時に直ちに医師が搭乗できること、また、医療スタッフの十分な体制などが求められます。
その点、県立中央病院には屋上へリポートがあり、救急医師も8人いるということで合意に至ったようです。
さらに今後は、島根大医学部付属病院にも要請し、2病院連携体制を整えるとの意向です。
しかし、良いこと尽くめではなさそうです。
まずは財政的な負担です。1機当たり年間1億7,000万円の維持費が掛かると言われています。
国と県で半分ずつ負担すると見ても大きな費用がかかります。
次に、悪天候でヘリが飛べなくなる状況、また夜間飛行の安全性をどう確保するか、という問題があります。
真夜中に国道9号線は全面通行止め、おまけに台風直撃でヘリが飛ばない、こういう状況は当然起こりうる事として問題を解決しなくてはなりません。
年間1億7,000万円の維持費がなぜ掛かるのかはこれからの検討課題としても、県の防災ヘリコプター運営維持が、総額で平成20年度は約2億1千7百万掛かっています。(20年度実績)
その負担は各市町村に義務費として応分に振り分けられています。
大田市の資料が見当たりませんので応分の負担額は言及できませんが、大まか近くの地域の防災ヘリコプター運営費負担金の年額は浜田市で約620万(19年度実績)、川本町で85万円程(20年度予算)です。
出動要請があった患者の死亡率は27%減、重度後遺症は45%減になったという運航実績があります。
救急医療の地域間格差を埋める病院間の転送だけでなく、「医師を緊急現場に派遣する役目が大きい」とも言われています。
このことの特化により医師確保が進展する可能性も考えられます。
全国的に医師不足が問題になり、へき地ほどその傾向が顕著です。
これを理由に市立病院の件を論じても一歩も前進しません。
大田市が「県央地域」での緊急医療体制を考えた時、仮に県を差し置いてこの財政負担等を負いながら独自のヘリコプター救急を目指すのかどうかは現実性に欠ける部分があるのかもしれません。
しかし、その確立がなされたら、県央や西部全体の緊急医療搬送システムとしての役割を担える可能性は大いにあると思います
こういう思い切った対策が、今、現実に求められているのではないでしょうか。