うづきの雪

終日雨、みぞれか。夜中から屋根を叩く音が煩かった。河口湖も雪が降っているという。富士の冠雪が厚くなっているやろ。寒いから熱燗用に令和セールの日本酒を買いに行きたいけど、濡れるやろな。
新紙幣の千円札肖像を福島の野口英世から、熊本の北里柴三郎に交代させるのは、医学者つながりで良いとして、裏面デザインに葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』を持ってくるのは、大津波を連想させて無神経やないんかなあ。一万円札肖像の渋沢栄一が併合前の大韓帝国の紙幣に起用されていた歴史も、かつてより関係がぎくしゃくしているこの時期に、意向を忖度して敢えてなのか、刺激的やわ。

卯月雪　富士の高嶺の　嵩や増す
逆巻く浪の　飛沫受けつつ

心変わり

パッチを履いて外出すると股が蒸れるほど暖ったこうなったのに、朝晩はストーブを点けるか、炬燵に入らんと、足が冷えて堪らん。夏日と冬日が同居されては敵わんわ。なんて、ぐずぐず文句を言うのは人間のみで、季節が来ればチューリップは健気に咲いていた。
トランプ大統領がイラン革命防衛隊を外国テロ組織に指定やて。北朝鮮政権転覆軍事行動の機が熟していないと見て、イラクを大量破壊兵器国に指定したのと同様、２０２０年の大統領選を控え、たっぷり高額兵器を使いまくって、産軍複合体からの支援を得ようとしてるんやろか。年内には何らかの作戦はあるやろうし、日本の貢献も求められるんやろなあ。裏で糸を引いているのはどの国や。嫌な世の中やで。
一万円の絵柄が渋沢栄一に数年後に切り替わるそうな。まあ、選挙対策やけど、アベノミクスの中身の無さを象徴しているようなもんやな。安倍政権の最優先課題やった北朝鮮拉致被害者引き渡し、北方領土返還がびくとも動かないどころか、むしろ永遠に凍結されそうに後退した事態を踏まえ、目くらましの景気対策とでも思うんやろけど、内閣がやり得た実績が、天皇ご発意の譲位と新帝践祚、新元号に、令和紙幣の発行、では寂し過ぎるな。アベノミクスなんて口三味線は、世界株高に連れて日本株価も底からリバウンドした以外は、日銀紙幣を増刷し、年金支給を絞り込む一方、どこに消えたか分からない公共事業にばらまき、経産省主導の海底熱水鉱床開発のような錬金術事業に血道を上げる程度で、特定集団にしか受けていない。そんなことはどうでもエエことやけど、紙幣刷新をＦＮＮの独自ニュースと言っている事が面白い。安倍首相は以前、国会でも「知りたければ読売新聞を読みなさい」と言っていたように、同紙が首相の意向をまず伝えていたのに、今朝の紙面には新紙幣の記事は載っていなかった。二人の関係はどうなったんや。５０００円札が津田梅子、１０００円札が北里柴三郎の肖像画を使うなんてことより、こっちの方が気になるなあ。

春の日に　夏日と冬日　紛れ込み
熱き想ひも　冷めゆくならむ

三帝

娘の家にふるさと納税返礼の牛肉が送られてきたので食べに来いと云われた。最寄りの駅前には田中串カツ店が出来ていた。羨ましい。ステーキでも刺身でも、食い物は家で自分の味付けで食べた方が安上がりで美味いけど、串揚げだけは店やし、二度漬けしても三度漬けしても何と言うても新世界や。店見て禁断症状が出たので、来月、通天閣昇ってビリケンさん撫でて、ジャンジャン横丁ではしごしよッ。
それより、もう直きゴールデンウィークや。もう夏日みたいに暑うなって来たんで、避暑優先でスイスのアルプスにするか、あるいは北欧か、カナダか、どこにしようかなあ。
あれッ、５月４日は皇居一般参賀に行かんといかんわ。しゃーないな、今年は国内にしよう。カレンダーを見ると、４月２９日が昭和の先帝降誕、３０日が現帝退位、５月１日が新帝登極と、三帝の記念日が連日続くなあ。こんなことは神武以来、神国日本でもかつて無かった、揃い踏みやないかなあ。家庭でも、個人でも、集団でも、すんなり世継ぎということはなく、どの世界でも常に波乱万丈の綱渡りやったけど、それにびしっと筋金を入れているのが万世一系の国体や。偶然のこの３日の並びを、草莽の臣として言祝がざるを得ない。
近所のあちこちの庭にクリスマスローズが静かに花開いている。なんなのか、本邦ではクリスマスシーズンでなく、この時季に咲くみたいや。花言葉は「いたわり」とか「追憶」とかが充てられてるんやなあ。

