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⚠️日本企業「“非正規社員”を増やして利益を出します」の末路… 202306

2023-06-07 23:40:38 | 気になる モノ・コト

日本企業「“非正規社員”を増やして利益を出します」の末路…
 年収443万円で「生活が苦しい」国民の悲惨【ジャーナリストの告発】
   幻冬社ゴールドオンライン より230607


 日本人の平均年収は1990年代からおよそ30年間、400万円代で推移しており、直近の平均年収である443万円は、1992年の455万円すら下回っています(国税庁統計による)。
 では、日本がこうした悲惨な現状に陥っている背景にはなにがあったのでしょうか。
『年収443万円』(講談社現代新書)著者でジャーナリストの小林美希氏が解説します。

⚫︎就職氷河期が生み出した「絶望する若者たち」
 就職氷河期は、いつから始まったのか。1980年代に8割あった大卒就職率が落ち込んだのは、1991年のバブル崩壊後。そこからみるみるうちに就職率は下がっていった。

 大卒就職率が初めて6割を下回った2000年に、筆者は大学を卒業した。大卒でも2人に1人しか就職できないという世界が、筆者にも待っていた。

 2003年に大卒就職率は過去最低を更新し、55・1%になった。同年4月には日経平均株価は7,607円まで下落した。多くの企業にとっても未来が見えず、雇用環境は激変した。

[図表]大学就職率と社会背景
 1991年のバブル崩壊、1997年の金融不安、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック。そして2020年からのコロナショック。

 当然ながら私たちの雇用や生活は、常にその時の経済状況に翻弄されてしまう。経済記者として社会人のスタートを切った筆者には、大きな疑問が生じた。

 当時、「失われた10年」から企業利益がV字回復すると、株式市場がITバブルに沸いていた。そのITバブルがはじけた直後、決算説明会で企業がこぞって「当社は非正社員を増やすことで正社員比率を下げ、利益を出していく」と説明したことに違和感を覚えた。

 若者の多くが休みなく働き、疲弊していた。正社員になれず、派遣社員や契約社員、アルバイトなどの非正社員として働き、心身をすり減らして絶望する若者が多く存在した。若年層の失業率は、約10%と高く、閉塞感が広がっていた。

⚫︎問題に本気で向き合ってこなかった日本
 この違和感や閉塞感が何なのか。それを突き止めるため、筆者の就職氷河期世代の取材は始まった。

 2003年、内閣府は「国民生活白書」で、2001年時点の15~34歳の若年層のフリーター数が417万人に上ると発表した。
 社会の関心が若者の雇用問題に向いたが、企業側の買い手市場は続き、労働条件は悪化していく。

 雇用の二極化によって中間層が崩壊していけば、働く本人にとっても日本経済にとっても大きな影響があるはず。ミクロの雇用の質の低下は、マクロの日本経済の弱体化にもつながる。
 そう筆者は確信し、2004年から、当時在籍していた週刊「エコノミスト」誌で特集し、問題提起した。

⚫︎平均年収443万円もらっても「生活が苦しい」この国の未来とは…
 それ以降、この問題を追っているが、何かが大きく変わったわけではない。
むしろ、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国から置いてきぼりになり、日本の賃金は伸び悩んでいる。

 国はそのたびに企業の論理を優先させ、人件費を抑制できるような労働法制の規制緩和を行って、真の問題に向き合ってこなかった。

 雇用や生活が破壊される背景には、法律や制度の構造問題がある。就職氷河期の当事者でもあり非正規雇用を経験した筆者が、同世代の雇用問題を追って約20年……。
事態は良くなるどころか、ますます悪化している。

「平均年収でも生活が崩れてしまう」という現実がもたらす未来は、どんな世界になるのだろうか。私たちは今、どんな社会で生きているのだろうか。
 平均年収前後の生活の今を知ることから、これから何を問い直さなければならないかを考えることが求められる。

▶︎小林 美希 ジャーナリスト


💋GDPの元を理解してない政治と企業、非正規では成長期待できず、誰が結婚して家族作り向上心高めれる?人件費=生活費。
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日本の観光は楽しむのも稼ぐのも外国人…大半の国民は恩恵どころか、観光公害のみ 2023/06

