一極集中が再加速…「東京」が「世界1位」に躍り出る納得の理由
幻冬社ゴールドOnlineより 230618 安吉 健太
コロナ禍のなかで、東京の総人口は減少に転じ、「東京一極集中の終焉」「郊外・地方の時代到来」と話題になりました。このまま時代は進んでいくかと思われましたが、再び「東京一極集中」の様相を帯びてきました。なぜ人は東京に魅了されるのか。その理由を考えてみましょう。
⚫︎結局「東京一極集中の終焉」とはならなかった
総務省『住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果』によると、2022年の日本国内における市区町村間移動者数は531万972人で、前年比1.2%の増加。
転入超過となったのは11都道府県で、なかでも最大は「東京都」で3万3,909人を記録しました。
この地域の転入・転出による社会増減は、その地域の経済的な発展性を推し量るうえで重要な指標です。コロナ禍では、東京都で転出超過となった一方で、東京都の周辺地域や地方の中核都市で転入超過を記録したため、東京一極集中から地方への分散が進むといわれていました。
しかしコロナ禍の影響が収まっていくと同時に、再び人は東京へと向かい始め、東京一極集中が加速する様相をみせています。これはコロナ禍で制限されていた通勤や通学が緩和されたことが大きく、何かと便利な東京へと人が向かい始めた結果だといえるでしょう。
そもそも「東京都、初の転出超過」と騒がれたのは、外国人を含めた集計を開始した2014年以来のこと。
この地域の転入・転出による社会増減は、その地域の経済的な発展性を推し量るうえで重要な指標です。コロナ禍では、東京都で転出超過となった一方で、東京都の周辺地域や地方の中核都市で転入超過を記録したため、東京一極集中から地方への分散が進むといわれていました。
しかしコロナ禍の影響が収まっていくと同時に、再び人は東京へと向かい始め、東京一極集中が加速する様相をみせています。これはコロナ禍で制限されていた通勤や通学が緩和されたことが大きく、何かと便利な東京へと人が向かい始めた結果だといえるでしょう。
そもそも「東京都、初の転出超過」と騒がれたのは、外国人を含めた集計を開始した2014年以来のこと。
さらに歴史をさかのぼると、東京都では1967年から1996年まで転出超過が続いていました。この時代、東京をはじめとした大都市圏では住環境が悪化。さらに都心では不動産価格が上がり続け、住宅取得層は東京の周辺へと流れたのです。
【東京都の転出入数の推移】 出所:総務省『住民基本台帳人口移動報告』より
しかしバブル崩壊とともに、不動産価格は下落。都心回帰のムーブメントが沸き起こりました。大学の都心回帰が相次いでいるのは、その象徴だといえるでしょう。「結局、東京都心のほうが便利だった」というのが本音だったということのようです。
⚫︎世界都市ランキング…「東京」は7年連続3位
東京の底力は、森記念財団都市戦略研究所が2008年から発表している『世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)』においても明らかです。
これは「都市」の総合力を図るものとして各国の調査資料でもよく引用されているもので、世界の主要48都市を「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野について、計70指標で「都市力」を数値化しています。
最新、2022年のランキングでは、1位がロンドン、2位がニューヨークで、東京は7年連続で3位でした。実はこの3都市に加えて、パリとシンガポールを合わせた5都市の顔ぶれは、この10年変わらず。ロンドン五輪を契機にニューヨークとロンドンの順位が入れ替わったり、2016年にパリと東京の順位が入れ替わったりしている程度で、この5都市が「都市力」においては、不動のベスト5を誇っているのです。
2022年の指標を細かくみていくと、東京では6つの分野のうち4つで前年より評価がダウン。4位のパリとの差はわずかになりました。その大きな理由が、コロナ禍による制限緩和の遅れ。
【東京都の転出入数の推移】 出所:総務省『住民基本台帳人口移動報告』より
しかしバブル崩壊とともに、不動産価格は下落。都心回帰のムーブメントが沸き起こりました。大学の都心回帰が相次いでいるのは、その象徴だといえるでしょう。「結局、東京都心のほうが便利だった」というのが本音だったということのようです。
