細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

放蕩記    著者 村山由香

2015-03-31 23:53:45 | 読書メモ ま行

《内容》

娘・夏帆、38歳、小説家。母・美紀子、78歳、主婦。強烈すぎる母親の呪縛から逃れようともがく夏帆に、母を赦せる日は訪れるのか。濃密で普遍的な、愛憎と感動の物語。  (紹介文より)

 

―――親子の間でも、相性というものはある。お互い人間である以上、こればかりはどうしようもない。家族でなかったら、血のつながりがなかったら、絶対付き合わないし近づきもしないような相手と、否応なく一生関わり続けることの不思議・・・・・。

―――大人になってからの性格や性癖について、原因のすべてを幼少期に起きた出来事に求めるのは間違いだろう。人はそれぞれ十代に入った頃から少しづつ親の支配を離れ始める。自身の判断による成功と失敗を積み重ねながら、ではなくとしての人格をつくりあげ、一人前の大人になってゆく


55歳からのハローライフ   著者 村上龍

2015-03-29 14:45:12 | 読書メモ ま行

《内容》

多くの人々が、将来への不安を抱えている。だが、不安から目をそむけず新たな道を探る人々がいる。婚活、再就職、家族の信頼の回復、友情と出会い、ペットへの愛、老いらくの恋…。さまざまな彩りに充ちた「再出発」の物語。最新長編小説。 人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。「結婚相談所」生きてさえいれば、またいつか、空を飛ぶ夢を見られるかも知れない。「空を飛ぶ夢をもう一度」お前には、会社時代の力関係が染みついてるんだよ。「キャンピングカー」夫婦だからだ。何十年いっしょに暮らしてると思ってるんだ。「ペットロス」人を、運ぶ。人を、助けながら、運ぶ。何度も、何度も、そう繰り返した。「トラベルヘルパー」 ごく普通の人々に起こるごく普通な出来ことを、リアルな筆致で描き出した村上龍の新境地。   (紹介文より)


母の遺産   著者 水村美苗

2015-02-21 20:27:26 | 読書メモ ま行

《内容》

家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない。ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?親の介護、姉妹の確執…離婚を迷う女は一人旅へ。『本格小説』『日本語が亡びるとき』の著者が、自身の体験を交えて描く待望の最新長篇。   (紹介文より)

 

―――その場が偶然与えてくれた孤独の中で、悲しみに向き合っていたような気がする。悲しみの余韻が空気に残っていた。


花見ぬひまの   著者 諸田玲子

2015-02-20 22:19:37 | 読書メモ ま行

《内容》

高杉晋作の愛人おうのから田捨女まで――幕末の嵐の中で、赤穂浪士討ち入りの陰で、恋を貫いた七人の女を、時代小説の名手が描く!   (紹介文より)

 

―――噂には手もあり足もある。お節介で小意地がわるく、いちばん知られたくないところへと飛んで行って袖をひっぱる。


おまえさん  下   著者  宮部みゆき

2014-12-16 14:52:07 | 読書メモ ま行

《内容》

二十年前から続く因縁は、思わぬかたちで今に繋がり、人を誤らせていく。男は男の嘘をつき、女は女の道をゆく。こんがらがった人間関係を、“ぼんくら”同心・井筒平四郎の甥っ子、弓之助は解き明かせるのか。事件の真相が語られた後に四つの短篇で明かされる、さらに深く切ない男女の真実。    (紹介文より)

 

 ―――このひと月、しみじみ痛感した。俺は弱い。何という脆弱な魂だろう。何という浮薄な心だろう

―――どんだけ近くにいたって、永いこと尽くしてたって、繋がらない縁は繋がらないんです。


四十八人目の忠臣   著者 諸田玲子

2014-11-29 18:00:33 | 読書メモ ま行

《内容》

愛する磯貝十郎左衛門と浪士たちのため、討ち入りを影から助け、その後、浪士の遺族の赦免、赤穂浅野家再興を目指し、将軍家に近づいた実在の女性。浪士と将軍に愛された女性。  (紹介文より)

 

―――人はみちたりてこそ、他者にもやさしくなれるものだから

―――理不尽がまかりとおってしまうやりきれなさ、うやむやのままに事が進んでゆくいらただしさ、人のずるさ変わり身のはやさをみせつけられた不甲斐なさ・・・・・。

―――頭でわかっていることと心で納得することには大きなへだたりがある。

―――生きているのはなすべきことがあるからだと、そう、父はいった。だったら自分にも、まだなすべきことがあるにちがいない―――。


虹の岬の喫茶店   著者 森沢明夫

2014-07-17 14:43:35 | 読書メモ ま行

《内容》

トンネルを抜けたら、ガードレールの切れ目をすぐ左折。雑草の生える荒地を進むと、小さな岬の先端に、ふいに喫茶店が現れる。そこには、とびきりおいしいコーヒーとお客さんの人生にそっと寄り添うような音楽を選曲してくれるおばあさんがいた。彼女は一人で喫茶店を切り盛りしながら、ときおり窓から海を眺め、何かを待ち続けていた。その喫茶店に引き寄せられるように集まる人々―妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など―心に傷を抱えた彼らの人生は、その喫茶店とおばあさんとの出逢いで、変化し始める。心がやわらかさを取り戻す、感涙の長編小説。   (紹介文より)

―――生暖かいしずくが、私の左右の頬をつるつると伝い落ちて、くたびれたシーツに吸い込まれていたが、放っておいた。ただ、唇をぎゅっと閉じて、ややもすれば喉の奥から漏れそうになる声を押し殺すことに心を砕いていた。

―――いろいろあって、自分の未来に夢も希望もないんあったら、他人の未来を祈ればいいじゃない。


水の柩    著者 道夫秀介

2013-11-16 18:43:41 | 読書メモ ま行

《内容》

自分が“普通”で退屈なことを嘆く中学2年の逸夫と、両親が離婚し級友からいじめを受け“普通”を欲する敦子。あるきっかけで言葉を交わすようになったふたりだが、敦子には秘めた決意があって…   (紹介文より)

 

―――あの頃の日々に戻りたかった。もしそれができるのならなんでもすると思った。しかしもう自分がもとの場所に戻れないことを知っていた。冷たく骨張ったにぎり拳のような感情が、胸の底に力んで震えていた。

―――何かが解決するのと、何かをすっかり忘れてしまうのと、どう違うのだろう

―――忘れることと、忘れずに乗り越えることの違いはどこにあるのだろう