2023-06-07 23:32:07 | 気になる モノ・コト

【インバウンドの罠】日本の観光は楽しむのも稼ぐのも外国人…大半の国民は恩恵どころか、観光公害のみという「ヤバすぎる事態」
  現代ビジネスより 230608 本多 慎一


 世界的な物価高や円安の進行で、海外旅行はおろか、ささやかな楽しみである国内旅行ですら、ホテル代の高騰や大混雑に悩まされる日本人にとって、インバウンド政策は本当に歓迎すべきものなのか。

(前編『「葬式を撮影」「舞妓さんの襟元に吸い殻」…全国に広がる悪夢の「インバウンド公害」に、京都人は「もう観光客は勘弁して」』に続き、インバウンド政策の弊害に迫る。)

⚫︎擦り減っていく「京都の価値」
 加熱するインバウンド需要の一方で、実は京都への日本人観光客はコロナ禍前から減少傾向だ。社会学者で観光政策に詳しい文教大学講師の中井治郎氏が言う。

「京都の観光客の総数は、ここ15年ほど年間5000万〜5500万人くらいで推移しており、近年は外国人の割合が増えてコロナ直前の2019年には観光客全体の約2割になりました。日本人観光客はその分、逆に減っているのです。

 そして観光客の構成が変わったのと同時に、市民の苦情も増えていきました。インバウンド需要というのは、天から降って一方的に恵みをもたらしてくれるのではありません。観光資源は使えば消耗し、時にはその地域と摩擦を生んでしまいます。

 日本人観光客の減少についても、本来、日本人は京都のどこに価値を見出していたのか。それは歴史的な街並みや伝統を継承する京都の人々の暮らしから感じる、厳かな風情や情緒など、お金には変えられない部分でしょう。

 確かに、一握りの人には大きなお金は入るかもしれませんが、それと引き換えに、日本人にとっての京都の価値は擦り減っているのかもしれません」

「ホテル代も高いし、古都の風情はもうない。行かなくていいか」と感じているのであれば、それだけで実は日本人にとっては大きな損失なのかもしれない。
 気軽に行けて、古都の情緒を感じられる場所ではもうなくなりつつあるのか。

⚫︎「国民レベルの恩恵」とは言い難い
「全てはバランスの問題です。海外から観光客が来て京都の伝統を知ってもらうこと自体は素晴らしいこと。
 しかし、あまりに数が多すぎると、調和が崩れて行政や民間の対応が行き届かず、時に軋轢を生んでしまいます。これでは日本の風情を体感したい外国人観光客にとってもマイナスでしょう」(中井氏)

 そもそもインバウンド政策の目的は、訪日客の消費活動による経済効果を通じ、最終的に国民の所得向上への期待があるはず。
 しかし、コロナ直前までのインバウンド需要がもたらしてきた結果を見る限り、国民レベルでの恩恵に繋がっていたとは言い難い。

 経産省によれば、コロナ禍直前である2019年の訪日外国人数は3188万人で、その消費額は4兆8000億円(日本人の同年の消費額は22兆円)としているが、
 2019年の名目GDPは約558兆円であり、全体から見ればわずか0.86%に過ぎない。

 インバウンド需要による、二次的な生産やサービスの誘発を意味する「生産波及効果」も7兆7756億円で、同GDP比では1.3%に留まる。
 これらの経済効果で、実際に日本人が豊かになったのだろうか。

⚫︎観光産業の賃金も上がっていない
 実は、訪日外国人の数がピークだった2019年は名目、実質ともそれぞれ前年比0.3%、0.9%のマイナス。
 訪日客1000万人を突破した2013年以降も、実質賃金のダウントレンドは今日まで続いており、少なくとも大多数の国民にとって、インバウンド需要が、経済的な恩恵に繋がっていたとは言い難い状況だ。

 それでも、観光産業の労働環境が改善していれば救いだが、そうもなっていない。

 確かに「宿泊業・サービス業」の就業者は2013年の384万人から2019年には420万人と36万人増えている(23年は388万人、いずれも「労働力調査」総務省発表)ので、雇用の面では恩恵はあったと言える。

 しかし、賃金については該当する「宿泊業、飲食サービス業」において、2015年を100とした「産業別賃金指数」(厚労省発表)は、2019年に96.8と減少している。
 観光産業に職歴の浅い労働者が流入してきた影響で、平均が押し下げられている面もあろうが、一方で既存の従事者の賃金上昇が十分でない裏返しとも言えるだろう。