くすしくも　月の替はりの　三日を継ぎ
三世の帝を　慕ひわたらむ

花桃

きょうは孫の中学進学祝いの会に娘一家から誘われた。がってん寿司、サイゼリア、ジョナサン以外で会食するのは何年振りやろ。娘婿のおごりやて、スキップして行こ。
きのうはシニア卓球に行き、ダブルス戦でサーブの順番が分からなくなり、まごついていると、あんた呆けてないか、と先輩女性に叱られた。論語に「七十にして心の欲するところに従い、矩を超（踰）えず」とあるように、思ったことを直言して遠慮会釈がない歳ごろになった。呆けはその通りで、おととい４日、映画『バイス』の上映時間を調べて、これなら間に合うと急いで電車を乗り継ぎ、映画館の自販機で入場券を買おうとして、５日金曜日から上映開始であることに気付いた。空しい徒労感に襲われ、呆けて来たと自覚した。
映画と言えば、きのうテレビで『超ド級！　世界のありえない映像大賞５』を何となく見ていたら、イギリスのオーディション番組『Britain's Got Talent』のシーンが出てきた。歌いつつ、それに合わせて出演者が組体操を影絵にして核ミサイルとかいろんな形を表現し、歌とのシンクロが見事だった。が、演技そのものより、審査員に驚いた。この前、プライム映画で観た、様々な挫折と苦難を経てその番組をきっかけに大成功したオペラ歌手の物語『ワンチャンス』でも審査していた人と同じやった。演技でなく本物が出てたんや。２０１３年製作と言うから、長いことやっているんやな。この映画の場面展開の切れの良さは、わが生涯ベストだと思う。映画の製作工程なんか知らないけど、その無駄の一切ない編集には、観ていて気持ちよかった。『バイス』を観に行く気持ちは萎んだ。
代わりにぶらぶら散歩すると、近所の生け垣の花桃が審査員大賞を獲れそうに見事だった。

核疑惑　猿が歩けば　百日紅
心静かに　花桃を観よ

いやしけよごと

けさのウィンドウズの壁紙は洒落ていた。緑の丘の天辺に満開の桜の樹が数本植わっていて、そこまで木の階段で繋がっていた。
ようやく踏ん切りがついた。きのうシェークハンドのラケットを買った。小さい頃からペンホルダーしか握ったことがなかったけど、ピンポン台を突っついて割ってしまっては仕方ない。町の卓球講座初級コースにペン・ラケットを持って行ったら、シェークばっかりで肩身が狭かった。買い直すなら、この際一新しよう。ＺＡＲＤが『あの微笑みを忘れないで』の中で、「もう何も迷うことなく　走り出そう新しい明日へ」「心の冬にさよならして　走り出そう新しい明日へ」と歌っていた。島田歌穂も『ステップ・バイ・ステップ』で、「履き慣れたあなたのパンプスなんて　もう脱いでしまおう」と歌ってる。「負けないで　ほらそこに　ゴールは近づいてる」だったらエエけど。
きょうから卓球アジアカップか。日本選手の個性派が多士済々で、今一番面白いスポーツやなあ。でも中国の壁は万里の長城よりも高くて厚い。馬龍なんて、名前見ただけで勝てそうにない気がする。朱雨玲に、平野美宇ちゃんたちは赤い涙の雨を降らされるんやろか。あす、あさって、じっくりテレビ観戦したろ。
アメリカのトランプ大統領は『国民の就業・就学機会と活性化のための協議会』（The White House Opportunity and Revitalization Council）をスタートさせはったんか。「この国で忘れ去られた人々に対し、もうこれ以上放置されることはない」か、力強い言葉や。子どもの貧困や都市中心部の廃工場、犯罪や薬物汚染といった問題に政府が関心を持ち、真剣に取り組むってよ。それに比べ日本の現状はどうや。富める者がoppotunityを独占し、落伍した者は力無くさらに突き落とされる方向やないのか。酒で酔わせて女性を犯しても有力者なら検警察は動かず、父が娘に無理やり性交しても無罪判決とか、この国の土台が狂ってしまっている。国民の性向が、いたぶられればいたぶられるほど、もうこれ以上は勘弁して下せえと逆に土下座して謝罪する体たらくだから、改善の糸口が見つからない。

あらたしき　御宇の始めの　皐月待つ
花たちばなの　いやしけよごと


＊本歌（１）新たしき　年の始めの　初春の
　　　　　今日降る雪の　いや重け吉事
　　　　（２）五月待つ　花橘の　香をかげば
　　　　　昔の人の　袖の香ぞする