あごう ひろゆきの「集志貫徹」 ブログ

生まれ育った「大田市」をこよなく愛し、責任世代の一人として、先頭に立ちがんばっています。皆様との意見交換の場です。

「集志貫徹」

やっぱりおおだ!

9月大田市議会定例会 閉会

2011年09月30日 19時38分51秒 | 想・有・独・言

平成23年第4回大田市議会が閉会しました。

9月議会は何と言っても決算の認定が大きな議案です。

先の記事でも書いたとおり、私は初めて一般会計・特別会計の決算特別委員会に出席いたしました。

(昨年は公営企業会計でした。今年は企業会計決算特別委員会を傍聴させて頂きました。)

大きな所感として、一つ目は自主財源不足を感じました。

自主財源は約54億9259万円で一般財源の22.8%しかありません。

昨年は25.8%ですから3.0ポイントも減少したことになります。

幸いに法人市民税が金属・電機。自動車関連産業の業績アップにより5200万円増収になったことです。

産業の振興が給与所得者へ波及し、個人市民税も増収になりことを期待します。

人件費が約44億円ですから、市税の約36億ではとても賄いきれません。

財政力の強弱を示す指数として「財政力指数」というものがあります。

人口3万5千人から4万5千人規模の大田市の類似団体として私的に調べたデータによると、類似した市は全国で94あり、

この「財政力指数」の平均(2009年 平成21年)は0.51です。

1.00に近いほど財政力が強いと言われ、1.00を越えると地方交付税は支給されません。

大田市は0.31(平成21年)、22年度決算では0.29に下がっています。

この類似団体94のうち82番目という(平成21年度)という下位に低迷しています。

他の類似団体と同じく構造的に自主財源を一挙に増やすことは不可能に近いことかもしれませんが、

せめて市税の増収にはなるような施策を進めていく必要があるのではないでしょうか。

いつまでも、親の援助に頼るか、貯金を取り崩すか、借金をするかに依存しては見通しは明るくなりません。

 

病院事業と水道事業の公営企業会計も厳しさを増しています。

病院事業会計は新聞紙上でご存知のとおり、危機的状況に近くなっています。

一年間の生活費(収益的収支)で大きな赤字を抱え、住宅ローン(資本的収支)も払えない状況で、

貯金(補てん財源)で生活費も住宅ローンも補っていますが、貯金も底を突きそうな状況です。

水道事業会計は一年間の生活費(収益的収支)で貯金は出来たものの、住宅ローン(資本的収支)の

返済額が多すぎて、結果的に貯金が減ってしまった状況です。

両会計ともこの状況がしばらく続きそうです。

この反動が利用料金に転嫁されては困ります。

 

本会議の後に全員協議会が開催されました。

協議事項は「総合計画後期計画の素案について」でした。

後期計画を策定するにあたり、決算の状況を含めてのことですが

強力に推進しなければならないのが「産業の振興」と「医療体制の確保」だと思っています。

 

産業の振興においては、この効果において雇用の確保、若者定住、市税増収というような多方面への

影響も非常に大きいと思います。

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に伴い、大田市の活力低下も懸念される中、

高齢者の社会進出を促進する必要性も出てくることから、高齢者に特化した産業の育成も必要だと感じます。

基幹産業化を狙った観光産業の育成も策に乏しさを感じます。

年次的にデータを集め、分析し、細やかな対応をお願いしたいですし、産業振興は具体的な数値目標を常に掲げるべきです。

 

医療確保の核である市立病院は医師の確保、経営共に危機的状況です。

救急告示指定の復活には至っていないですし、このことが経営危機に拍車を掛けていることに理解はある程度

示しますがそれで良いと言うものではありません。

総合医療学講座の設置と明るい材料もありますが、予断は許されません。

 「あり方検討会」が設置され、議論されている最中でありますが、病床の配置を含めた病床数の適正化等の病院規模、

賃金や経費削減等を含めた経営改善策の方向性を早急に結論づけるべきです。

特化した診療科目をつくるなど思い切った施策展開を望みます。

また、病院の改築についても早急にビジョンを示す必要があると思います。

 

市民会館を中心としたゾーン、大田一中・総合体育館と市民球場を含む大田市民公園周辺、

駅東側を含む中心市街地とゾーニングを適正化しなければならない地域が多数存在します。

財政に限りがある中ではありますが、グランドデザインを的確に示す必要性を感じます。

ビジョンを示しながら、過疎債を有効利用し、一体的な整備を望みます。

 

少子高齢化が進行する中、少しでも人口の減少に歯止めがかかるよう、

また、少ない人口においても市民一人ひとりが笑顔あふれ、幸せが実感できるような

大田市へと向かって更なる施策展開を是非とも望みます。

 

 

 


