平成23年第4回大田市議会が閉会しました。
9月議会は何と言っても決算の認定が大きな議案です。
先の記事でも書いたとおり、私は初めて一般会計・特別会計の決算特別委員会に出席いたしました。
(昨年は公営企業会計でした。今年は企業会計決算特別委員会を傍聴させて頂きました。)
大きな所感として、一つ目は自主財源不足を感じました。
自主財源は約54億9259万円で一般財源の22.8%しかありません。
昨年は25.8%ですから3.0ポイントも減少したことになります。
幸いに法人市民税が金属・電機。自動車関連産業の業績アップにより5200万円増収になったことです。
産業の振興が給与所得者へ波及し、個人市民税も増収になりことを期待します。
人件費が約44億円ですから、市税の約36億ではとても賄いきれません。
財政力の強弱を示す指数として「財政力指数」というものがあります。
人口3万5千人から4万5千人規模の大田市の類似団体として私的に調べたデータによると、類似した市は全国で94あり、
この「財政力指数」の平均(2009年 平成21年)は0.51です。
1.00に近いほど財政力が強いと言われ、1.00を越えると地方交付税は支給されません。
大田市は0.31(平成21年)、22年度決算では0.29に下がっています。
この類似団体94のうち82番目という(平成21年度)という下位に低迷しています。
他の類似団体と同じく構造的に自主財源を一挙に増やすことは不可能に近いことかもしれませんが、
せめて市税の増収にはなるような施策を進めていく必要があるのではないでしょうか。
いつまでも、親の援助に頼るか、貯金を取り崩すか、借金をするかに依存しては見通しは明るくなりません。
病院事業と水道事業の公営企業会計も厳しさを増しています。
病院事業会計は新聞紙上でご存知のとおり、危機的状況に近くなっています。
一年間の生活費(収益的収支)で大きな赤字を抱え、住宅ローン(資本的収支)も払えない状況で、
貯金(補てん財源)で生活費も住宅ローンも補っていますが、貯金も底を突きそうな状況です。
水道事業会計は一年間の生活費(収益的収支)で貯金は出来たものの、住宅ローン(資本的収支)の
返済額が多すぎて、結果的に貯金が減ってしまった状況です。
両会計ともこの状況がしばらく続きそうです。
この反動が利用料金に転嫁されては困ります。
本会議の後に全員協議会が開催されました。
協議事項は「総合計画後期計画の素案について」でした。
後期計画を策定するにあたり、決算の状況を含めてのことですが
強力に推進しなければならないのが「産業の振興」と「医療体制の確保」だと思っています。
産業の振興においては、この効果において雇用の確保、若者定住、市税増収というような多方面への
影響も非常に大きいと思います。
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少に伴い、大田市の活力低下も懸念される中、
高齢者の社会進出を促進する必要性も出てくることから、高齢者に特化した産業の育成も必要だと感じます。
基幹産業化を狙った観光産業の育成も策に乏しさを感じます。
年次的にデータを集め、分析し、細やかな対応をお願いしたいですし、産業振興は具体的な数値目標を常に掲げるべきです。
医療確保の核である市立病院は医師の確保、経営共に危機的状況です。
救急告示指定の復活には至っていないですし、このことが経営危機に拍車を掛けていることに理解はある程度
示しますがそれで良いと言うものではありません。
総合医療学講座の設置と明るい材料もありますが、予断は許されません。
「あり方検討会」が設置され、議論されている最中でありますが、病床の配置を含めた病床数の適正化等の病院規模、
賃金や経費削減等を含めた経営改善策の方向性を早急に結論づけるべきです。
特化した診療科目をつくるなど思い切った施策展開を望みます。
また、病院の改築についても早急にビジョンを示す必要があると思います。
市民会館を中心としたゾーン、大田一中・総合体育館と市民球場を含む大田市民公園周辺、
駅東側を含む中心市街地とゾーニングを適正化しなければならない地域が多数存在します。
財政に限りがある中ではありますが、グランドデザインを的確に示す必要性を感じます。
ビジョンを示しながら、過疎債を有効利用し、一体的な整備を望みます。
少子高齢化が進行する中、少しでも人口の減少に歯止めがかかるよう、
また、少ない人口においても市民一人ひとりが笑顔あふれ、幸せが実感できるような
大田市へと向かって更なる施策展開を是非とも望みます。