
橋山禮治郎さんが言及されている辰巳孝太郎議員の国会質疑応答は、第186回国会 参議院 国土交通委員会 平成26(2014)年3月13日 で、政府参考人(瀧口敬二君) 国土交通省鉄道局長の答弁 『まず人口の方でございますが、国立社会保険人口問題研究所の日本の都道府県別将来推計人口 などに基づきまして、将来における人口の減少を前提としております。御指摘の生産年齢人口の割合の変化に特化した分析につきましては特段行っておりませんが、・・・』 が該当する。
この問題についてのポイントは、このような国会質疑が行なわれた2014年3月以後、国土交通省が人口動態の生産年齢人口予測によるリニア中央新幹線計画の需要見通しについて検討したかどうかである。その結果を広く国民に知らせる広報が行なわれたかどうかである。既に行なわれていたなら橋山禮治郎さんの記事の内容も変っていたであろうから、行なっていないと理解する。
国土交通大臣が現状のままでリニア中央新幹線計画の遂行を決定することは国会軽視であり、すなわち国民軽視だと断ぜざるを得ない。
2014年9月29日(月)に第187回国会(臨時会)が招集予定とのこと。会期は11月30日まで63日間。(共同通信 2014/09/25)
リニア中央新幹線計画の工事認可について国土交通省内部でどのような審議が行なわれているのか、交通政策審議会から各委員会を確認しても最近の審議状況は出ていないと思える。
今更だが、「しんぶん赤旗」の記事などから知った辰已孝太郎議員による参議院国土交通委員会での質疑応答の一部をここにメモしておくことにした。全文は 第186回国会 参議院 国土交通委員会 平成26(2014)年6月19日 に残した。中央新幹線建設にJR東海を指定した理由が太田昭宏国土交通大臣答弁で確認されているからだ。
最後に、大臣に確認をします。
今、2045年開通予定の名古屋―大阪間をこれ前倒しをするために、建設費用を無利子でJR東海に貸し付けるべきだとか、また、国が先に建設して、後で元本分をJR東海に負担してもらったらどうかなどの声が関係団体や議員から出されておりますけれども、大臣、建設費用は全てJR東海が負担するというのが建設指示の大前提だったと思いますが、これが変わることはありませんね。この件は国土交通省 交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 中央新幹線小委員会の答申に書かれている。
リニア中央新幹線の東京―大阪間の同時開業ということに関しまして、大変強い要望が特に関西、大阪から出ていることは承知をしています。
一方、この事業におきましては、JR東海が民間企業として経営の自由や投資の自主性の確保を貫徹することが大原則との前提の下で、全額自己負担で整備するとの意向を示したことを受けまして建設の指示が行われたということです。
したがって、本件に関しましては、現在の建設主体であるJR東海の考え方をよく踏まえていく必要があると思います。
全国新幹線鉄道整備法というのを私は全く知らずにいた。リニア中央新幹線問題を調べ始めて知ったのだが、この法律が背景にあるゆえに、地域自治体はリニア推進に税金を使って活動しているらしいと分かってきた、あたかもJR東海の子会社従業員であるかの如き公務員の体たらくは哀れと感じるようにもなった。
そもそも論からいえば、何十年も前に当時の日本国情勢によって決められた新幹線整備計画が、未だ変らず活きているという状況に問いかけるべきは政治家の仕事だと思う。しかし、そうはさせない官僚主権との戦いを避けるような政治屋ばかりがのさばる日本国で、リニア中央新幹線問題を生み出したのだと理解している。
おやじのぼやきブログのトップページで紹介されているが、橋山禮治郎さんの 「リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」 (集英社新書) 」、この52ページ~ なぜリニアが「整備新幹線」なのか~ とても参考になった。そもそも論をないがしろにして進めた事業は一時的に潤う人はいても総体としては惨めな結果しかもたらさない。
まず無理だとは思うが、臨時国会でリニア推進派が諦めざるをえないような質疑応答が展開されることを祈りたい。おそらくマスコミはそれは報じないだろうから、国会審議の状況については日本共産党からの発信に注意しているしかないと思う。