大田市 決算のお勉強 その5「性質別歳出 投資的経費」

2011年09月29日 22時52分10秒 | 想・有・独・言

○義務的経費と投資的経費とその他

投資的経費とは、その経費の支出の効果が単年度また短期的に終わらず、固定的な資本の形成に向けられるもので、

道路、橋りょう、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備等に要する経費です。

普通建設事業費(補助事業・単独事業)、災害復旧事業費及び失業対策事業費から構成されています。


○投資的経費 


●普通建設事業費:補助事業費と単独事業費と国直轄事業負担金があります。

 補助事業費とは、地方公共団体が国からの負担金又は補助金を受けて実施する事業に要する経費です。

 直接補助金(直接国庫から市町村に対して交付)、間接補助金(いったん県の予算に計上された上、市町村に対し県支出金の形で交付)で交付され、

 土木費が最も大きな割合を占めています。

 単独事業費とは、地方公共団体が国の補助等を受けずに自主的・主体的に地域の実情等に応じて実施する事業です。

 少し詳しく分類すると

  1.市町村が単独で実施する事業費

  2.県からの単独の補助を受けて実施した事業費

  3.補助事業の単価差、数量差及び対象差に係る工事分の事業費があるようですが、私はこの3.あたりはよくわかりません。

 交通安全対策特別交付金によって実施した事業については 単独事業に区分されます。

 こちらも土木費が多いようです。

 単独事業費、補助事業費とも目的別には総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、教育費など多岐にわたります。

 国直轄事業負担金は、国が道路、河川、砂防、港湾等の土木事業等を直轄で実施する場合において、

 法令の規定により地方公共団体がその一部を負担する経費です。土木費の中の道路橋梁費、河川海岸費等があります。


●災害復旧事業費:暴風、洪水、地震その他異常な自然現象等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費です

 農地、農業用施設等の農林水産施設復旧費と道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木災害復旧費とがあります。


●失業対策事業費:失業者に就業の機会を与えることを主たる目的として、道路、河川、公園の整備等を行う事業に要する経費です。


大田市 決算のお勉強 その4「性質別歳出 義務的経費」

2011年09月28日 21時54分41秒 | 想・有・独・言

歳出は性質別歳出と目的別歳出の2つの分類方法があります。

性質別歳出は、経費の経済的性質に着目した歳出の分類であり、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができます。

目的別歳出は、行政目的に着目した歳出の分類です。

目的別歳出は、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、教育費、災害復旧費、公債費、諸支出金に大別されます。

 

○義務的経費と投資的経費とその他

義務的経費とは、任意に削減できない極めて硬直性が強い経費のことで、一般歳出における人件費・扶助費・公債費からなります。

 

○義務的経費

●人件費:職員等に対し、勤労の対価、報酬として支払われる一切の経費です。

  議員報酬、各種委員報酬、特別職給与、職員給、退職金等が含まれます。

  歳出とは直接関係ありませんが、国家公務員の給与水準を100としたときの、

  地方公務員の給与水準を指すラスパイレス指数にも着目する必要もあります。

●扶助費:社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、老人、心身障害者等を援助するために要する経費です。

  各種法令に基づいて実施する給付や、地方公共団体が単独で行っている各種扶助に係る経費があります。 

  なお、現金のみならず、物品の提供に要する経費も含まれます。

  児童福祉費、社会福祉費(老人福祉費、障がい者福祉費等)生活保護費等があります。

●公債費:市債の元利償還金及び一時借入金利子を支払うための経費です。

  性質別歳出における公債費が地方債の元利償還金及び一時借入金利子に限定されるのに対し、

  目的別歳出における公債費については、元利償還等に要する経費のほか、地方債の発行手数料や割引料等の事務経費も含まれます。


大田市 決算のお勉強 その3「歳出 + α」

2011年09月27日 22時37分32秒 | 想・有・独・言

歳出とは、国・地方公共団体の一会計年度における一切の支出のことです。

当然ここでも会計年度独立の原則(その会計年度の歳出は、当該年度の歳入をもってまかなうという原則)が

基本原則として用いられることになります。(自治法第208条第2項)

その会計年度独立の原則の下では、歳出は歳入の範囲内で行わなければなりません。

予算の歳入については、一応の収入の見込み額ですが、歳出については、予算の執行権者(市長)に対して執行されるべき支出の範囲を定め、

支出の権限を与えるもので、この歳出予算に基づかないもの又は予算額を超えての支出は出来ません。

(当初の予算を超えそうな場合、又は特別な事由に基づき変更を加える場合は補正予算を立てることになります。)

ここでも総計予算主義といって一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければなりません。(自治法第210条)

予算は年度開始前に議会の議決を経なければなりません(自治法第211条第1項)。

大田市議会においても、3月の定例会に次の年度の予算を議決します。

歳入に関しては、大田市の規模が物理的に決まっていることもあり、大幅な変更は困難ですが

歳出については、執行する事業の妥当性やそれに係る経費、効率性や費用対効果など複数の要素を加味しながら所管ごとに

各常任委員会において厳しく審査された後に議決されます。

1年間の全ての執行体制を決めるわけですから、極めて重要な決議です。

 