 しかも今やコロナ禍が明け、あらゆる業界が人手不足に陥っている。
 アルバイトやパートの時給は全業種で上昇傾向にあり、観光産業に多い接客業は時給を上げても応募が来ないことも多いという。限られた人材をあらゆる業種が奪い合っている状況なのだ。

 それだけに、目下、コロナ禍からの反転が顕著な観光産業に人手が取られると、そのしわ寄せで建設業や介護、飲食業など、特に人手不足の業界の人件費が上昇し、結果的にあらゆるサービスの縮小や料金の値上がりという形で国民生活への悪影響も予想される。

 インバウンドで恩恵があるのは、もはや関連業種の経営者だけ、と思いたくなるが、実はそれすらも怪しい。
 なぜなら、すでに中国をはじめとした外資によるホテルなど観光関連の事業や、不動産の買収が進んでいるからだ。

⚫︎着々と進む外国資本による買収
 最近でも2021年には、米投資ファンドの「ブラックストーン」が近鉄グループHDから京都駅徒歩2分で988室を誇る「都ホテル京都八条」など、8物件を約600億円で買い取った。2022年には、長崎のレジャー施設「ハウステンボス」を香港資本PAGが買収している。

 シンガポールの政府系ファンドも、西武HDから「プリンスホテル」など31施設を買収すると発表。
 すでにこうした、観光産業への外資の進出は10年以上前から進んでおり、中国紙の「人民網日本語版」は2010年10月12日付けで、富士山周辺の32件の宿泊施設のうち17件が中国系の資本に置き換わったと報じている。
 儲けているのも少なからずは外国資本なのだ。

 結局は、日本の観光資源を、外国人が楽しみ、外国人が儲け、関連業種に関わる限られた人には恩恵がある一方で、大半の日本人は不都合と不便だけを強いられる、という構図になりつつあるのではないか。
 前出の中井氏が説明する。
「よくテレビでは、『外国人旅行者で賑わっています!』という報道があり、あたかも国民全体が恩恵を受けるかのようにイメージする人もいるでしょう。

 しかし、観光地の活気と、国民に恩恵があるかどうかは、全く別問題です。
 潤っているのは、あくまで外資を含めた観光業や一部の小売と飲食業のオーナーだけの話です。

 それどころか、観光地の混雑やホテル代の高さのために、日本人が国内旅行を敬遠してしまうこと自体、機会損失の現れとも言えます。

 政策として観光に頼るのであれば、地域への還元ということによほど気をつけていないと、『投資先』として資本力のある外資などが観光客の落とす『果実』を持っていき、地域には利益が十分に還元されない挙句、観光公害やマナー問題が降りかかってくるだけという事態になります。
 これは今、世界中の観光地でも起きていることです。

 その上、観光業は外的要因にも左右されやすく、コロナ禍のようなパンデミックはもちろん、観光客の多い中国や韓国は日本との外交問題を抱えていて、急に観光客の往来が止まるという危うさもあります。
 地域であれ、国であれ、経済成長を観光産業に頼るのであれば、そのような脆弱性とどのように向き合うかも課題となります。

 あまり認識されていないだけで、国民がストレスなく暮らすことができ、身近な国内で観光や飲食を楽しめる環境自体、実は大きな価値なのです」(中井氏)

⚫︎インバウンドの果てに何が残るのか
 官房長官時代に安倍元総理の指示でインバウンド政策を推し進めた菅義偉元首相は、「犯罪を恐れる法務省と警察庁がビザ緩和の拡大に反対していたが、法務大臣と国家公安委員長にお願いして10分で決めた」とweb番組の対談で語っている。
 確かに犯罪検挙数は増えてはいないが、マナー問題や、混雑、物価高騰など、国民が被るインバウンド政策のデメリットの問題を果たして考慮していたのだろうか。

 政府自民党は、「観光公害」が顕在化した2019年の2倍の水準にあたる「訪日客6000万人」を目標に掲げているが、それが実現したとき、この国には何が残っているだろうか。

