水無月朔日。衣替えの日か。東京五輪開幕まであと52日。人がパッチからステテコ、長そでシャツから半袖に、タンスの中身を入れ替えるように、街の風景も五輪マークが目立つようになってきた。
折良く、５月31日のコロナ感染者数は全国で1793人、東京都がたった260人といずれも激減し、ゼロの県が４もあった。この調子だと、近く菅義偉首相が特別記者会見を開き、緊急事態宣言を打ち止めて終息宣言を見切り発車的に発出するかもしれない状況である。
朝日新聞の東京五輪中止論に対抗して、読売新聞は社説で１億火の玉となって五輪安全開催に突き進もう、と国民に呼び掛けることもあるかもしれない。
こうして国民の期待は次第に盛り上がり、23日の沖縄慰霊の日ともなれば、クーベルタン男爵の提唱でＩＯＣが1894年に創設されたオリンピック・デーでもあり、東京と言わず日本国中が五輪開催歓迎ムード一色に塗りつぶされるであろう。
恐らく東京・日比谷公園では100万人規模の提灯行列が日露戦争の勝利祝賀会以上に熱狂的に催され、マラソン会場に充てられた札幌の大通公園では神輿を繰り出し、花火を上げる、成功祈念行事が賑々しく行われると予想される。天文館や道頓堀、新橋、すすきの辺りで飲む酒は、菅首相の奢りでみんなタダになるサプライズも考えられよう。
都心、辺境に関わらず、全国津々浦々で万国旗が飾り付けられ、街ゆく人々は東京五輪音頭を口ずさんでハイタッチを交わし、顔を背け白けているコロナ心配性人間は非国民と罵られているであろう。コロナで委縮した国民精神は一掃され、東京オリ・パラを経て日本景気は空前の大復活が期待されている。
復活と言えば、東京五輪開会式のメイン・セレモニーに、渡辺直美さんが市松模様の和服あるいは浴衣のお姫様姿で登場し、東京五輪音頭を豊かに激しく歌い踊る演出がサプライズで見られるかもしれない。
＃ハアー♪ あの日コロナで曇った月が きょうは都の空照らす ♪ア チョイトネ♭
わが尻尾
追ひ掛け回す
猫のごと
餌には弱き
大和人かな