この通常の当初予算案が、新しい年度が始まる前までに成立しなかった場合、どうなるのでしょうか。

行政機能が停止しないように、一定期間について最小限度必要とされる経費の 支出をするための暫定予算を編成する事になります。 (自治法第218条)

地方公共団体の首長は特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるときには、

専決処分で暫定予算を成立させることができます。

 

では、決算が認定されなかった場合はどうなるのでしょうか。

まず、地方自治法において議会が事件を議決する項目のひとつに決算を上げています。(自治法第96条第1項第3号)

自治法第233条では決算について規定し、議会が決算を認定しない場合については、

「一般的には、議会が自治法第233条により認定に付された決算を認定しなかったとしても、その決算自体の効力には影響はないもの

(『議会は決算の認定をしないこともでき、認定されなくても決算の効力には影響しない』と解され、

それは『決算の認定の効力が、法的に執行機関の責任を解除するほど強いものではなく、政治的に対団体及び住民に対する道義的な責任を解除するものである』

と解されるからです。

したがって、決算は議会の認定に付すという手続を完了した時点で有効に成立したものと見なす考えになります。

しかし、報告の義務はありますので、議会が認定しない旨と、これに対する長の意見を添付するとともに

総務省へ報告と住民に公表しなければなりません。

地方公共団体では珍しいことですが、国では数回の例があります。

 

こういうこともあり得るのになぜ決算を認定する必要があるのでしょうか。

決算を認定するに当たっての審査観点は、

「事業が適性かつ経済的に運営されているか」と「予算の執行に不正が無かったか」の大きく2点に絞られてくると思います。

後者に関しては言語道断ですが、前者に関しては、「このことをいかに次の予算に反映するか」という大事な観点が含まれてきます。

決算では執行された事業の効果を問うことが一番のポイントと考えています。

そして、次年度において効果ない事業の予算縮小を考えたり、効果の増大を期する為に予算増額をするのかを考えることになると思っています。

このポイントを考えながら決算審査特別委員会で質疑をしないと予算・決算とも同じ質疑を繰り返すことにもなり兼ねません。

この整合性を図るためにも予算審査は所管ごとの審査ではなく、特別委員会を設置する必要があると思います。

予算・決算とも特別委員会の委員は同じ議員が所属して、整合性をもって審査されるべきだと思います。

 

歳出から少し脱線したかもしれませんが、大切なことであると思いましたので長々書いてしまいました。


大田市 決算のお勉強 その2「地方公共団体の会計処理での問題点」

2011年09月26日 23時32分58秒 | 想・有・独・言

○発生主義と現金主義

発生主義とは、現金の収入や支出に関係なく、収益や費用の事実が発生した時点で計上する原則

現金主義とは、収益と費用を現金の受け渡しの時点で認識する会計原則


現行の地方自治法による一般会計及び特別会計(ただし、公営企業会計を除く)の会計処理は、単式簿記・現金主義会計という方式で行われています。

一方、民間企業会計においては、複式簿記・発生主義での会計処理が行われております。

官庁会計では、現金の移動は記録されますが、会計処理において、現金以外の資産(道路・建物等)や負債の情報が蓄積されません。

官庁会計では、統一的な基準に基づいて資産を一覧できる仕組みがありません。

また、官庁会計は現金主義で、現金の移動しか記録しないため、減価償却費や引当金等の非現金情報が計上されず、

それぞれの事業(行政サービス)に要した正確なコストが把握できないという問題点を抱えています。

それを克服する為に、総務省は平成18年度に「新地方公会計制度研究会」を5回開催し、報告書を公表して

地方公共団体において「貸借対照表」「行政コスト計算書」「資金収支計算書」「純資産変動計算書」の

財務諸表4表を公表することを後になって要請しています。

これに従って、大田市では「平成21年度決算」において、「普通会計財務書類4表」を作成し、公表しています。

          「普通会計財務書類4表」http://www.city.ohda.lg.jp/files/20110421125158.pdf

しかしながら、簿記方式、発生主義会計は全国の地方公共団体において解決に至っていません。

これに今、挑んでいるのが東京都と大阪府で、独自に開発した会計制度に基づき、複式簿記・発生主義の観点から

「貸借対照表」「行政コスト計算書」「キャッシュ・フロー計算書」「正味財産変動計算書」等を作成しています。

大田市のような地方公共団体がこのような財務諸表を作成することは、総務省の相当の指導と資金的援助がないと

なしえないと思いますが、市民に的確でわかりやすい財務状況を提示することは、行政の義務であり、

少しでも前進して欲しいと思います。