<関連記事『中国人富裕層による「熱海」「箱根」の旅館の買い占めが始まる…地元民が漏らす彼らの「ヒドい」言動』でも、外国資本による買収の実態を伝えています。>



💋観光立国と災害大国は両立せず!
マスコミも与党も目先の見える賑わいだけで成果と曲解させてる!亡国の危機…
 実際に歩いて現地で聞けばわかる事!
観光立国は亡国化への道。

 
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足の親指を鍛えることが健康長寿につながる  202206

2023-06-07 23:00:00 | 健康関連

足の親指を鍛えることが健康長寿につながる!6月転倒を防ぐ「足の親指スクワット」
  女性自身編集部 より 230607

【】エクササイズ「足の親指スクワット」

 6月は転倒の多い時季。梅雨に入り、雨で滑って転ぶことが増えるのが理由だ。高齢になって転倒しケガをすると、場合によっては寝たきりになってしまうことも。そのために、認知症に至るケースもある。

 日本では年間1万人近くの高齢者が転倒事故で亡くなっている。転倒の危険性は事故だけでなく、高齢者のクオリティオブライフに大きな影響を与えているのだ。

 では、転倒などでケガをしないようにしっかり歩くためには、どうすればいいのか。
そこで紹介したいのが、「足の親指を鍛える」こと。これを提唱し、エクササイズ「足の親指スクワット」を考案したのが、身体哲学者で湧氣塾を主宰する勇𥔎賀雄さんだ。

「人間の姿勢を支えているのは、背骨の軸と足の親指の骨です。特に足の親指の骨は解剖学的に見て、ほかの指と比べて幅が約3倍、体積でいえば9倍の大きさです。
 つまり、足の裏にかかる重さのほぼ8割を親指1本の骨(正確には親指に連なる甲の骨など5つの骨)で支えているということ。体の重さはかかとで支えているという人もいるのですが、実際は親指なのです」(勇𥔎さん、以下同)

 日本では筋トレが重要という人が多いが、たとえば足の速いチーターやダチョウなどの動物の足には筋肉がほとんどついていない。

「これは、腱の力を借りながら基本的には骨と関節の連動で走っているから。この動物のメカニズムから考えても、人間がしっかり歩くためには、足の指が重要になります。
 人間の体重は基本的にまっすぐに足に下りるので、足の骨、特に親指の骨を強くする必要があるわけです」
 
 勇𥔎さんはタレントも多く輩出した西野バレエ団の呼吸法道場で、指導部長をしていた経験を持つ。そこから独自に呼吸、人体のメカニズムの研究を進め、骨と呼吸の勇𥔎メソッドを確立した。
 それがこのとっておきのエクササイズだ。誰でも1日5分、1~2週間で「歩き方、姿勢がまったく変わる」という。

■このエクササイズで、歩けなかった100歳の人がジャンプできるように

その内容はイラストを参考にしてほしい。


「1の親指を下に向けるエクササイズは、足の指が地面に接していない状態である“浮き指”を改善するもの。ハンマートゥ(足の人さし指や中指、薬指などの関節がZ字形に変形する)やマレットトゥ(つま先にいちばん近い第1関節が屈曲して伸びない)など足の指の変形は、浮き指が原因のことが多いですが、これをするだけで解消できます」

そして第2段階が2の親指を上に向ける(反らす)エクササイズ。

「指の関節はまず下(内側)に曲がるように機能しますが、同時に上(外側)に向ける働きもあるので、これをスムーズに行うことが重要になります。

1のエクササイズで親指の先がしっかり下に向いたか、親指の骨(2つの骨と関節)の強度がかかとの上げ下げをしっかり支えているかを確認する。次に2で、親指がしっかり上に向くか、親指を上げたあと床につけてかかとを上げたときに、2つの親指の骨との関節が床にぴったりとついて足の重さを支えられるかをチェックしよう。

この2つのエクササイズを毎日5分程度やってみてほしい。

ちなみに、デイサービスを利用する歩けなかった高齢者たちが2つのエクササイズの(1)〜(5)を座ったままでおこなうことで、歩けるようになったということが実際にあった。

「100歳近い高齢者もいましたが、奇跡ともいえますね」

外反母趾で、手術しか手はないと言われた50代の女性が、すっかり治ったという事例もあるという。

しっかり歩き、転倒を防ぐためにも、このエクササイズを試してみてはいかがだろうか。
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🚶…向島農地…承水溝3号沿…宇治川公園沿…観月橋〜 230607

