二千年前から外国で高く評価されていた日本。その理由とは?
幻冬社ゴールドライフオンライン より 220627徳永 圀典
※本記事は、徳永圀典氏の書籍『日本を哲学する――国に徳あり――』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
第一章 日本の原理は大自然の原理に合致する
一節 神の前の無私
神様の御前には「無私」で「心を込める」のが神道の神髄です。
学べば学ぶ程に、知れば知る程に、日本文化の素晴らしさ、物すごさ、奥の深さに感動します。外国人の来日が増加するにつれ、日本文化が世界に滔とう々とうと流れて広まり、「クールジャパン」と評価されているのはご存じの通りです。
本書は文化論ではありませんが、私に言わせれば、それは当たり前のことなのです。
日本文化の本質は神道に起因し、原点は神道にあると思っています。
例えば、伊勢神宮をはじめ神様にご奉納する絵画、彫刻等々に、天下一流の作者でも作品には歴史的に絶対に氏名を入れません。
それに何も感じないのは知性の貧困です。神様の御前には、「無私」であり「心を込める」のみ、これが神道の神髄です。この精神が日本文化の素晴らしさの根底にあります。
それが「日本人の物づくりの原点」なのです。この蓄積が無意識ながら日本人の遺伝的原点であり、二千年の文化の精神的基点と申せましょう。これがある限り日本人は外国には負けないのではないでしょうか。
二千年前から今日に至るまで、日本は諸外国から歴史的に高く評価されています。その例を歴史書からざっと挙げてみましょう。
・『魏志倭人伝』二千年前の中国人の来日感想です。「(日本人は)盗まない、風俗は淫らではない、婦人は焼きもちを焼かない」
・孔子(紀元前五百年前の人)『前漢書』に「東夷とういの天性従順、日本に行きたい」
・『晋書』(中国正史の一、唐の時代、三~四世紀)「婦女は淫らではなく、嫉妬もしない」
・ザビエルの言葉(室町時代)「日本人は盗みの悪習を大変憎む」
・鎖国前の徳川初期、ロドリゴというスペイン人は日本の都市の清潔さ、食料が豊かなことを見聞して「日本に住みたい」
・幕末明治初期の来日外国人・フロイス宣教師は、日本の子供の聡明さに驚いて、それは親の躾しつけにあると見抜き、シーボルト(ドイツ人)は「日本は中国と類似性はない」と述べた
・阪神大震災の時、火事場泥棒がなく世界が驚いた
・東日本大震災。助け合いに世界が感動したこれらは全て、日本人の清廉性を外国では見られない特異なものとして驚嘆しているのです。
もう一つ現代的な特異事例を挙げてみましょう。テレビ報道などで選挙の投票風景が映されます。
外国の選挙投票用紙の大きさに違和感を覚えたことはありませんか。日本の用紙は小さい紙切れなのに、諸外国の用紙は格別に大きいのに気付きます。日本人は漢字、平仮名、カタカナを国民全員が読み書きできますから投票したい人のみの氏名を書けば済みます。
ところが字の書けない国民の多い国は、大きな投票用紙に候補者全員を記載しチェックさせて投票するしかないのです。
日本のような識字率の高い国は世界にないのです。
仏教はインドに発しました。中国経由と東南アジア経由があり、最終の仏教最高蓄積地は日本です。仏像を見ますと、日本の天平勝宝時代に開花した日本仏像彫刻の素晴らしさ、芸術性は、経由国のそれ等を断然圧倒するものになっています。
日本人にはそれが当たり前で気が付かない人が多いのでしょう。
一事が万事。日本は古代より外国から取り入れたものを咀そ嚼しゃくし,全く新しい,人間の生活に役立つものをつくり続ける能力が他国を断然圧倒してきていることが分かります。
「日本文明は八世紀から独自の文明である」とハンチントン教授も指摘しているのです。
この伝統は近現代でも発揮されています。
英国の女王が讃嘆(さんたん)したという便座ウォシュレット。洋式便器は元々輸入したものでしたが、TOTOが開発発明し、世界を圧倒しています。現在の日本文化は本家本元の西洋あるいは中国を遥かに凌駕しており、彼らが改めて日本文化を"すごい"と称しているわけです。これは日本人の優秀さ、"手の工夫の文化"に依拠していると思います。