例によって周回遅れも甚だしい、「さばドル」をようやく見た。というか、正直、あんまり気が進まないまま、それでも流石に一年以上の放置はヤバイかなとか、つらつら思いつつ見始めたんだけど・・・、なんじゃこりゃあ。でら面白いではないか。
最初の辺りこそ、それなりの抵抗感というか、漫画「AKB49」とも類似する、17歳の現役アイドルの正体が、実は38歳の公立高校の教師という基本設定をなかなか受け付けず、物語に入り込むのに苦労したけど、ここを「お約束」としてスルーできるようになってからは、その先に広がっていた作品世界の広大さに、例によって誇張表現だけど、目眩すら覚えるほどだった。
もう少し具体的には、そもそもAKB49同様の疑問の初歩である「ふつーに気づかれるだろ」な部分は置いといて、実際のアイドルというもののリアルなど、知るよしもないけど、それでも例えば篠田さんの情報発信力のおかげで、そのスケジュールの凄まじさはそれなりに伝わって来るわけで、あんなのと、こちらはある程度のリアルが見える公立高校教師が両立するはずがない。そんな「常識」に拘束されてしまうのもやむを得ないわけで、ここをえいやっと飛び越える、そんなプチ「無への跳躍」めいた思い切りが必要とでも言うか。
このあたり、最初の取っつきに難のあるAKBの存在様式に似たところがあるとも言えそうだし、大概の物語というものも、そんな性質を帯びてるものなのかも知れないと、ありがちな一般論化でもしてみようかと。
さて、無事作品世界に飛べ込むことに成功すると、そこにはリアルというかスーパーリアルな渡辺麻友というアイドルがいた。本放送が2012年1月13日から4月6日で、「シンとき」の発売が2月29日というわけで、これはもうメタドラマどころではない、リアルドラマと見紛うばかり。そういう意味では「マジすか」を完全に超えてる。
一方で高校教師としての物語も、公立の底辺高校という設定が効いてて、意外にも王道学園ドラマの、こちらはパロディみたいになってる。これはこれで面白いし、梨本君が青春してて、その熱さが微笑ましい。思いの外、脚本も演出もしっかりしてる。
毎回表示される「このドラマは、ほぼフィクションであり、登場する人物・団体は大体、架空です」という表現が秀逸で、この辺りも、「マジすか」とは違うのだよ「マジすか」とは、とか宣うランバ・ラルとでも表現すれば良いか。
細かい内容的には、第六話のソロデビュー当たりから、俄然、話が面白くなる。いろんな設定が有機的に絡み出して、味わい深くなる。第六話で、ウタマロとの偽装デートでの会話を、以下に書き出してみる。
麻「ウタマロさんが考えるプロって、何ですか。」
ウ「すべてを犠牲にしてでも、自分が与えられた役目以上の仕事をする、人間のこと。」
麻「すべてを、犠牲にしてでも・・・」
ウ「オレはずっとそうしてきた。だからこの世界に入ったとき、心から好きだった女と分かれた。それがプロだ。」
麻「私には、できません。でも、私は、私のやり方で、プロを目指します。」
ウ「どうやって?」
麻「今は分かりません。ただ、いつか、絶対に、見つけてみせます。」
ウ「甘い。本当に甘いよ。チキチータ。」
麻「はい。そうですよね。私は、まだまだ、甘いです。それが、今の、渡辺麻友です。」
ここで何が語られてるのか、AKBファンならばピンと来るんではないか。これは前田さんのことであり、高橋さんのこと。二人の生き様を「プロ」として提示してる。メタドラマの面目躍如というか、渡辺さんにセンターを引き継ぐことを求め、これに対し戸惑いを隠せない、そんなシチュエーションと捉えても無理筋ではないと思う。翻って最近の渡辺さんの、腹を括った感じ、覚悟を決めた表情が、痛々しくも時間の流れを感じさせてくれる。
七話では、ソロデビューを控えて余裕がなくなり、マネジャーに当たり、全面的に支えてくれてた妹に当たり、教え子に当たるという、アイドルとしての分かり易い「生態」が描かれたりもしてる。一方でCMキャラという設定で「ネズミ」も出てくる。もう現実と虚構の境界がない、リアルバーチャル連続体というAKBの存在様式全開、メタドラマを超えたリアルドラマ全開。いや、凄い。
最終回では、まるでその後に起こるさっしースキャンダルを先取りするかのように、「ラジオ公開生放送」での引退表明とか、「アイドルとしての渡辺麻友は作り物だったけど、すべてが嘘だったわけじゃない」だの、「諦めなかったから、夢が叶った。奇跡が起きた。諦めない限り、チャンスは巡って来る」だの、「渡辺麻友第二章」だの、AKB中央突端な感じ。いやもう、私のへたくそな説明ではとても追っつかないので、まだ見てない人は必見と書いて、終わらせてしまおう。
おっと、大事なことを忘れてた。そしてもちろん最大の眼目が、これが「シンクロときめき」の最高のプロモーションであるということ。AKBを巡るいろんな要素が詰め込まれすぎた怪作、決して傑作とは言わないけど、「マジすか」のはるか上を行く問題作とは評価して良いんじゃないか。