2023-06-07 20:22:00 | 🚶 歩く
🚶…右岸河川敷…莵道太閤橋下手前↩️…右岸河川敷…大八木島前…同堤防道…隠元橋…左岸堤防道47km碑+…向島清水町農地…🚏丸町東🚌〜向島駅前…承水溝3号沿…向島新上林農地…左岸堤防道43.8km碑付近…宇治川公園沿堤防道…観月橋…観月橋〜🚉…右岸堤防道50km標…>
🚶12342歩2kg

⛅️隠元橋26℃:風強く心地よく
  観月橋27℃
 宇治川増水中ダム放流738m3/s高水位

近鉄奈良線西側の向島農地にも田植え始まる
左岸堤防道43〜44km付近眺望よし。
左岸土手50〜49km付近除草済,今年も土手界隈雑草大繁殖で遊歩困難道多数。




ハロー👀

左岸堤防道44km付近より比叡山と🏯

“伏見桃山🏯



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 維新以来、欧米に追いつけ追い越せでやってきた日本にとっての真のSDGsとは? 202306

2023-06-07 01:22:00 | 気になる モノ・コト

 維新以来、欧米に追いつけ追い越せでやってきた日本にとっての真のSDGsとは? 地球環境問題と50〜60年代の日本で起きた公害問題、東大と京大の本質的な違い
 集英社オンライン より 230607


 1988年にNASAの科学者が地球温暖化について提言するまでは、「地球環境」という概念は存在しなかったという。だが逆にそれ以降の、特に日本における浸透ぶりには目を見張るものがある。
 SDGsは必要な目標であるが、すべてをやみくもに信じることは本当に正しいことなのか。

⚫︎ローカルな「公害問題」と グローバルな「地球環境問題」
 私が高校生だった頃、日本では「公害」が大きな社会問題として浮上しました。いずれも産業廃棄物が原因とされ、イタイイタイ病(富山県)、水俣病(熊本県)、新潟水俣病(新潟県)、四日市ぜんそく(三重県)は「四大公害病」などと呼ばれたものです。

 私の出身地である静岡県でも、1960年代から70年代前半にかけて、製紙工場の廃棄物による田子の浦のヘドロ公害が発生しました。若い人には馴染みの薄い言葉かもしれませんが、ヘドロは「屁泥」と書かれることもある日本語。

 当時は『ゴジラ対ヘドラ』という映画もつくられたぐらい有名(?)でした。地元の身近な問題だったので、高校の同級生と「どうすれば公害をなくせるか」と真剣に話し合ったのをよく覚えています。
 その友人と私は、どちらも公害問題に大きな影響を受けて、進学先を決めました。高校生の進路を左右するぐらい、深刻な問題だったわけです。
 ただし選んだ学部は別々で、彼は工学部、私は理学部。公害は工場などから出る産業廃棄物が原因なのですから、それを解決するために工学部を選んだ友人のほうが、自然な発想でしょう。しかし高校生の私は、こんなふうに考えました。

「問題が起きないようにいろいろ考え抜いて設計したはずの工場から公害が出てしまうのは、まだ人間が自然界の根本的な成り立ちを理解していないからに違いない」─それで、自然界のより基本的なところを探る理学部を選んだのです。

 さて、自然界という大きなフィールドに興味を持ってはいたものの、当時の私は地球環境というグローバルな問題意識を持っていませんでした。理学の道に入るきっかけとなった公害は、自分の故郷で生じたローカルな問題です。

 そもそも当時は「地球環境」という言葉が(存在はしたのかもしれませんが)使われていませんでした。言葉がないということは、そういう概念もないということです。
 いまの時代に企業が産業廃棄物を垂れ流せば、誰でもそれを環境汚染として受け止めるでしょう。しかし当時は誰も、公害をグローバルな「環境問題」という枠組みでは考えていなかったのです。

 その概念が世界に広まったのは、1988年のこととされています。その年に、NASA(米航空宇宙局)の科学者ジェームズ・ハンセンが、米議会で地球温暖化に関する研究について証言しました。
 のちにハンセンは「地球温暖化問題の父」とも呼ばれるようになりましたが、「地球環境」という言葉が広まったのは、このハンセン証言がきっかけです。

