むかし、むかし、まだ高校生だった頃、
遠いアフリカ、ルワンダの地で起こっていた残忍な内戦が信じられなかった。
この平和な時代に、
まだこんなことが世界のどこかで起こっているなんて、信じがたかった。
同じようなことが、2009年、当時私が住んでいた国で起こっていて、
私は首都で指を加えて心配することしかできなかった。
当然のことながら、戦闘地に立ち入ることはできなかった。
その年の5月にようやく内戦は終わり、
私たちもキャンプ運営や帰還を支援したけれど、
そのあともマイノリティは完全に制圧されて、
自由も、正義も、人権も失った。
今でも、夫が、息子が行方不明でも、声を上げることができない。
言えば、命は保障されない。
ジャーナリストの口は封じられる。
世界中から避難されても、
調査を要求されても、
スリランカ政府は一切聞く耳を持たない。
市民は殺していない、の一点張り。
話が通じない。
その応対に、「頭ワルイ」と思わざるを得ないのだけど、
多分その逆。
相当頭良いんだ。
まったく話をさせてもらえない。
こういう状況、私を激昂させるツボ。
こういう一国の長がいて、それでまかり通ること自体、
ちょっとのスキャンダルで辞任する日本みたいな国からすると、これまた信じ難い。
そのスリランカで、先週末、英連邦首脳サミットが開かれた。
ラジャパクサ大統領の意図はきっと、
サミットを招致して、平和と発展をアピールする筈だったのだろう。
でも、イギリスの首相、デヴィッド・キャメロンが、先進国首脳として数十年ぶりにタミル人地域を訪れて、
一気に状況が変わった。
タミル人たちは、泣きながらキャメロン首相に訴えた。
行方不明の家族のことを。
今でも弾圧を受けていることを。
the Guardian
ラジャパクサは相変わらずで、キャメロン首相の質問にも説得にも一向に動じないけれど、
明らかに、状況はアピールされたし、
圧力はかかった。
あの大統領、あの独裁一族がいる限り、
タミル人の未来は閉ざされているとは思うけれど、
こうやってプレッシャー与えていくことで何かが変わるかも知れないと、
あきらめてはいけないと、
キャメロン首相は教えてくれた。
先日、映画「リンカーン」を観たけれど、
人気、有権者と利権ありきの政治に埋れながらも、
「正義」が感じられる首脳は素晴らしいわ。
スリランカ内戦は、どっちも悪かった。
政府だけを責めるつもりはない。
でも、今、タミル人の人権を守らなかったら、
将来同じことが繰り返されてしまう可能性があるんだ。
「積極的平和」を説くんだったら、我が国首脳ももっとプレッシャーかけて欲しいけど、
今は他国の人権問題に関与している余裕がないのかいな…。
こうしている間にも、
自由を剥奪された人々の苦悩が続くのだ。
影響力ある国・人から国の現状を発信し続けて欲しい。
http://www.nytimes.com/2010/01/10/travel/10places.html?_r=0
なのに、このギャップ。無視してはいけない真実があるのです。