最初の辺りこそ、それなりの抵抗感というか、漫画「AKB49」とも類似する、17歳の現役アイドルの正体が、実は38歳の公立高校の教師という基本設定をなかなか受け付けず、物語に入り込むのに苦労したけど、ここを「お約束」としてスルーできるようになってからは、その先に広がっていた作品世界の広大さに、例によって誇張表現だけど、目眩すら覚えるほどだった。
もう少し具体的には、そもそもAKB49同様の疑問の初歩である「ふつーに気づかれるだろ」な部分は置いといて、実際のアイドルというもののリアルなど、知るよしもないけど、それでも例えば篠田さんの情報発信力のおかげで、そのスケジュールの凄まじさはそれなりに伝わって来るわけで、あんなのと、こちらはある程度のリアルが見える公立高校教師が両立するはずがない。そんな「常識」に拘束されてしまうのもやむを得ないわけで、ここをえいやっと飛び越える、そんなプチ「無への跳躍」めいた思い切りが必要とでも言うか。
このあたり、最初の取っつきに難のあるAKBの存在様式に似たところがあるとも言えそうだし、大概の物語というものも、そんな性質を帯びてるものなのかも知れないと、ありがちな一般論化でもしてみようかと。
さて、無事作品世界に飛べ込むことに成功すると、そこにはリアルというかスーパーリアルな渡辺麻友というアイドルがいた。本放送が2012年1月13日から4月6日で、「シンとき」の発売が2月29日というわけで、これはもうメタドラマどころではない、リアルドラマと見紛うばかり。そういう意味では「マジすか」を完全に超えてる。
一方で高校教師としての物語も、公立の底辺高校という設定が効いてて、意外にも王道学園ドラマの、こちらはパロディみたいになってる。これはこれで面白いし、梨本君が青春してて、その熱さが微笑ましい。思いの外、脚本も演出もしっかりしてる。
毎回表示される「このドラマは、ほぼフィクションであり、登場する人物・団体は大体、架空です」という表現が秀逸で、この辺りも、「マジすか」とは違うのだよ「マジすか」とは、とか宣うランバ・ラルとでも表現すれば良いか。
細かい内容的には、第六話のソロデビュー当たりから、俄然、話が面白くなる。いろんな設定が有機的に絡み出して、味わい深くなる。第六話で、ウタマロとの偽装デートでの会話を、以下に書き出してみる。
麻「ウタマロさんが考えるプロって、何ですか。」
ウ「すべてを犠牲にしてでも、自分が与えられた役目以上の仕事をする、人間のこと。」
麻「すべてを、犠牲にしてでも・・・」
ウ「オレはずっとそうしてきた。だからこの世界に入ったとき、心から好きだった女と分かれた。それがプロだ。」
麻「私には、できません。でも、私は、私のやり方で、プロを目指します。」
ウ「どうやって?」
麻「今は分かりません。ただ、いつか、絶対に、見つけてみせます。」
ウ「甘い。本当に甘いよ。チキチータ。」
麻「はい。そうですよね。私は、まだまだ、甘いです。それが、今の、渡辺麻友です。」
ここで何が語られてるのか、AKBファンならばピンと来るんではないか。これは前田さんのことであり、高橋さんのこと。二人の生き様を「プロ」として提示してる。メタドラマの面目躍如というか、渡辺さんにセンターを引き継ぐことを求め、これに対し戸惑いを隠せない、そんなシチュエーションと捉えても無理筋ではないと思う。翻って最近の渡辺さんの、腹を括った感じ、覚悟を決めた表情が、痛々しくも時間の流れを感じさせてくれる。
七話では、ソロデビューを控えて余裕がなくなり、マネジャーに当たり、全面的に支えてくれてた妹に当たり、教え子に当たるという、アイドルとしての分かり易い「生態」が描かれたりもしてる。一方でCMキャラという設定で「ネズミ」も出てくる。もう現実と虚構の境界がない、リアルバーチャル連続体というAKBの存在様式全開、メタドラマを超えたリアルドラマ全開。いや、凄い。
最終回では、まるでその後に起こるさっしースキャンダルを先取りするかのように、「ラジオ公開生放送」での引退表明とか、「アイドルとしての渡辺麻友は作り物だったけど、すべてが嘘だったわけじゃない」だの、「諦めなかったから、夢が叶った。奇跡が起きた。諦めない限り、チャンスは巡って来る」だの、「渡辺麻友第二章」だの、AKB中央突端な感じ。いやもう、私のへたくそな説明ではとても追っつかないので、まだ見てない人は必見と書いて、終わらせてしまおう。
おっと、大事なことを忘れてた。そしてもちろん最大の眼目が、これが「シンクロときめき」の最高のプロモーションであるということ。AKBを巡るいろんな要素が詰め込まれすぎた怪作、決して傑作とは言わないけど、「マジすか」のはるか上を行く問題作とは評価して良いんじゃないか。