 東京大学名誉教授の木村龍治先生の調査によれば、朝日新聞に「地球環境」という言葉が登場する回数は、この年を境に、ほぼゼロ回から年間500回程度にまで一気に跳ね上がっていました。この頃から、「グローバルな環境問題」が世界中で注目されるようになったわけです。

⚫︎「米国がやるから日本も研究を」という東大の発想
 ハンセン証言をきっかけに、「グローバルな環境問題に取り組むべき」という圧力が一気に高まりました。私自身、MIT(マサチューセッツ工科大学)のポスドク時代にそれを実感したことがありました。

 同じ地球物理学を専門とする東大の先生に「酒井さんもこの研究に協力してくださいよ」と言われたテーマが、まさにいまでいう地球環境問題に直結するものだったのです。

 そのとき私が取り組んでいたのは、流体力学の不安定問題というもの。専門的になりすぎるので詳しくは説明しませんが、環境問題とはとりあえず何の関係もありません。
 単に「オモロい」からやっていたことです。MITのボスには「サイエンスと名前がつけば、何をやってもいい」と言われていました。
 その研究が楽しかったので、東大の先生に言われた研究テーマには、あまり興味が持てません。そもそも、どうして自分がそんなことをやらなければいけないのかもわかりませんでした。

 しかし東大の先生は、「米国の研究グループがこのテーマをやろうとしている。だから日本もやらなければいけないんですよ」と言います。
 まさに敷かれたレールに乗ろうという話ですから,こちらはますますやる気になりません。
 しかも、彼が言う「米国の研究グループ」のリーダーは、私のMITのボスのボスのような存在の教授です。その教授は「この観測計画は楽しいからやるんだ。楽しくなきゃやらないよ」と言っていました。同じMITの建物の中にいる私に、一緒に研究しようとはひとことも言わなかったのです。

 ここには、じつに端的に、東大と京大の役割意識の違いが表れているようにも思います。国内ナンバー1の大学は、欧米の動向を横目で見ながら走らざるを得ない宿命を背負っている。
 それに対して、「自由の学風」を掲げてまわりを気にせず好きにやれるのが、ナンバー2というポジションです。どちらが正しいという話ではなく、これは両方なければバランスが取れません。
 自分の思い出話が長くなってしまいましたが、そうやって欧米の敷いたレールに乗ろうとするのは東大だけの特徴ではなく、日本社会全体の癖のようなものでしょう。明治維新以来、日本は欧米に「追いつけ追い越せ」でやってきました。

「もはやそんな時代ではない」と、頭ではわかっている人は多いと思います。
でも、つい「欧米が何をしているか」を基準に物事を考えてしまう。

 SDGs自体、日本も含めた国連の場で決まったものとはいえ、日本人にとっては「舶来品」のような印象が拭えません。そのため、ローカルな持続可能性よりもグローバルな持続可能性─その中でもいちばん大きな地球環境問題─に目が向きやすいのではないでしょうか。


文/酒井敏

▶︎カオスなSDGs グルっと回せばうんこ色  酒井 敏
2023年4月17日発売
968円(税込)
新書判/208ページ
ISBN:978-4-08-721259-4

【元京大変人講座教授、SDGsにモヤモヤする!】
近年声高に叫ばれる「SDGs」や「サステナブル」といった言葉。環境問題などの重要性を感じながらも、レジ袋有料化や紙ストローの導入、そしてSDGsバッジなどの取り組みに、モヤモヤしている人は少なくないのではないか。

「京大変人講座」を開講した著者は、大学で「SDGs担当」になったことをきっかけに、その言説や取り組みに違和感を覚えた。人間や地球環境にとって、ほんとうの「持続可能性」とは何か。名物教授が科学的観点と教育的観点からSDGsのモヤモヤを解き明かす。

【おもな内容】
プロローグ 「キレイ」なSDGs
第1章 危ういSDGs
第2章 プラゴミ問題で考える持続可能性
第3章 地球温暖化とカオス理論
第4章 無計画だからこそうまくいくスケールフリーな世界
第5章 日本社会の自由度をいかに高めるか
終章 うんこ色のSDGs
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