⚫︎世界都市ランキング…「東京」は7年連続3位
東京の底力は、森記念財団都市戦略研究所が2008年から発表している『世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)』においても明らかです。
これは「都市」の総合力を図るものとして各国の調査資料でもよく引用されているもので、世界の主要48都市を「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野について、計70指標で「都市力」を数値化しています。
最新、2022年のランキングでは、1位がロンドン、2位がニューヨークで、東京は7年連続で3位でした。実はこの3都市に加えて、パリとシンガポールを合わせた5都市の顔ぶれは、この10年変わらず。ロンドン五輪を契機にニューヨークとロンドンの順位が入れ替わったり、2016年にパリと東京の順位が入れ替わったりしている程度で、この5都市が「都市力」においては、不動のベスト5を誇っているのです。
2022年の指標を細かくみていくと、東京では6つの分野のうち4つで前年より評価がダウン。4位のパリとの差はわずかになりました。その大きな理由が、コロナ禍による制限緩和の遅れ。
緩和の動きは欧米で2021年~2022年の初めごろから見られましたが、日本では大幅緩和に踏み切ったのは、遅れること2022年10月。それにより、外国人訪問者数や、国内・国際線旅客数の回復が遅れ、「文化・交流」「交通・アクセス」で評価を下げたのです。また「経済」においても「賃金水準の高さ」「ワークプレイスの充実度」などで、各都市よりもスコアが低く、評価を下げています。
ただ新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同様、5類感染症に移行したのをきっかけに、コロナ禍からの回復は加速度的に進むでしょう。評価を下げた「文化・交流」においては、再び、東京の街に外国人観光客の姿が目につくようになったことから鑑みると、コロナ禍前のスコアに戻ることが期待されます。
⚫︎それにしても、なぜ「東京」なのか?
コロナ禍で一旦は「東京一極集中の終焉」と騒がれたものの、再び「東京一極集中」が加速していますが、なぜなのでしょうか。
さまざまな理由が語られていますが、その起点となるのが「主要な大学が東京に集中していること」だとされています。多くの人が進学で東京を目指すと、結果、東京に優秀な人材が集まります。
ただ新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同様、5類感染症に移行したのをきっかけに、コロナ禍からの回復は加速度的に進むでしょう。評価を下げた「文化・交流」においては、再び、東京の街に外国人観光客の姿が目につくようになったことから鑑みると、コロナ禍前のスコアに戻ることが期待されます。
⚫︎それにしても、なぜ「東京」なのか?
コロナ禍で一旦は「東京一極集中の終焉」と騒がれたものの、再び「東京一極集中」が加速していますが、なぜなのでしょうか。
さまざまな理由が語られていますが、その起点となるのが「主要な大学が東京に集中していること」だとされています。多くの人が進学で東京を目指すと、結果、東京に優秀な人材が集まります。
優秀な人材を囲い込もうと企業も集中し、進学で流入した人が留まるばかりか、さらに就職で東京に人が集まるようになりました。転職市場でも東京が有利となり、地方に目を向けることはなかなか難しいというわけです。
前述のとおり、大学の都心回帰の動きが相次いでいますが、人口減少期では大学も淘汰されるようになるでしょう。当然、人口流入が続く東京の大学のほうが生き残る可能性が高く、東京一極集中の流れを加速させるものと考えられています。
都市更新を機に「東京」が変わり、さらに一極集中は加速する
また東京都心で活発化する再開発も、東京一極集中を加速させるものになるでしょう。
成長戦略の実現に必要な、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設された「国家戦略特区」。
前述のとおり、大学の都心回帰の動きが相次いでいますが、人口減少期では大学も淘汰されるようになるでしょう。当然、人口流入が続く東京の大学のほうが生き残る可能性が高く、東京一極集中の流れを加速させるものと考えられています。
都市更新を機に「東京」が変わり、さらに一極集中は加速する
また東京都心で活発化する再開発も、東京一極集中を加速させるものになるでしょう。
成長戦略の実現に必要な、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設された「国家戦略特区」。
東京都全域が、神奈川県全域、千葉県千葉市及び成田市とあわせて東京圏として指定され、34の都市再生プロジェクトが進行中です。
▶︎注目の東京・再開発①東京駅日本橋口
東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区3.1ヘクタールの再開発で、街区の名称は「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」。2027年度には高さ390mと、日本一の高さを誇る超高層複合ビルを含む4つの棟と7000平米もの広場を有する“街”が誕生します。
▶︎注目の東京・再開発②日比谷~内幸町エリア
東京電力、みずほ銀行、帝国ホテル一帯を再開発する『TOKYO CROSS PARK構想』。総延床面積は都心最大級の約110万平米を誇り、隣接する日比谷公園と繋がる道路上空公園を整備するなど、北地区・中地区・南地区の3つの地区が一体となった街づくりを推進します。
▶︎注目の東京・再開発③新宿
山手線西側では池袋、渋谷と再開発が目白押しですが、今後、大きく変わるのが新宿駅周辺。2046年ごろまでに、駅を中心とした「グランドターミナル構想」に基づいた再開発計画を進行。新宿駅西口再開発事業では、新宿地下鉄ビルデイング・小田急百貨店新宿店が高さ約260mの超高層ビルに建て替えらえる予定。
▶︎注目の東京・再開発①東京駅日本橋口
東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区3.1ヘクタールの再開発で、街区の名称は「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」。2027年度には高さ390mと、日本一の高さを誇る超高層複合ビルを含む4つの棟と7000平米もの広場を有する“街”が誕生します。
▶︎注目の東京・再開発②日比谷~内幸町エリア
東京電力、みずほ銀行、帝国ホテル一帯を再開発する『TOKYO CROSS PARK構想』。総延床面積は都心最大級の約110万平米を誇り、隣接する日比谷公園と繋がる道路上空公園を整備するなど、北地区・中地区・南地区の3つの地区が一体となった街づくりを推進します。
▶︎注目の東京・再開発③新宿
山手線西側では池袋、渋谷と再開発が目白押しですが、今後、大きく変わるのが新宿駅周辺。2046年ごろまでに、駅を中心とした「グランドターミナル構想」に基づいた再開発計画を進行。新宿駅西口再開発事業では、新宿地下鉄ビルデイング・小田急百貨店新宿店が高さ約260mの超高層ビルに建て替えらえる予定。
また京王百貨店・ルミネ1を含む地区ではビルの建て替えに加えて、甲州街道を挟んで対面する複合ビルとの一体的な開発が進められます。さらにJR線路上空には、東西をつなぐデッキと南北広場(セントラルプラザ)が作られる予定で、新宿の街の人の流れが大きく変わるといわれています。
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ほかにも、100年に一度の再開発といわれている「渋谷」エリア、同じく副都心の「池袋」エリア、首都高速の地下化が予定されている「日本橋」エリアなど、東京では注目の再開発が目白押しです。
今後、10~20年程度で、東京の街は大きく変わります。それにより都市としての国際的な競争力は格段に向上。世界ランキング第1位に踊りでることも、決して非現実的ではないでしょう。
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ほかにも、100年に一度の再開発といわれている「渋谷」エリア、同じく副都心の「池袋」エリア、首都高速の地下化が予定されている「日本橋」エリアなど、東京では注目の再開発が目白押しです。
今後、10~20年程度で、東京の街は大きく変わります。それにより都市としての国際的な競争力は格段に向上。世界ランキング第1位に踊りでることも、決して非現実的ではないでしょう。